外国人人材を雇用するパターン

 先週のブログで、「外国人の方を雇用したいのですがどこに相談したらいい」というテーマで記事を書きましたが、さらに経営者の方の悩みにフォーカスするため、特に中小零細企業の方が外国人の方を雇用するパターンを区分して記載することで、なにかの参考になればという思いで記述します。

そもそも、日本に在留する外国人の方は、出入国管理及び難民認定法に定められた在留資格に該当しなければ原則として日本に在留することはできず、在留資格に該当していても、就労資格のある在留資格か、あるいは、就労に制限がない在留資格でなければ例外を除き就労できないという大きな前提があることを意識する必要があります。その前提の上で、さらに、就労資格のある在留資格であっても自分の会社は対象外のケースや、資格外活動許可を得た場合であっても就労時間は週28時間以内に制限があるとか、転勤の際は変更手続きが必要かそれともいらないか届出のみで足りるのかとか、 特定技能のように法務大臣が指定する公私の機関(企業や団体)に基づき行う特定産業分野であって、法務省令で定める業務に該当するか否か、技能実習においてはそもそもその会社の職種が該当するか否か、該当する場合外国の支店や子会社の社員等を受け入れる「企業単独型」としての要件に該当するか否か、団体監理型の場合どの監理団体を選択するか・・・・また、在留期間内であるかどうか。・・・労働条件は日本人と同等以上の待遇となっているかなど人権に配慮したものになっているかなど総合的に採用可能性の是非を判断していく必要があります。加えて、採用した後の処理や手続き、費用、報告の有無などについても事前によく確認しておくことも重要です。

※中小零細企業が外国人人材を雇用するパターンは、特別なものを除き以下のようなものがあると考えられます。

永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の方を雇用する

 日本人と同じように職種や時間制限などもなく働いていただける在留資格です。永住者に方は期間無制限ですが、それ以外の方は念のため在留カードにより在留期間を確認する程度で問題なく雇用できます。

尚、2024年6月末現在 1,551,292人(特別永住者を含む)の在留者数(出入国在留管理庁HPより)となっています。

留学 の在留資格を所持するケースで、資格外活動許可を得ている方を雇用する

日本に留学の在留資格で滞在する方で、入管から資格外活動許可を得ている方についは、週28時間以内の条件で雇用することができます。(風営関係を除く)尚、2024年6月末における留学は 368,589人の在留者数(出入国在留管理庁HPより)となっていますので、その内、資格外活動許可を受けている方が雇用の対象ということになります。

特定技能 (1号)で雇用する

受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能。2024年6月現在 251,747人の在留者数(出入国在留管理庁HPより)となっています。人材を確保することが困難な状況にある産業上の16分野(介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、林業、木材産業)に限られます。同一の業務区分内又は試験によりその技術水準の共通性が確保されている業務区分間においては転職可能。特定技能2号は説明を省略。(在留者数が少ないため)

海外にいる外国人向けの説明会開催や特定技能外国人の雇用を希望する企業向けのマッチングイベントなどを各機関が行っているようです。では、特定技能を受け入れたい場合に、どのタイミングでどの機関に対し手を挙げたらいいかという点が分かりにくいのではないかと思います。出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできますので、検討中の方はこちらでご確認するといいと思います。

技能実習で雇用する

技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進目的で1993年に制度化されたものです。通常は、監理団体(非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査その他の監理事業を行う。主務大臣による免許制)と送出機関(外国政府の推薦又は認定を受けた機関)を通して外国人と受入機関(企業側)のマッチングが図られています。2024年6月末現在 425,714人の在留者数となっています。(出入国在留管理庁HPより)やむを得ない場合を除き、転籍・転職はできません。(但し、2024年改正で一定要件を満たせば転籍が認められることになりました。)尚、この制度は育成就労制度への移行がすでに決まっており、今後の動向に注目されています。 監理団体として商工会議所や商工会が認定されていることも多いようですので、会員の方はそちらで問い合わせるのがベストかもしれません。特に、制度は全く別物ではありますがイニシャルコストの面で特定技能と比較されることもあると思います。令和5年6月1日から、「監理団体の業務の運営に関する規程」をインターネットによる公表をすることが義務付けられていますので、その内容を予めよく確認してみるのも一つと言えそうです。

詳しくは、法務省、厚生労働省が公表している「外国人技能実習制度について」をダウンロードしてご確認できます。

その他の在留資格で雇用する

上記以外にも、さまざまな雇い方・雇われ方があります。技能実習から要件をクリアして特定技能への変更をして雇用することも考えられます。そのほかに、高度専門職、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、(企業内転勤)、介護、技能、特活46号などの在留資格も考えられます。これらの在留資格をもって就労する方を採用するケースは対象外であったり、中小零細企業においてはまれなケースといえるかもしれませんが、研究、開発主体の中小企業は、このような高度人材は是非とも確保したいところです。そのためには、スカウトのノウハウや、スカウトする資力、自社の訴求力など総合的な対応力が必要となります。そのための相談窓口に関しては以前紹介させていただいた通りです。

なお、2024年6月末現在 在留外国人数は3,588,956人となっています。その内、技術・人文・国際業務394,295人の在留者数となっています。(出入国在留管理庁HPより) 厚生労働省は日本で働く外国人が、令和6年(2024年)10月時点で230万人と発表していますので、凡そ、6割程度の在留外国人の方が仕事についているという単純計算になります。

行政書士中川まさあき事務所