決算は終わっても、経営は終わりません
決算は終わっても、経営は終わりません
決算が終わると、多くの経営者や担当者はひと息つきたくなります。 期限に追われ、資料をそろえ、数字をまとめ、ようやく一区切りついたと感じる瞬間です。 「とりあえず今年も決算は終わった」。 そんな言葉が自然と口をつくこともあるでしょう。
しかし、実務の現場にいると、はっきりと感じることがあります。 それは、決算は終点ではなく、あくまで通過点にすぎないということです。 決算が終わっても、経営そのものは決して終わりません。
決算とは「結果の整理」にすぎない
決算とは、一定期間の経営活動を数字として整理し、確定させる作業です。 売上、利益、経費、資産、負債。 それらをルールに沿ってまとめ、外部に説明できる形にします。 この作業は非常に重要で、欠かすことはできません。
ただし、決算はあくまで過去の結果をまとめたものです。 そこに書かれている数字は、すでに起きた事実であり、変えることはできません。 決算が終わった瞬間に安心してしまうと、経営の視点が過去に止まってしまいます。
経営は「これから」を考える仕事
一方、経営とは未来に向かう活動です。 来期は何に投資するのか、どこを強化するのか、どのリスクに備えるのか。 こうした判断は、決算書が完成した後にこそ本格的に始まります。
決算書は、経営判断のための材料です。 目的ではなく、手段です。 数字を眺めて終わるのではなく、「この数字は何を意味しているのか」「次に何をすべきか」を考えることが、経営者の役割になります。
決算後に差がつくポイント
同じ決算書を手にしても、その後の行動は会社によって大きく異なります。 単に「税金はいくらか」「利益は出たか」だけで終わる会社もあれば、数字を細かく分解し、次の一手を考える会社もあります。
例えば、利益が出ていてもキャッシュが残っていない理由は何か。 特定の取引先への依存度は高すぎないか。 固定費は今後の売上規模に見合っているか。 こうした問いを立てられるかどうかで、経営の質は変わってきます。
数字は「安心材料」にも「警告」にもなる
決算書の数字は、中立的な存在です。 見る人の姿勢次第で、安心材料にもなりますし、危険信号にもなります。 問題なのは、都合の良い数字だけを見てしまうことです。
「黒字だから大丈夫」「売上が伸びているから問題ない」。 そうした判断が、将来のリスクを見逃す原因になることも少なくありません。 決算後こそ、冷静に数字と向き合う必要があります。
決算が終わった後こそ、対話が必要になる
決算が終わるまでの期間は、とにかく作業中心になりがちです。 期限があり、やるべきことが明確だからです。 一方で、決算が終わった後は、正解が一つではない時間に入ります。
税理士や会計担当者との対話も、決算後にこそ意味を持ちます。 数字の背景にある事情、今後の選択肢、それぞれのメリット・デメリット。 こうした話し合いは、書類作成の延長ではなく、経営そのものです。
決算を「年中行事」で終わらせない
決算を毎年のイベントとしてこなすだけでは、経営はなかなか前に進みません。 同じような数字、同じような反省、同じような課題。 それが繰り返されているなら、決算の使い方を見直す必要があります。
決算をきっかけに、経営の見方や行動が変わっているか。 投資判断や人員配置、価格設定に反映されているか。 決算が経営に活かされている会社ほど、数字の意味を深く理解しています。
まとめ:決算の先にこそ、経営がある
決算はゴールではありません。 むしろ、スタートラインです。 数字が確定したからこそ、次の一手を考える準備が整います。
決算が終わった瞬間に安心するのではなく、そこから何を読み取り、どう動くのか。 その積み重ねが、会社の未来を形づくります。 決算は終わっても、経営は終わらない。 この当たり前の事実を、毎年あらためて意識することが、安定した経営につながっていくのではないでしょうか。
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)
