外国人「経営・管理」ビザ厳格化|福井の特定行政書士が解説


近年、福井県を含む北陸地方でも外国人による起業や事業拡大が進んでいます。その中心的な制度である「経営・管理」ビザの要件が、2025年以降、国(出入国在留管理庁)により大幅な厳格化が予定されています。特に「資本金500万円以上」または「常勤職員2名以上雇用」のいずれかでよかった現行制度が、今後は「資本金3,000万円以上」かつ「常勤職員1名以上雇用」と、“両方”の要件を同時に満たす必要が生じる方向です(朝日新聞2025年8月4日報道)。これは、福井・北陸でビザ申請を考える方にとって極めて大きな影響を与えるため、最新の公式情報を基に詳細に解説します。

【経営・管理ビザの現行要件(出入国在留管理庁 省令より)】

現行制度は、

  • 資本金または出資の総額が500万円以上
  • 日本国内に居住する常勤職員2名以上を雇用
    いずれか一方を満たせば申請可能です。
    (出典:法務省 出入国在留管理庁ガイドライン
    これにより、例えば「十分な資金がなくても2名雇用すればOK」「1人会社でも500万円あればOK」といった多様な起業モデルに対応できていました。

【H2: 新制度案の厳格化ポイント(2025年省令改正予定)】
2025年夏の報道では、出入国在留管理庁が下記の方針で最終調整中とされています。
「出入国在留管理庁は、外国人が日本で企業の経営や管理を行うための在留資格『経営・管理』の要件について、現行の資本金500万円以上などから、原則3,000万円以上へと引き上げる方向で最終調整に入った。加えて、1人以上の常勤職員の雇用を義務付ける案も浮上している。2025年内の省令改正と施行が計画されている。」
(出典:朝日新聞 2025年8月4日付

新制度案では、「資本金3,000万円以上」と「常勤職員1名以上雇用」の両方の要件が同時に求められる予定です。 従来の「いずれかで可」という選択肢が失われ、厳格化の度合いは非常に大きい**といえます。

【「2名→1名」の雇用要件は実務上“緩和”にはならない】

一見、雇用要件が2名から1名に減ることで負担が軽くなったようにも見えますが、新制度では資本金3,000万円以上が必須となるため、総合的には大幅な厳格化です
特に、従来の「2名雇用で資本金不要」「資本金だけでOK」といった多様な起業形態が認められなくなります。
「1名になったから緩和」というより、むしろ要件が複合化し、柔軟性がなくなった点に注意が必要です。

【福井・北陸での経営管理ビザ申請への影響と実務ポイント】

資金調達のハードルが大きく上がるだけでなく、雇用面でも選択肢が狭まることで、
地方都市の起業・事業承継にも大きな影響が出ます。

  • 資本金3,000万円を準備できなければ、1名雇用しても申請できない
  • 500万円の小資本での起業が不可能に
  • 従来の柔軟な人員配置や家族経営の起業も困難に
    こうした大幅な制度改正は、特に地方での外国人起業家にとって深刻な壁となります。

【福井エリアの現場感と実際の申請事例】

福井県内の近年の事例では、資本金500万円の確保や、2名の雇用による申請など、柔軟な対応が可能でした。今後は3,000万円以上の資金と1名以上の雇用を同時にクリアしなければならず、「雇用人数が減ったから楽になる」というよりも、「選択肢が減りハードルが一層上がった」といえます。

【Q&A ~制度改正前後の実務の違い~】

Q1. 「今、500万円で申請しても大丈夫ですか?」
A. 改正前であれば申請可能ですが、改正時期が近づいているため、早期の準備を強く推奨します。
Q2. 「3,000万円の資本金が用意できない場合は?」
A. 改正後は申請自体が困難になります。詳細は省令改正時の公式発表をご確認ください。
Q3. 「雇用要件が1名になることで実務上有利ですか?」
A. 従来は2名雇用することで資本金要件を回避できましたが、今後は両方が必須となるため、雇用人数が減ることによるメリットはほとんどありません。

【まとめと今後の対策(福井・北陸の外国人経営者・申請者へ)】

今回の改正は、地方でも例外なく大きな影響を与えます。

  • 「資本金500万円または2名雇用」時代は終わり、「3,000万円以上+常勤1名雇用」の新基準に
  • 選択肢がなくなり、資金・人材の両面でより高度な準備が必要
  • 既存のビザをお持ちの方も更新時の新基準適用に備えて経営体制の見直しを
    必ず法務省・出入国在留管理庁の公式発表で最新情報を確認し、早めに専門家へご相談ください。

【福井の行政書士へのご相談案内】

資本金要件や新制度に関するご相談は、福井県内の行政書士(申請取次行政書士)がサポートします。

  • 最新の法改正動向や公的な申請手続きに関するご質問
  • 必要資料・証明方法の具体的なアドバイス
  • 既存ビザの更新時に備えた体制見直し相談
    など、お気軽にご相談ください。

【参考・引用】

本記事は2025年8月時点の公式情報および報道に基づき作成しています。
今後の省令改正や運用詳細については、必ず法務省・出入国在留管理庁の最新発表をご確認ください。

行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)