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経営者にとっての相続

経営者にとっての相続

 
経営者にとっての相続と事業承継対策|行政書士が解説する実務ポイント

経営者にとっての相続と事業承継対策
— 後継者への引継ぎを円滑に進めるために —

相続の問題は、一般の個人だけでなく経営者にとっても避けて通れない課題です。しかも経営者の場合は、資産や遺産の承継だけでなく事業承継というもう一つの大きなテーマが重なってきます。これにより、より複雑で時間を要する対応が求められるのが実情です。

本記事では、中小企業経営者にとって重要な「事業承継と相続の関係」について、行政書士の視点から実務的に整理します。

中小企業経営者にとっての相続の特徴

中小企業では、経営者が自らの会社の株式を保有し、所有と経営が一体化しているケースが一般的です。また、親族を中心に株式を分散保有している企業も多く見られます。

そのため、経営者に万一のことがあった場合、次のような問題が生じる可能性があります。

  • 後継者が代表権を引き継ぐ際に株式をどのように承継するか
  • 経営者が個人保証している負債がどのように扱われるか
  • 会社が保有する許認可の名義変更や再申請が必要になる
  • 他の相続人や債権者との調整・交渉

このように、経営を伴う相続では、単なる資産分割の問題にとどまらず、経営の継続性をどう確保するかが重要なテーマとなります。

事業承継と相続が複雑に絡み合う理由

経営者の相続には、次のような複雑な要素が含まれます。

  • 会社株式の評価額が高額になり、相続税負担が大きくなる
  • 個人保証の存在により、負債リスクが後継者に引き継がれる
  • 経営権と財産権を分けて承継することが難しい
  • 許認可や資格者要件を満たす必要がある業種では、引継ぎに法的手続きが発生する

ポイント:
経営者が死亡すると、代表取締役の地位や株主構成が一時的に空白となり、意思決定が滞るリスクがあります。早めに「株式承継計画」や「代表者変更手続きのシミュレーション」を行うことが重要です。

経営者の相続における主な対策

① 株式・事業用資産の承継準備

会社の経営権を安定的に承継するためには、自社株式の承継計画を立てることが不可欠です。後継者が事業を継続しやすいよう、相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)の利用を検討しましょう。

② 債務保証・借入金の整理

多くの中小企業では、経営者個人が会社借入の連帯保証人となっています。万一の場合、これらの負債は相続財産として承継されるため、金融機関との再交渉保証解除の段取りも重要です。

③ 許認可や契約の確認

建設業・運送業・飲食業などの許認可業種では、代表者変更や法人の相続により再申請や名義変更が必要な場合があります。行政書士がこれらの手続きをサポートします。

④ 遺言・民事信託の活用

円滑な承継を実現するには、公正証書遺言家族信託(民事信託)を活用し、経営権の移転を明確化しておくことも有効です。

専門家を交えたシミュレーションの重要性

経営者の相続・事業承継は、税理士・行政書士・弁護士などの専門家が連携して進めることが理想的です。事前の財産評価、株式の分配方法、債務整理の方針などをシミュレーションし、想定リスクを洗い出すことが対策の第一歩です。

「まだ先の話」と思っていても、突然の事態は誰にでも起こり得ます。
早めの準備が、家族と従業員を守る最大のリスクヘッジになります。
相続・事業承継の初回相談は、行政書士・税理士など専門家へお気軽にご相談ください。

※本記事は中小企業の一般的な事業承継・相続の実務をもとにした解説です。具体的な内容は企業規模や業種により異なります。個別のご相談は専門家へお問い合わせください。

行政書士中川まさあき事務所

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