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外国人受入企業必見! 「技能検定」と「特定技能評価試験」の定義

外国人受入企業必見! 「技能検定」と「特定技能評価試験」の定義

日本の外国人材受入れ制度が「技能実習」から「育成就労」へと移行する中で、外国人材の技能を客観的に評価する**「技能検定」「特定技能評価試験」**の役割が極めて重要になっています。これまで別々の制度の枠組みで運用されてきたこれら2つの試験は、新制度においてどのように整理され、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、受入れ企業や監理団体の担当者が知っておくべき、技能検定と特定技能評価試験の定義、レベルの対応関係、そして新制度「育成就労」での位置づけ解説としてまとめます。

1. 技能検定(ナショナルテスト)の概要と役割

技能検定は、働く人々の持つ技能を一定の基準によって検定し、国として証明する国家検定制度です。

技能実習制度における位置付け

技能実習制度において、技能検定は実習生の習得度を測るための中心的な指標として活用されてきました。

  • 技能実習1号(1年目): 実習生は「技能検定基礎級」またはこれに相当する技能実習評価試験の学科および実技試験に合格することが目標となります。
  • 技能実習2号(2〜3年目): 「技能検定3級」またはこれに相当する実技試験の合格が目標です。
  • 技能実習3号(4〜5年目): 「技能検定2級」またはこれに相当する実技試験の合格を目指します。

このように、技能実習制度では**「段階的なスキルアップ」の証明**として技能検定が組み込まれています。また、実習実施者(企業)や監理団体が「優良」と認定されるための評価基準においても、これら試験の合格率は高い配点(150点満点中、実習実施者は70点、監理団体は40点)を占めています。

2. 特定技能評価試験の概要と役割

特定技能評価試験は、2019年に創設された在留資格「特定技能」を取得するために、その分野の業務に必要な技能水準を満たしているかを確認するための試験です。

特定技能制度における位置付け

特定技能は、人材確保が困難な特定産業分野において「即戦力」となる外国人を受け入れる制度です。そのため、試験は以下の水準を確認するために設計されています。

  • 特定技能1号: 相当程度の知識または経験を必要とする技能(特段の育成・訓練を受けることなく、直ちに一定程度の業務を遂行できる水準)を確認します。
  • 特定技能2号: 熟練した技能(熟達した技能により自らの判断で高度な業務を遂行、または監督者として業務を統括できる水準)を確認します。

特定技能評価試験は、各分野を所管する省庁が定める試験実施団体によって実施され、日本国内だけでなく海外(フィリピン、インドネシア、ベトナム等)でも広く行われています。

【特定技能評価試験の関連団体】

介護分野介護技能評価試験・介護日本語評価試験
ビルクリーニング分野公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会
製造業(工業製品製造業)分野一般社団法人 製造技能評価機構(SSWM)
建設分野一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)
造船・舶用工業分野一般財団法人 日本海事協会
自動車整備分野一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
航空分野(空港グランドハンドリング/航空機整備)一般財団法人 日本航空技術協会
宿泊分野一般社団法人 宿泊業技能試験センター
農業分野一般社団法人 全国農業会議所
漁業分野(漁業/養殖業)一般社団法人 大日本水産会
飲食料品製造業分野一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構
外食業分野一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構
自動車運送業分野(新設)一般財団法人 日本海事協会 (詳細未定)
林業分野(新設)林野庁/関連団体(準備中)
木材産業分野(新設)林野庁/関連団体(準備中
鉄道分野(新設)一般社団法人 日本鉄道施設協会

3. 両試験のレベル対応関係と決定的な違い

技能検定と特定技能評価試験は、その目的が「キャリア形成(育成)」か「即戦力の証明(採用資格)」かという点で異なりますが、技能水準としては明確な対応関係が設定されています。

技能水準の比較

ソース資料に基づくと、両試験のレベルは以下のように整理されます。

  • 特定技能1号評価試験 ≒ 技能検定3級相当
  • 特定技能2号評価試験 ≒ 技能検定1級相当 (※ただし、工業製品製造業分野の2号ではビジネスキャリア検定3級なども含まれます。)

試験構成の違い

  • 技能検定 伝統的に**「学科試験」と「実技試験」**のセットで構成され、製作作業などを伴うのが一般的です。
  • 特定技能評価試験: コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式などが多用されますが、分野によっては実技試験(製作等作業試験)も含まれます。

