「資格外活動」禁止規定について

 入管法別表第二の所謂、居住資格とか身分資格とか呼ばれている在留資格に関しては、就労活動に関する規制はなく今回の論点である「資格外活動」云々という話しは無用ですが、活動に関する規制がない訳ではないとされています。これは、先の法改正により在留許可取消など罰則が強化されたことからも無視できない考え方といえます。一方、法別表第一に記載のある在留資格を有する方は、下記の入管法第19条第一項に規定されている通り、同条第二項の規定により当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動、又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請を行い許可された場合を除いて、法第19条第一項第一号及び第二号の規定にある活動を行ってはならないと定められています。これが、在留期間中における「資格外活動」禁止規定といわれるものになります。

 もっと、かみ砕いて述べるとすれば、与えられた在留資格の活動範囲内で活動することが原則ですよ。ただ、要件にあてはまる場合は申請により資格外活動許可を与えることもありますよ。これには一定の条件がありますよ。また、例外的に資格外活動許可がなくても資格外活動ができる場合もありますよ。反対に、資格外活動が原則として許可されない在留資格もありますよ。というような解説の方が分かりよいでしょうか。

資格外活動の解釈にあたっては、入管専門の先生の間でも神経を使う場面がよくあると言わてれいるのが実情で、所謂不法就労を見過ごしてしまうおそれがあるリスクも潜在的にあるようです。講師の先生方の多くが、短期滞在と資格外活動を簡単に考えてはいけない、と声を大にして注意喚起するのをよく耳にするのもそれだけ扱いが複雑かつ繊細で難しい問題といえるからです。法別表第一の三の表に記載されている「短期滞在」の在留許可の資格で、例えば、観光で滞在するケースを例にして考えると、法第19条第一項2号に規定されているように、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動は行ってはならないことになります。この場合、報酬を受けていないからといって現に収入を伴う事業を運営している場合は不法就労となるので注意が必要です。そのほかに例えば、以下の事例などは不法就労に該当することになりますので留意する必要があります。

【資格外活動として不法就労となるおそれのある事例】

  • 留学の在留資格で在留する方が、その所有預貯金を資産運用する活動(株式投資、FX投資など)
  • 短期滞在で在留する方が、会社設立、口座開設、宣伝活動等をする活動(経営・管理)決定前の準備行為等
  • 短期滞在で来日し、「技術・人文知識・国際業務」による在留資格認定証明書交付前の段階で、社内研修と国内観光をする活動
  • 表別表第一の四の表の家族滞在の在留資格を以って在留する方が、「経営・管理」の在留資格をもって在留する配偶者の業務を継続的に無報酬で手伝う活動

なお、法19条第2項の規定により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請した場合においては、以下の要件を基準に資格外活動許可をするかどうか審査されることになります。

【資格外活動許可の要件】

  • 活動資格(法別表第一の上欄の在留資格)をもって在留する方の活動であること。
  • 上記の在留資格に応じ、その活動を阻害しない範囲内の活動であること。(※在留資格該当性の判断が前提/在留資格取消処分と密接な関連性がある点に留意)
  • 上記の在留活動(本来活動)に属せず、かつ、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であること。
  • 相当と認められること。(法令違反とならないこと。収容令書の発付をうけていないこと。)

【資格外活動許可に付される条件】

  • 一週について28時間以内(包括許可)※金額ではなくあくまでも時間
  • 「教育」「技術・人文知識・国際業務」「技能」(地方公共団体等との雇用契約によるもの)が行う一週について28時間以内の「教育」「技術・人文知識・国際業務」「技能」に属する活動
  • 地方出入国在留管理局長が資格外活動を行う本邦の公私の機関の名称、所在地、業務内容その他の事項を定めて個々に指定する活動(個別許可)
  • (在留資格別に付される条件はここでは省略)

