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AIに頼る前に、確認しておくと安心なこと

AIに頼る前に、確認しておくと安心なこと

AIに頼る前に、確認しておくと安心なこと

AIに頼る前に、確認しておくと安心なこと

最近は「AIを入れたら仕事が一気に楽になる」といった話をよく聞きます。
実際、文章づくり、要約、アイデア出し、資料の下書き——AIが得意な領域は増えました。

私も、使い方次第でAIは強い味方になると思っています。
ただ、ここは率直に言います。
AIは便利ですが、頼り方を間違えると“後から苦しくなる”ことがあります。

今日は、行政書士・財務の現場目線で、AIに頼る前に「これだけ確認しておくと安心」という点を、 できるだけ分かりやすく整理します。

AIで一番怖いのは「間違い」より「気づけないこと」

AIの出力は、もっともらしく見えます。文章も整っているし、言い回しもきれいです。
だからこそ、怖いのは「間違いが混ざっていても、気づきにくい」ことです。

特に士業や経営の現場では、ひとつの誤りが「やり直し」だけで済まず、 信用・手戻り・説明責任につながります。

AIは答えを出してくれます。
でも、その答えで起きた結果を引き受けるのは、いつも“人”です。

確認①:AIに「何を任せて」「何を任せない」か

まず最初に、ここを決めておくと安心です。
AIは「得意なこと」と「不得意なこと」がはっきりしています。

AIに任せやすい(相性が良い)仕事

  • 文章のたたき台(ブログ、提案書、案内文の下書き)
  • 要約(長文の整理、会議メモのまとめ)
  • 発想の補助(見出し案、構成案、言い換え)
  • チェックの補助(抜け漏れ候補の洗い出し)

AIに任せにくい(人が主役)仕事

  • 最終判断(申請方針、経営判断、リスク評価)
  • 個別事情の読み取り(背景・関係性・本人の意向)
  • 説明責任が重い部分(根拠の提示、想定質問への対応)
  • 機微情報・個人情報の取り扱い(入力そのものに注意)

ざっくり言えば、
「下書き・整理」はAI/「決める・責任を持つ」は人
ここが曖昧なまま使い始めると、便利さと引き換えに不安が増えます。

確認②:入力していい情報、ダメな情報を決める

ここは、軽く見られがちですが、実務ではかなり重要です。
とくに行政書士業務や顧問業では、相談内容に個人情報や機微情報が含まれます。

おすすめのルール:
AIに入れるのは「匿名化した情報」まで。
名前、住所、在留カード番号、会社の未公開情報などは、原則入れない。

たとえば相談メモをAIに整理させたいなら、こういう工夫ができます。
(例)A社/製造業/従業員20名/外国人1名/更新時期は来月
というように、個人が特定されない形に置き換えてから使う。

これだけで、安心感がまるで違います。 そして、相談者に対しても「情報の扱いが丁寧な先生だ」という信頼につながります。

確認③:AIの出力は「根拠」をセットで確認する

AIの文章は、言い切りが上手いです。そこが便利でもあり、怖さでもあります。
だから私は、AIの出力を読むとき、頭の中で必ずこう問いかけます。

  • それは、どの資料・どの条文・どの要件に基づいているか
  • 例外や、前提条件はないか
  • 今回の事情に当てはめて良いか

つまり、AIの答えを「結論」として扱わず、“仮説”として扱う
これができると、AIは一気に安全で強い道具になります。

確認④:使ったことを「自分の言葉で説明できるか」

これは士業に限らず、経営者にも共通する話です。
AIの文章をそのまま出すと、相手の質問に詰まることがあります。

例えば、取引先や金融機関に提出する文章。
見た目は立派でも、「この根拠は?」「この数字の意味は?」と聞かれたときに、 自分の言葉で説明できなければ、かえって信用を落とします。

AIは、あなたの代わりに話してくれるようで、
最後は「あなた自身の説明」が問われます。

だから私は、AIで作った文章ほど、最後に一度、声に出して読みます。
そのとき違和感がある部分は、たいてい“自分の言葉になっていない”部分です。 そこを直すと、文章は一気に生きます。

確認⑤:AIで「早くなる」より、まず「ブレなくなる」ことを狙う

AIを使うと、時間短縮ばかりが注目されます。
でも、現場で効くのは、実は別の効果です。

それは、判断や説明が“ブレなくなる”ことです。
たとえば、案内文の型、ヒアリング項目の型、チェックリストの型。 これらをAIと一緒に整えておくと、仕事は安定し、疲れにくくなります。

結果として、スピードも上がります。
ただし順番は、「品質と安心」→「スピード」が良いと私は感じています。

まとめ:AIは“使う前の準備”で安心が決まる

AIは、万能ではありません。けれど、使い方を整えれば、頼もしい相棒になります。
最後に、今日のポイントを短くまとめます。

  • 任せる範囲(下書き/整理)と、任せない範囲(判断/責任)を決める
  • 入力ルール(匿名化)を先に作る
  • 出力は根拠とセットで確認する(結論ではなく仮説)
  • 最後は自分の言葉で説明できる形に整える
  • まず狙うのは時短よりブレない品質

AIは便利です。だからこそ、安心して使える形に整えることが大切です。

「何を任せて、何を自分が引き受けるか」
そこが決まると、AIは怖いものではなくなります。
迷っているなら、まずは“ルール作り”から始めてみてください。

福井県越前市を拠点に、経営と実務の現場で「安心して前に進むための整理」を大切にしています。 AIは効率化の道具である一方、信頼と説明責任は人に残る——その前提で、現実的に活用しています。

特定行政書士 中川正明

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