
【福井の中小企業・個人事業主と経理業務の現状】
福井をはじめとする北陸地域の中小企業や個人事業主にとって、経理業務は日常業務の中で大きな負担となる分野の一つです。
特に、取引量が多い不動産業や建設業、あるいは補助金・助成金の活用が多い業種では、領収書や請求書の管理、仕訳、決算業務まで多岐にわたる作業が発生します。
こうした経理業務の負担を軽減し、事業に集中できる環境を整えるために、多くの事業者が会計ソフトを導入しています。
会計ソフトは単なる記帳ツールではなく、日々の業務を自動化し、時間とコストを削減する経営サポートツールとしても活用できます。
なお、参考のため、日本政策金融公庫が実施した「中小企業のデジタル化に関する調査」に関する日本商工会議所の記事と、株式会社MM総研の調査結果の記事を引用して掲載させていただきます。一方の日本政策金融公庫の調査では、公庫の取引先を対象としてるため、会計システム導入率は86.9%とかなり高い導入率となっていますが、株式会社MM総研の調査対象先は個人事業主が対象のため、その導入率は4割程度とかなりまだ低いことがわかります。
日本政策金融公庫(日本公庫)はこのほど、「中小企業のデジタル化に関する調査」(「全国中小企業動向調査・中小企業編」2024年1-3月期特別調査)の結果を公表した。同調査は、今年3月中旬に日本公庫の取引先(中小企業)1万2080社を対象として実施。4350社から回答を得た(回答率36.0%)。
出典:日本商工会議所HPより引用
調査結果によると、5年前と比較したデジタル化の状況については「かなり進んでいる」「やや進んでいる」と回答した企業の割合は69.6%。規模が大きい企業ほどデジタル化が進んでいることが分かった。現在のデジタル化への取り組み方針は「かなり積極的に取り組んでいる」「積極的に取り組んでいる」の合計は47.6%となっている。
デジタル化に取り組んでいる企業のデジタルツールの導入状況は、「ホームページ、SNS」が88.5%と最多。次いで「会計システム」(86.9%)、「Web会議システム」(68.3%)、「販売管理システム」(62.1%)、「勤怠・労務管理システム」(58.4%)の順となった。デジタルツールの導入による業績全体へのプラスの影響については5割超が「期待以上の成果が上がっている」「期待通りの成果が上がっている」と回答。デジタルツールの導入による具体的成果としては、「業務の効率化」「業務の標準化」で期待以上・期待通りの成果が上がっているとの回答が過半を占めている一方、「人手不足の解消」については「期待したほどの成果は上がっていない」(46.9%)とする割合が高かった。
デジタル化の課題については、「導入コストの負担が大きい」が56.2%と最多。次いで「費用対効果を図ることが難しい」(50.0%)、「維持コストの負担が大きい」(40.2%)の順となっている。デジタル化を主導する人材の過不足については「かなり少ない」「やや少ない」の合計が69.4%。規模別、業種別でも同様の傾向が見られ、人手不足が課題となっていると分析されている。デジタル化を主導する人材を確保する取り組みとしては「既存従業員の教育」(34.6%)、「人材の中途採用」(24.2%)、「ITベンダーなどの活用」(20.6%)などが挙げられている。
今後今後5年間のデジタル化への取り組み方針については、「かなり積極的に取り組む予定」は6.8%、「積極的に取り組む予定」は50.3%だった。
個人事業主のクラウド会計利用率は33.7%へ、引き続き拡大基調
「クラウド会計ソフトの利用状況調査(2024年3月末)」
2024年04月25日
■クラウド会計ソフトの利用率は33.7%、前年比2.7ポイント増と引き続き拡大基調
■インボイス制度の開始を含めた行政手続きのデジタル化がクラウド利用を後押し
■クラウド会計ソフトの事業者別シェアは弥生が53.6%、freeeが24.9%ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施し、2024年3月末時点のクラウド会計ソフトの利用状況をまとめた。本調査では2023年(令和5年)分の確定申告を実施した個人事業主(24,878事業者)を対象とした。調査結果によると会計ソフトを利用している個人事業主は40.2%となった。そのうち、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト※1の利用率は33.7%で、前回調査(2023年3月)の31.0%から2.7ポイント増加した。クラウド会計利用率は引き続き拡大基調にある(データ1・2・3)。
出典:株式会社MM総研のHPより引用
クラウド会計ソフト市場は、その利便性の高さが広く認知され始め、市場の裾野を着実に広げている。市場拡大を後押しするのが政府による行政手続きのデジタル化だ。特に、2021年の確定申告から青色申告特別控除が65万円から55万円に減額されたが、インターネットで電子申告するなら65万円の控除が適用される制度が継続。加えて、2023年10月から開始されたインボイス制度も追い風となった。会計ソフト事業者もこの電子申告のメリットやインボイス制度対応、確定申告書作成の簡単さを積極的に訴求し、クラウド会計ソフトの拡販や機能強化、サポート強化に取り組んだ。今後も行政手続きのデジタル化が更に進む見通しであり、クラウド会計ソフト市場の拡大に大きな追い風となるだろう。
