福井県越前市で奮闘中の特定行政書士・申請取次行政書士です。各種許認可、相続、在留資格関連、会社経営、不動産のことでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

【育成就労 新制度の舞台裏】2つの閣議決定が描く「外国人材受入れ」の全体像

【育成就労 新制度の舞台裏】2つの閣議決定が描く「外国人材受入れ」の全体像

【育成就労 新制度の舞台裏】2つの閣議決定が描く「外国人材受入れ」の全体像

少子高齢化が進む日本において、
人手不足はすでに「一部の業界の問題」ではなく、社会全体の課題となっています。

こうした状況を受け、政府は

  • 特定技能制度の運用見直し
  • 技能実習制度に代わる新制度 「育成就労制度」

を柱とする、新たな外国人材受入れ政策を本格的に動かし始めました。

この流れを理解するうえで欠かせないのが、

  • 令和7年3月11日  特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針について

  • 令和8年1月23日  特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針及び特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について

に行われた、2つの閣議決定です。

一見すると分かりづらいこの2つの決定ですが、
実は「理念」と「実務」を明確に分けた、非常に整理された構造になっています。

行政書士として、その関係性を分かりやすく解説します。

1.令和7年3月の閣議決定|制度の「骨格」を定めた基本方針

【新制度スタート】日本が「選ばれる国」へ。外国人材の育成と確保に向けた新方針

深刻な人手不足が続く中、政府は「特定技能制度」の運用見直しと、新設される「育成就労制度」に関する基本方針を決定しました,。今回の改革は、単なる労働力不足の解消ではなく、日本を**「魅力ある働き先として選ばれる国」**にすることを明確な目標としています。

主なポイントは以下の3点です。

1. 「育てる」と「即戦力」の2段構え

これまでの制度を刷新し、2つの仕組みで外国人材の活躍を後押しします。

育成就労制度: 3年間の就労を通じて、未経験からでも「特定技能1号」レベルの技能を習得できるよう、計画的に人材を育成する制度です。

特定技能制度: 一定の専門性・技能を持つ即戦力を受け入れる仕組みです。長期滞在や家族の帯同が可能な「2号」へのステップアップも想定されています。

2. 働く人の「権利保護」と「キャリアアップ」を重視

外国人材が安心して働ける環境を整えるため、待遇やルールが厳格化されました。

日本人と同等以上の報酬: 賃金や昇給などの待遇において、日本人と同等以上であることが必須となります。

原則「直接雇用」: 責任ある雇用管理を行うため、フルタイムでの直接雇用が原則です。

転籍(転職)の容認: 一定の条件(1〜2年間の就労や技能・日本語水準の達成など)を満たせば、本人の意向による転籍が可能になります。

3. 国を挙げた適正な運用

制度の悪用を防ぎ、共生社会を実現するための体制も強化されます。

• 不適正な送り出し機関を排除するため、政府間での二国間取決めを推進します。

• 悪質なケースに対しては、改善命令や認定の取消しなど、厳格な監督権限が行使されます。

• 特定地域への過度な集中を防ぎ、地方での人手不足にも適切に対応していきます。

まとめ

今回の基本方針は、外国人を単なる「人手」としてではなく、「共に日本を支えるパートナー」として育成・確保していくという強い意志の表れです。この新方針は、制度施行から3年後を目途に、実態に合わせてさらなる見直しも検討される予定です。

日本の経済社会を維持・発展させていくための大きな転換点となるでしょう。

2.令和8年1月の閣議決定|現場を動かす分野別運用方針

【現場ルール決定!】外国人材の新制度「育成就労」と「特定技能」はどう変わる?

いよいよ新制度の具体的な「現場のルール」が固まりました! 令和8年1月、政府は「育成就労制度」と「特定技能制度」について、介護や建設、農業など各業界ごとの具体的な運用ルール閣議決定しました。

前回の「基本方針(令和7年3月)」が制度の土台だとすれば、今回の決定は**「明日から現場でどう動くか」を決める実践編**です。注目のポイントを3つに凝縮して解説します。

1. 「受入れ人数」の枠が決定(今後5年間)

人手不足を解消するため、それぞれの業界で今後5年間に受け入れる外国人の上限数が決まりました。

介護分野: 16万700人(特定技能1号:12万6,900人、育成就労:3万3,800人)

製造業分野: 31万9,200人

建設分野: 19万9,500人

単に数を受け入れるだけでなく、ロボットの活用や賃上げなどの「国内での努力」をしてもなお足りない分を外国人に担ってもらう、という考え方が強調されています。

2. 気になる「転籍(転職)」の制限期間

新制度「育成就労」の目玉である、本人の意向による転籍。今回の決定で、業界ごとに**「何年働けば転職できるか」**が具体的に決まりました。

「2年」制限の分野: 介護、製造業、建設、造船、自動車整備

    ◦ ※教育に時間がかかる、あるいは地方からの人材流出を防ぐ「激変緩和措置」として、当面の間は2年に設定されています。

「1年」制限の分野: 農業、外食、飲食料品製造、ビルクリーニング、宿泊、物流倉庫など

また、2年制限を選んだ企業は、1年経過後から**「昇給」などの待遇改善**を行うことがルール化されています。

3. キャリアアップを応援!「育成プログラム」の導入

外国人を単なる労働力としてではなく、プロとして育てる仕組みが本格化します。 各省庁は業界団体と協力して、**「育成・キャリア形成プログラム」**を策定します。

• 「どのレベルでどんな技能を学ぶか」を明確にし、本人が自分の成長を予測できるようにします。

• 「特定技能2号」になれば、熟練した技能者として認められ、在留期間の更新制限がなくなるほか、家族を日本に呼ぶことも可能になります。

まとめ:日本を支える「パートナー」を迎える準備へ

今回の決定により、各業界の具体的なハードルや目標がはっきりしました。

今後は、**「日本人と同等以上の報酬」はもちろん、「選ばれる職場」**になるための環境整備が企業側に求められます。外国人材と共に成長する、新しい日本の形がいよいよ動き出します!

3.2つの閣議決定の関係性|理念から実践へ

この2つの閣議決定の関係は、とてもシンプルです。

令和7年3月の基本方針が
『何を目指すのか(理念・共通ルール)』を示し、

令和8年1月の分野別運用方針が
『それを現場でどう実行するか(具体策)』を定める。

たとえば、

  • 基本方針で
     「転籍は1~2年の範囲で制限可能」と示し
  • 分野別運用方針で
     「この業界は教育に時間がかかるため2年」と具体化する

こうした形で、
理念が数字とルールに落とし込まれています。

まとめ|「人を育てる制度」が、現場ごとに動き出す

この2段階の閣議決定によって、

外国人材を
単なる労働力ではなく、
「共に成長し、日本を支えるパートナー」

として迎えるための準備が整いました。

今後は、

  • 分野別運用方針に基づく実務運用
  • より透明で責任ある雇用管理
  • 外国人材のキャリア形成を見据えた受入れ

が、各業界・各事業所で本格的に問われていきます。

制度を「知っている」だけでは足りず、
「正しく理解し、現場でどう使うか」 が重要な時代です。

日本の産業と地域社会の持続可能性を守るための、
大きな一歩が、いま始まっています。

特定行政書士 中川正明

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry