AIを使うほど、説明力が強みになります
AIを使うほど、説明力が強みになります
「AIがあれば、仕事は楽になる」
最近、そんな言葉をよく耳にします。
確かに、AIは便利です。文章も書いてくれる、要約もしてくれる、数字の整理もしてくれる。 行政書士やコンサルタントの仕事においても、AIは強力な相棒になります。
しかし私は、AIを使うほどに、人間側の「説明力」こそが、これまで以上に価値を持つと強く感じるようになりました。
AIは「答え」を出す。でも「納得」は出してくれない
AIは、とても優秀です。質問すれば、瞬時にそれらしい答えを返してくれます。
ただし、その答えは「正しいかもしれない答え」であって、 「相手が腹落ちする答え」とは限りません。
たとえば、補助金や許認可の相談。制度の説明だけなら、AIでも十分にできます。
しかし、実際に相談に来られる方は、次のような不安を抱えています。
- 本当に自分は対象になるのか
- リスクはないのか
- 今やるべきか、やめておくべきか
- 家族や社員にどう説明すればいいのか
これらは、単なる制度説明では足りません。相手の状況、性格、不安、背景を踏まえた翻訳が必要です。
説明力とは「うまく話す力」ではありません
説明力というと、「話がうまい人」「言葉が巧みな人」を想像されがちです。
しかし、私が考える説明力は違います。
- 相手の理解度を想像する力
- 不安の正体を言語化する力
- 難しい話を、生活レベルに落とす力
つまり、相手の立場に立ち続ける力です。
「正しい説明」と「伝わる説明」は、まったく別物です。
AI時代に消えない仕事は「説明を引き受ける仕事」
AIが普及するほど、単純な作業、単純な知識提供は、確実に置き換わっていきます。
しかし、説明を引き受けられる人の価値は、これからもっと高まります。
- 経営者に代わって数字を噛み砕いて説明する
- 制度と現場のズレを言葉にする
- 「やらない判断」を納得感をもって支える
これらは、責任と覚悟を伴うため、AIにはできません。
説明力は、誠実さから生まれる
都合のいいことだけを言わない。リスクがあるなら、きちんと伝える。 違うと思ったら、仕事を断る。
その積み重ねが、「この人の説明なら信じられる」という信頼につながります。
AIは「下書き」、説明は「あなたの仕事」
調べ物や整理、文章のたたき台はAIに任せればいい。
しかし最後に、誰に・どう伝えるのかを考えるのは人間の仕事です。
説明力は、人生経験がそのまま武器になる
失敗や遠回りの経験があるからこそ、相手の不安に現実的な言葉で寄り添えます。
「それ、気になりますよね」
「そこが一番怖いですよね」
そんな言葉は、マニュアルからは生まれません。
AIを使うほど、「あなたに聞きたい」と言われる存在へ
これからの時代は、「何を知っているか」よりも 「誰に説明してもらいたいか」が問われます。
AI時代だからこそ、人間らしい説明が最大の武器になる。
説明が難しい、どう伝えたらいいかわからない。
そんなときは、一度立ち止まり、言葉を整えるところから一緒に考えてみませんか。
それが、私の仕事です。
