ラムサール条約登録湿地 中池見湿地 

 私は、今日、日本の53か所のラムサール条約湿地のひとつでもある「福井県敦賀市の中池見湿地」を訪ねてきました。訪れてわかったのが、この湿地が地元住民の方々の弛まぬ努力と湿地に対する愛着心、そして、管理していこうという意気込みにより支えられていると強く感じられた点にあります。それらの思いが日本における登録基準の3番目に挙げられている「地元住民などから登録の賛意が得られること」の条件にピッタリはまっているということにもなります。この湿地を案内するビジターセンターという案内所がありましたが、市民のボランティアや訪れた方々の寄付によって支えられているということです。このような大切な登録湿地は公が主体となって管理されているものと考えがちですが、決してそれだけでは到底管理できないというのが実際のところのようです。ボランティアの方々により湿地に紛れ込んだ外来種でもあるザリガニの捕獲に日々取り組んで生態系の保護に努めている実態が分かりました。大変ありがたい限りです。

ラムサール条約とは

環境省のWEBサイトによれば、ラムサール条約は1971年2月2日にイランのラムサールという都市で開催された国際会議で採択された湿地に関する条約
で「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と説明されています。

ラムサール条約における湿地とは、以下のように定義
湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(海水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む。」(条約第1条1)

ラムサール条約の3つの柱は、以下のとおり
①保全・再生 
水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活を支える重要な生態系として、幅広く湿地の保全・再生を呼びかけています。

②ワイズユース(賢明な利用)
ラムサール条約では、地域の人々の生業や生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の「賢明な利用(Wise Use:ワイズユース)」を提唱。
「賢明な利用」とは、湿地の生態系を維持しつつそこから得られる恵みを持続的に活用すること。
③交流・学習(CEPA)

ラムサール条約では、湿地の保全や賢明な利用のために、交流、能力養成、教育、参加、普及啓発(CEPA)を進めることを大切にしています。

国際的に重要な湿地の基準

基準1:
特定の生物地理区内で代表的、希少、または固有の湿地タイプを含む湿地
基準2:
絶滅のおそれのある種や群集を支えている湿地
基準3:
特定の生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物を支えている湿地
基準4:
動植物のライフサイクルの重要な段階を支えている湿地。または悪条件の期間中に動植物の避難場所となる湿地
基準5:
定期的に2万羽以上の水鳥を支えている湿地
基準6:
水鳥の1種または1亜種の個体群の個体数の1%以上を定期的に支えている湿地
基準7:
固有な魚類の亜種、種、科、魚類の生活史の諸段階、種間相互作用、湿地の価値を代表するような個体群の相当な割合を支えており、それによって世界の生物多様性に貢献している湿地
基準8:
魚類の食物源、産卵場、稚魚の生息場として重要な湿地。あるいは湿地内外の漁業資源の重要な回遊経路となっている湿地
基準9:
鳥類以外の湿地に依存する動物の種または亜種の個体群の個体数の1%以上を定期的に支えている湿地

条約事務局が管理する「国際的に重要な湿地に係る登録簿」に掲載された湿地は世界に2434条約湿地があり、日本の条約実地は53か所、15万5,174ヘクタールあるとされています。

日本での登録基準は以下の通り
①国際的に重要な湿地であること(国際的な基準のうちいずれかに該当すること)
②国の法律(自然公園法、鳥獣保護管理法など)により、将来にわたって、自然環境の保全が図られること
③地元住民などから登録への賛意が得られること

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行政書士中川まさあき事務所