建設業における技術者 分かりにくい?

 建設業における技術者は、各営業所に専任する専任技術者や、各現場に配置する配置技術者主任技術者監理技術者)があります。また、専任の監理技術者は、例外的に複数の現場の兼任が認められる特例監理技術者の制度もあります。これらを表にまとめると以下のようになります。特に留意してみていく必要があるのは、一般と特定での要件の違いと、建設業の種類の中でも指定建設業と呼ばれる(土木、建築、電気、管工、鋼構造物、舗装、造園の7業種)と電気通信工事の適用範囲などです。

専任技術者 要件例

配置技術者 (主任技術者、監理技術者)

特に、専任が求められる 主任技術者と監理技術者

兼任が認められる 監理技術者の要件例

原則として、監理技術者は1つの現場への専任性が求められますが、以下の要件を満たす場合は複数の現場を兼任することが認められる場合もあります。

兼任が認められる要件

  1. 近接する現場であること
    • 監理技術者が管理する現場が物理的に近接しており、移動が容易であることが求められます。
    • 具体的な距離の目安や条件については、国土交通省のガイドラインを基に判断されます。
  2. 適切な管理体制が確保されていること
    • 監理技術者が複数の現場を適切に管理するための体制が整っていることが必要です。
    • 必要に応じて補助的な技術者を配置することが求められる場合もあります。
  3. 工事の進行状況が重ならないこと
    • 兼任する現場の工事の進行状況が重ならず、監理技術者が適切に対応できることが条件となります。
  4. 発注者の承諾を得ること
    • 兼任する現場ごとに、発注者の承諾を得ることが必要です。
    • 承諾が得られない場合は兼任が認められません。
  5. 監理技術者の資格と経験
    • 監理技術者資格者証を有していること。
    • 監理する工事に関する適切な知識と経験を有していること​。

建設業における配置技術者となり得る国家資格等一覧

一覧を当てはめる場合、一般と特定、指定業種とそれ以外の業種に注意してみていく必要があります。

【出典:国土交通省ホームページより】

国土交通大臣が専任技術者として例外的に認定する場合

●一般建設業の場合で、国土交通大臣が例外的に認める場合(建設業法第7条第2号)ハ

(1) 登録基幹技能者

  • 対象者
    • 一定の業務経験を持ち、国土交通省が認定する基幹技能者講習を修了した者。
  • 登録基幹技能者(登録解体基幹技能者、登録建築大工基幹技能者など)

(2) 海外における建設工事経験者

  • 対象者
    • 日本国外で建設工事の実務経験を有する者で、その経験が日本国内の建設業と同等と認められる者。

●特定建設業の場合で、国土交通大臣が例外的に認める場合(建設業法第15条第2号)ハ

(1) 指導監督的実務経験者

  • 対象者
    • 建設業の施工に関し、発注者から直接請け負った請負金額が政令で定める金額以上の工事について、2年以上指導監督的な立場で経験を積んだ者。

(2) 国外の施工管理経験者

  • 対象者
    • 海外の大規模な建設プロジェクトにおいて、施工管理者またはプロジェクトマネージャーとして一定の指導監督的な経験を有する者。

(3) 特殊技術を有する者

  • 対象者
    • 特定の建設業種において、極めて専門性の高い技術を持つ者で、資格は有しないが同等以上の能力があると評価される者。

まとめ

それぞれの専任技術者となり得る資格を有するかどうかは、国家資格だけに限らず、実務経験、工事規模と指導監督経験、学歴、指定学科、国家試験1次合格者などの組み合わせによる場合や、例外的に国土交通大臣が認定する場合などがありますので、よく吟味しなければ要件に当てはまるか当てはまらないのかの判断が容易ではないケースが多いです。そして、それらの要件にあてはまる事を疎明する資料を揃えるのもこれまた容易ではないケースも多いようです。特定建設業の場合で、指定建設業の場合は、国家資格1級免許がないとそれ以外にあてはまる方を探そうとしてもなかなか見つからないのが現実です。それだけ、厳しい要件の許認可ということになります。

以上の記述は、主として現時点における要件に基づいていますが、閣議決定や国会の議決により要件が緩和されたり、厳しくなったり、上下限の額が変更されたりと、改正されることがしばしばありますのでご注意ください。

行政書士中川まさあき事務所