相続・遺産整理 

 不幸にして身内が亡くなった場合に、どうしたらいいか、誰に相談すればいいか、とりあえず何をすればいいかなどについて悩むことがあるかもしれません。そんなときは、街の身近な行政書士にご相談されることをおすすめしています。相続に関してもめているようなケースは弁護士先生へご相談していただく必要がありますが、それ以外は、相続専門の行政書士が窓口となって様々な対応を承るケースが多いようです。なぜなら、行政書士は、下記に記載の行政書士法に定められている通り、「権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業としている」ことに起因します。もちろん、本人申請する場合を除いては不動産の登記に関しては司法書士先生へご依頼する必要があり、相続税に関するご相談や申告は税理士先生へご依頼する必要がありますので、行政書士がこれらのご依頼をお受けすることはできません。このような場合は、相続専門の行政書士が窓口となって他士業の先生と連携して総合インフォメーションセンター的な位置づけとなり、パイプ役・調整役を担う方が合理的といえるかもしれません。行政書士は相談者からお話しを伺い、戸籍を収集したり、財産調査をしたり、相続関係説明図、財産目録、遺産分割協議書などを作成するために様々な準備や対応をすることになります。それらの調整の結果を受けて、はじめて相続人の方が不動産の登記や相続税の対応をしていくことになります。もちろん、相続税が発生するような案件に関しては、専門の税理士先生に当初の段階から関与をお願いすることも多いようです。

行政書士法

第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。2 行政書士は、前項の書類の作成であって、の業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

行政書士法 第1条の2を抜粋

遺言書がないかどうかを確認する

遺言書は、

●自筆証書遺言の場合は、①自宅や金庫などに保管されているか、または、②法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局へ預けられている。

公正証書遺言の場合は、③公証人役場に保管されている。

                のいずれかということになります。

 また、②の法務局の保管制度を利用している場合は、法務局から連絡(通知)があるので、遺言書があることが分かりますが、公正証書遺言書の場合は公証人役場から特段の連絡(通知)はないので、生前に本人から作成した旨の話しを聞いておくなどの対応が必要かもしれません。自宅保管の自筆証書遺言の場合も同様に、遺言書の存在の有無は本人が話さない限り知る余地がないということになります。(あえて伝えていないというケースも考えられます。)

⇒ 自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所の検認手続きが必要となります。(公正証書遺言、法務局の保管制度を利用した遺言書は、検認手続き不要!)

公正証書遺言とは、どのようなものですか?

  1.    公正証書遺言の作成
       公正証書遺言は、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人が、それが遺言者の真意であることを確認した上、これを文章にまとめたものを、遺言者および証人2名に読み聞かせ、または閲覧させて、内容に間違いがないことを確認してもらって、遺言公正証書として作成します
       なお、民法では、「証人二人以上」と定められていますが、公証実務では、証人が3名以上になることはなく、証人2名で公正証書遺言が作成されます。
       遺言者が遺言をする際には、どのような内容の遺言にしようかと思い悩むことも少なくないと思います。そのようなときでも、公証人が、親身になって相談を受け、必要な助言をしますので、遺言者にとって、その意向に沿った最善と思われる遺言書を作成することができます。
  2.    公正証書遺言の費用
       費用がどの程度必要かについてご心配かもしれません。費用は、政令で定められており、相談は、全て無料となっています。
日本公証人連合会のホームページより引用

【法務省のホームページより引用】

相続をするかどうかを決める

下記の条文の通り、相続人は、相続を放棄するか、単純承認するか、限定承認するかを決める必要があり、下記の期限3か月以内に申出しない場合には、単純承認したとみなされるため特に留意が必要です。(例えば、財産より借金の方が特に過大な場合は、放棄をすれば負債を相続することも、財産を相続することもなくなる一方、何も申出しなかったら、財産も負債も相続することになります。尚、負債の範囲内で財産を相続するという限定承認の場合は、財産以上の負債は相続しないというように考えればよく、負債がどの位あるかわからないという場合には限定承認するという選択肢もありえるということになります。

民法第915条

  1. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
  2. 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
民法915条 抜粋して掲載

遺言執行者の選定

⇒ 遺言書がある場合、遺言書の内容に従い、指名された遺言執行者が執行する。

  (行政書士、司法書士、税理士、弁護士など専門家を指名するケースが多い)

⇒ 遺言執行者の指名がない場合は、遺言書で指定された第三者に選んで頂く方法や、

  家庭裁判所に選んで頂くという方法のいずれかによります。

  また、遺言執行者が就任を承諾したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。(民法1007条2項)という規定がありますので留意が必要です。

相続専門の行政書士、他士業の先生方が公正証書遺言作成に関与される場合には、立会人の手配や遺言執行者としての業務受託、そして、実際の遺言執行までをワンストップで行うというメリットがあります。

相続人の確定と相続財産目録の作成

●被相続人の方の生まれてから、死ぬまでの戸籍を調査して、相続人となる方を確定し、相続関係説明図などを作成します。

●相続人の中に、未成年者の方がいる場合は特別代理人の方を、また、痴呆などのため意思表示が出来ない方等がいる場合は、成年後見人の方を、それぞれ立てる必要がある場合があります。

●財産調査を行い、全ての財産、負債の洗い出しを行います。

 預貯金、株式など有価証券、投資信託、生命保険、自動車、不動産、その他債権、負債(借金)、保証人

●不動産でよくあるのが、既に亡くなっている先代の方の名義になっている物件があったり、未登記の物件があったりすると、そちらの処理に時間がかかったりする場合も懸念されています。

遺産分割協議

●財産や負債を各相続人がどのように配分するかを相続人全員で協議して決めます。

 (尚、遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って配分しますので、協議は原則不要ということになります。)

 協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し相続人全員が署名(記名)、押印(実印)します。

配分・事後手続き・届出・申告等

●遺産分割協議書や遺言書を提示するなどして、名義変更手続き、不動産の相続登記、有価証券等の移管手続きなどを銀行、証券会社、生保会社、自動車会社、法務局などへ手続きを行います。

この際、相続人本人が行う場合もありますが、多くの場合、専門家が委任を受けて行うことも多いようです。この場合、提出先所定の委任状が必要な場合もあります。

●不動産の換金 不動産を売却してその換金分を分配する場合もあり、こちらの手続きも遺言執行者が単独で行うことができます。

●農地法第3条の3第1項の規定による届出書、土地改良区など 組合員資格得喪通知書

●各種資格の届出(士業、国家資格等)

●各種許認可の変更届出若しくは新規申請、または、包括継承に関する届出や申請

●故人が会社役員等である場合の事後処理、後任選出手続き、取締役会、株主総会決議

●年金関係の手続き(社労士へ依頼)

●山林所有の場合は、役所への届出(森林の土地の所有者届出)が必要な場合もあります。

●税理士先生との協議を経て、必要に応じて税理士先生へ依頼して、相続税等の申告、納税などの手続きを行うことになります。(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。

以上のように簡単にまとめただけでも結構やることが多く、大変な労力と時間が必要になります。1年がかり、2年がかりということも珍しくないようです。また、反対にこのような手間をかけなくても、謄本を準備して終わるという簡単なケースも中にはあり得ます。

当事務所においても、ご相談に応じることは可能です。また、必要に応じて相続専門の先生をご紹介したり窓口としての役割を果たせるように最善を尽くしております。

行政書士中川まさあき事務所