クラウド会計ソフトの事業者別シェアでは大手3社による寡占状況が続いている。弥生(東京都千代田区)が53.6%、次いでfreee(フリー)が24.9%、マネーフォワードが15.2%で、上位3社で93.8%を占めた。
会計ソフト導入で経理がラクになる理由
自動仕訳とデータ連携の効果(一般例)
会計ソフトの大きな特徴の一つが、自動仕訳機能です。銀行口座やクレジットカードと連動させることで、入出金データが自動で取り込まれ、勘定科目に仕訳されます。
これにより、手作業での記帳時間が大幅に減り、仕訳ミスの防止にもつながります。
例えば、経営者が経費をクレジットカードで支払った場合、その取引情報が自動で会計ソフトに反映され、経費科目に仕訳される仕組みです。
こうした自動化は、経理担当者が少ない小規模事業者にとって大きな助けとなります。
銀行口座・クレジットカードとの連動
福井県内の地銀や信用金庫でも、会計ソフトとのデータ連携に対応しているケースが増えています。
日々の入出金が自動反映されることで、現金管理や資金繰りの把握がリアルタイムで可能になります。
これにより、資金ショートや請求漏れといった経営リスクを事前に防ぐことができます。
福井の事業環境に合わせた会計ソフト選びのポイント
不動産業や建設業に適した機能(宅建士視点・一般例)
不動産業では、物件ごとの収支管理や敷金・礼金の扱い、仲介手数料の計上など、業界特有の経理処理があります。
また、建設業では工事ごとの原価管理や未成工事支出金の管理が求められます。
こうした業種に対応した会計ソフトを選ぶことで、日々の記帳から決算までスムーズに行えます。
補助金や助成金管理に役立つ機能(行政書士視点・一般例)
行政書士業務の視点では、補助金や助成金の受給管理が重要です。
会計ソフトによっては、補助金の入金管理や申請に必要な収支データの出力機能が備わっており、申請書作成の負担を軽減できます。
特に福井県では地域独自の補助制度が多いため、こうした機能は大きなメリットとなります。
会計ソフト活用で効率化できる経理作業(一般例)
領収書・請求書の電子化と保存
紙の領収書や請求書はスキャンして電子化し、会計ソフトに取り込むことで自動仕訳が可能になります。
電子帳簿保存法の改正により、一定条件を満たせば紙の原本を保管せずに電子データだけで保存できるため、保管スペースの削減にもつながります。
年末調整や確定申告の効率化
会計ソフトには、年末調整や確定申告に必要な帳票を自動作成する機能が備わっている場合があります。
これにより、税理士や会計事務所とのやり取りがスムーズになり、申告期限ギリギリで慌てるリスクを減らせます。
会計ソフト導入時の注意点
初期設定や科目設定の重要性
会計ソフトを導入しても、初期設定が不十分だと効果を発揮できません。
特に勘定科目や補助科目の設定は、業種や事業内容に合わせてカスタマイズすることが重要です。
この段階で税理士や行政書士などの専門家に相談すると、後の修正作業を減らせます。
セキュリティ対策とバックアップ
会計データは事業の機密情報です。パスワード管理や二段階認証を設定し、外部からの不正アクセスを防ぎましょう。
また、クラウド型会計ソフトであっても、定期的にローカル保存や外付けハードディスクへのバックアップを行うことが推奨されます。
外部専門家との連携でさらにスマート化
税理士とのデータ共有(一般例)
会計ソフトは、外部の税理士とデータ共有できる機能を持っています。
これにより、書類のやり取りや経理データのチェックがオンラインで完結し、打ち合わせ回数や郵送コストを減らせます。
不動産契約や行政手続きとの相乗効果
宅建士として不動産契約に関与する場合、契約金の入出金や契約書類の電子保存と会計データを連動させることで、業務全体が効率化されます。
行政書士の業務でも、許認可申請や補助金申請に必要な財務データを会計ソフトから直接出力できるため、作業時間を大幅に短縮できます。
まとめと福井の経営者へのアドバイス
会計ソフトは、単なる経理ツールではなく、経営判断を支える重要なシステムです。
特に福井県のように多業種が共存し、地域に根ざした取引が多いエリアでは、業種特化型や地域特性に合った会計ソフトの導入が効果的です。
導入後も、定期的に設定や運用方法を見直し、効率化の余地を探ることが大切です。
初期設定や業務フローの改善に不安がある場合は、宅建士や行政書士など、業界知識と法的知識を併せ持つ専門家に相談することで、より安心して活用できます。
特定行政書士への相談案内(福井対応)
- 会計ソフトの選定や初期設定のアドバイス
- 不動産業・建設業向け経理業務の効率化提案
- 補助金・助成金申請に必要な財務データ整理
福井県内および北陸地域での経理業務効率化や会計ソフト活用に関するご相談は、一般的なアドバイスから実務サポートまで対応可能です。 - 尚、税務に関するご相談には応じかねます。税務に関するご相談は必ず税理士先生へご確認ください。
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)