日本に入国・在留する外国人は、原則として入管法に定める在留資格のいずれかを有する必要があります。在留資格は、29種類が設けられており、次の二つに大別できます。
ア)その外国人が日本国内で行う活動に着目して分類された在留資格(以下の表、①②③④⑤の在留資格)
「何をするか」がポイント
イ)その外国人の身分や地位に着目して分類された在留資格(以下の表、⑥の在留資格)
「誰であるか」がポイント
①上陸許可基準の適用なく 就労活動が認められるもの
在留資格 | 在留期間 | 該当例 |
外 交 | 外交活動の期間 | 外国政府の大使、公使、総領事 代表団構成員等、その家族 |
公 用 | 5年、3年、1年又は3月、 30日又は15日 | 外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者、その家族 |
教 授 | 5年、3年、1年又は3月 | 大学教授 |
芸 術 | 5年、3年、1年又は3月 | 作曲家、画家、著述家等 |
宗 教 | 5年、3年、1年又は3月 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師 |
報 道 | 5年、3年、1年又は3月 | 外国の報道機関の記者、カメラマン |
②上陸許可基準の適用があるが、就労活動が認められるもの
在留資格 | 在留期間 | 該当例 |
高度専門職 | 5年 無期限 | 法務大臣が指定する公私の機関との契約に基づき学術研究・技術指導・教育、自然科学、人文科学、技術に関する業務を行い又は関連事業を自ら経営 |
経営・管理 | 5年、3年、1年、6月、4月 又は3月 | 外資系企業の経営者・管理者 |
法律・会計業務 | 5年、3年、1年、又は3月 | 弁護士、公認会計士 |
医 療 | 5年、3年、1年又は3月 | 医師、歯科医師 |
研 究 | 5年、3年、1年又は3月 | 政府関係機関や私企業等の研究者 |
教 育 | 5年、3年、1年又は3月 | 高校・中学校等の語学教師等 |
技術人文知識・国際業務 | 5年、3年、1年又は3月 | 機械工学等の技術者 通訳、翻訳、デザイナー 私企業の語学教師等 |
企業内転勤 | 5年、3年、1年又は3月 | 外国の事業所からの転勤者 |
介 護 | 5年、3年、1年又は3月 | 介護福祉士 |
興 行 | 3年、1年、6月、3月又は30日 | 俳優、歌手、ダンサー プロスポ-ツ選手 |
技 能 | 5年、3年、1年又は3月 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機等の操縦者、貴金属等の加工職人 |
特定技能 | 1号 1年を超えない範囲 2号 3年、1年又は6月 | 特定産業分野の相当程度の技能工 熟練工 |
技能実習 | 1号 1年を超えない範囲内 2号、3号 2年を超えない範囲内 | 技能実習生 |
③上陸許可基準の適用はないが、就労活動が認められないもの
在留資格 | 在留期間 | 該当例 |
文化活動 | 3年、1年、6月又は3月 | 日本文化の研究者等 |
短期滞在 | 90日、30日又は15日 以内の日単位 | 観光客、会議参加者等 |
④上陸許可基準の適用があり、かつ就業活動が認められないもの
在留資格 | 在留期間 | 該当例 |
留 学 | 4年3月を超えない範囲内で 法務大臣が個々に指定する期間 | 大学、高等専門学校、高等学校、特別支援学校、専修学校、各種学校又は設備及び編制に関してこれに準ずる機関において教育を受ける活動 |
研 修 | 2年、1年、6月又は3月 | 研修生 |
家族滞在 | 5年を超えない範囲内で 法務大臣が個々に指定する期間 | ①②③(外交、公用、特定技能1号、技能実習及び短期滞在を除く)の在留資格をもって在留する者又は留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 |
⑤就労の可否は指定される活動の内容によるものとされるもの
在留資格 | 在留期間 | 該当例 |
特定活動 | 5年、3年、1年、6月又は3月 3年又は1年 5年を超えない範囲で個々に指定する期間 | 法7条1項2号の告示で定める活動 外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー等 |
⑥身分・地位に基づき就労活動ができる(就労制限なし)とされるもの
在留資格 | 在留期間 | |
永住者 | 無期限 | |
日本人の配偶者等 | 5年、3年、1年又は6月 | |
永住者の配偶者等 | 5年、3年、1年又は6月 | |
定住者 | 5年、3年、1年又は6月 |
※注意しなければならない点は、就労活動ができるものとされているものは、更に、本邦の公私の機関等との契約に基づくものとそうでないもの、他社等への転職が許されるものとそうでないもの、法務大臣が指定する公私の機関との契約に基づき就労ができるものなどがあるという点です。
また、就業活動できないものであっても、例外的に資格外許可を受けて就労活動できる場合もある点についても留意する必要があります。
このように、法律の適用解釈にあたっては、「原則」「例外」「例外の除外規定」「特例」の各存在を認識しつつ、個々のケースに応じた前提となる法規の確認、事実確認・要件当てはめ、結果判断という法的三段論法を常に意識した業務遂行が求められているといえます。