免除規定の存在(現行制度)

現行制度では、技能実習2号を「良好に修了」した外国人は、従事する業務との関連性が認められれば、特定技能1号評価試験が免除されます。これは、技能実習での3年間の実績(または技能検定3級合格)が、特定技能1号に必要な技能水準を満たしているとみなされるためです。

4. 新制度「育成就労」での再編:AタイプとBタイプ

2027年までに施行される育成就労制度では、これまでの「職種・作業」が特定技能の「分野・業務区分」に整理・統合され、試験の活用方法も明確に分類されます。

育成就労における3年間の育成目標を評価する試験は、以下の2つのタイプに分けられます。

① Aタイプ(既存実績活用型)

これまでの技能実習制度で実績がある分野では、「技能検定」や既存の技能実習評価試験をそのまま活用します。

  • 対象例: 機械金属加工、家具製造、建設、農業、食品製造など。
  • 育成就労の1年目には「技能検定基礎級等」、3年目(修了時)には「技能検定3級等」の合格を目指すことで、特定技能1号への移行資格を得る設計です。

② Bタイプ(新設試験活用型)

これまでに技能実習に該当する職種がなかった新分野などでは、**新たに整備される「育成就労評価試験」や「特定技能評価試験」**を活用します。

  • 対象例: 物流倉庫、資源循環、鉄道(駅清掃)、リネンサプライなど。
  • これらの分野では、従来の技能検定が存在しないため、3年目の目標として「特定技能1号評価試験」の合格が課されます。

5. 育成就労制度から特定技能1号への移行要件(激変緩和と厳格化)

育成就労制度への移行により、試験の扱いに関する最大の変更点は、**「試験合格が原則必須となる」**ことです。

試験合格の義務化

現行の技能実習制度では、2号良好修了による「無試験移行」が可能でしたが、育成就労制度では、特定技能1号へステップアップするために、以下の合格が義務付けられる方針です。

  1. 技能試験: 技能検定3級相当、または特定技能1号評価試験への合格。
  2. 日本語試験: 日本語能力試験(JLPT)のN4以上、またはJFT-BasicなどのA2相当以上の試験への合格。
日本語能力試験(JLPT)
国際交流基金 日本語基礎テスト(JFT-Basic)

不合格時の救済措置

育成就労の3年間で試験に合格できなかった場合でも、再受験のために最長1年間の在留延長が認められます。この期間内に試験に合格すれば、特定技能1号へ移行することが可能です。

6. 特定技能2号試験への挑戦

特定技能1号として5年間就労した後、あるいは育成就労から直接(高い技能を持つ場合)、さらに上位の特定技能2号を目指す道もあります。(介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業などの分野を除く)

  • 試験のハードル: 「熟練した技能」を測る特定技能2号評価試験、または技能検定1級等の合格が必要です。
  • 日本語能力: 1号よりも高い「B1相当以上(JLPT N3相当以上)」が求められる場合があります(外食や漁業など)。

2号に合格すれば、在留期間の更新制限がなくなり、家族の帯同も可能になるため、外国人材にとっては**「熟練技能者」としてのキャリアの頂点**を証明する試験となります。

まとめ:試験を軸としたキャリアパスの構築

技能検定と特定技能評価試験は、かつては「教育」と「就労」という異なる目的で使い分けられていましたが、2025年以降の制度改革によって、**「育成就労(3年)での技能検定3級合格 → 特定技能1号(5年) → 特定技能2号(無期限)」**という、一貫した評価の物差しとして統合されます。

企業や監理団体にとって重要なのは、単に「働かせる」ことではなく、「どの試験にいつ合格させるか」という育成計画(育成就労計画)を戦略的に立てることです。

  • Aタイプ分野であれば、長年培われた技能検定のノウハウを活かした指導が可能です。
  • Bタイプ分野や新設分野であれば、最新の評価試験に対応した教育体制を早期に構築する必要があります。

外国人材が自らのスキルアップを実感し、日本で長く活躍できる環境を作るためにも、これら試験の違いと連続性を正しく理解し、活用していくことが求められています。

※:本記事は一般的情報提供を目的とするもので、個別事案の法的助言ではありません。申請・受入れ判断は、最新の官公庁資料・法令・通達等を確認の上で行ってください。

行政書士中川まさあき事務所

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