在留期間中の妊娠等

 出入国管理庁のホームページは、ここしばらくの間に内容が充実したものになってきているとの評価が各方面からでているようです。内容が充実していけばいくほど、その内容にたどりつくまでに時間がかかるという弊害もあることも確かです。話題になっている論点を、当局のホームページからピックアップして記述していきたいと思います。

技能実習生の妊娠等

今日は、技能実習生が妊娠等した場合の基本フローを確認していきたいと思います。出入国在留管理庁のホームページにおいては以下のような図で分かりやすく説明されています。ご承知の通り、技能実習制度は2027年を目途に廃止され育成就労へと移行されていくことになりますが、妊娠等した場合の基本フローはこれに準じた対応になると考えられ、何か変更などがあれば出入国在留管理庁のホームページなどで告知されますのでそれに従うということになります。

当事者の方が心配されているのは、今のままで在留し続けることができるかどうかという点や、出産を母国でしたいと考えた場合や国内での出産を希望する場合など対応にどのような違いがあるのか、また、特定技能や他の在留許可の要件などとの違いから家族滞在(ファミリー)での解釈違いや混同を生じているケースがあるようです。技能実習性単独で見た場合においては、以下の図に従って協議・各届出・申請をしていくことになります。なぜ、単独で見た場合という見方をするかといえば、その技能実習生が、在留期間中に日本人の配偶者となった場合や、家族滞在が認められる特定技能2号や技人国その他の在留資格を持つ配偶者となったような場合においては、選択肢が変わってくることも考えられるからです。

いずれにしても、妊娠を理由に企業などが職場などにおいて不平等な取り扱いをしたりすることは法令上も禁止されており、日本人に限らず技能実習生にもそのような規定は当然配慮されるべきとの考えが前提となっています。

出典:出入国在留管理庁のホームページより

出典:出入国在留管理庁のホームページより

出典:外国人技能実習制度について (法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官)

特定技能で働く外国人の妊娠・出産の場合

技能実習生の妊娠等の場合は、前述の通りですが、在留許可「特定技能」で働く外国人が妊娠等した場合の基本フローは、今のところ当局のホームページでは見当たりません。ここにきて、下記のような報道がなされています。

即戦力の人材を受け入れる在留資格「特定技能」で働く外国人が妊娠・出産した場合、その期間を最長5年の在留期限から除外する措置を政府が検討していることが26日、関係者への取材で分かった。

Yahooニュースより引用

つまり、政府としては、技能実習生の妊娠等の場合と同じようにフローを統一していく方向で調整し、国内の慢性的な人材不足に対する対応を充実させ、安心して働きやすい環境を提供していこうとする姿勢が見て取れます。

【特定技能】

該当する活動該当例在留期間
特定技能1号法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(入管法第2条の5第1項から第4項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であって法務大臣が 指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要す る業務に従事する活動 特定産業分野での業務に従事する者法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)
特定技能2号法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動特定産業分野での業務に従事する者3年、1年又は6月

出典:出入国在留管理庁のホームページより

このように、技能実習生、育成就労、特定技能の在留許可の分野においては、ここ2,3年の内にその環境が大きく変わってくることから、サポート体制の整備も議論されているようです。

行政書士中川まさあき事務所