【資格外活動禁止規定の適用除外】

  • 業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金、その他の報酬
  •  イ)講演・講義・討論その他これに類似する活動 ロ)助言・鑑定その他これに類似する活動 ハ)小説・論文・絵画・写真・プログラムその他の著作物の制作 ニ)催物への参加・映画又は放送番組への出演その他これに類似する活動
  • 親族・友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること。(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬
  • 留学の在留資格をもって在留する者で、大学又は高等専門学校(第4学年、第5学年及び専攻科に限る)において教育を受ける者が当該大学又は高等専門学校との契約に基づいて行う教育又は研究を補助する活動に対する報酬

【資格外活動が原則許可されない在留資格】

  • 特定活動(医療滞在)
  • 特定活動(医療滞在付添人)(特定活動告示25号、26号)
  • 特定活動(観光・保養等のための長期滞在)
  • 特定活動(上記の者の同行配偶者)(特定活動告示40号・41号)
  • 告示外 特定活動(難民認定申請中)

(活動の範囲)

第19条 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。

 別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動

 別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業運営する活動又は報酬を受ける活動

 出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を付することができる。

 出入国在留管理庁長官は、前項の許可を受けている者が同項の規定に基づき付された条件に違反した場合その他その者に引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には、法務省令で定める手続により、当該許可を取り消すことができる。

 第16条から第18条までに規定する上陸の許可を受けた外国人である乗員は、解雇により乗員でなくなつても、本邦にある間は、引き続き乗員とみなす。

入管法より抜粋 

(退去強制)

第24条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

 第3条の規定に違反して本邦に入つた者

 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者

二の二 第22条の4第1項(第1号又は第2号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者

二の三 第22条の4第1項(第5号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者(同条第7項本文の規定により期間の指定を受けた者を除く。)

二の四 第22条の4第7項本文(第61条の2の8第2項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの

 他の外国人に不正に前章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第9条第4項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は前二節若しくは次章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者

三の二 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成14年法律第67号)第1条に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者

三の三 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者

三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者

イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第19条第1項の規定に違反する活動又は第70条第1項第1号、第2号、第3号から第3号の3まで、第5号、第7号から第7号の3まで若しくは第8号の2から第8号の4までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。

ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。

ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。

三の五 次のイからニまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者

 行使の目的で、在留カード若しくは日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第7条第1項に規定する特別永住者証明書(以下単に特別永住者証明書」という。)を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持すること。

 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、又は自己名義の在留カードを提供すること。

 偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使すること。

 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。

 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの

 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第20条第6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第26条第1項及び第26条の2第2項(第26条の3第2項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者

 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

 旅券法(昭和26年法律第267号)第23条第1項(第6号を除く。)から第3項までの罪により刑に処せられた者

 第74条から第74条の6の3まで又は第74条の8の罪により刑に処せられた者

 第73条の罪により禁錮以上の刑に処せられた者

 少年法(昭和23年法律第168号)に規定する少年で昭和26年11月1日以後に長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの

 昭和26年11月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚醒剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号)又は刑法第2編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者

 ニからチまでに掲げる者のほか、昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が1年以下のものを除く。

 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

 次に掲げる行為をあおり、唆し、又は助けた者

(1) 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸すること。

(2) 他の外国人が偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸し、又は前節の規定による許可を受けること。

 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体

(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体

(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

 オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者

 イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者

四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条若しくは第16条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条若しくは第6条第1項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの

四の四 中長期在留者で、第71条の2又は第75条の2の罪により懲役に処せられたもの

 仮上陸の許可を受けた者で、第13条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの

五の二 第10条第7項若しくは第11項又は第11条第6項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの

 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの

六の二 船舶観光上陸の許可を受けた者で、当該許可に係る指定旅客船が寄港する本邦の出入国港において下船した後当該出入国港から当該指定旅客船が出港するまでの間に帰船することなく逃亡したもの

六の三 第14条の2第9項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に出国しないもの

六の四 第16条第9項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの

 第22条の2第1項に規定する者で、同条第3項において準用する第20条第3項本文の規定又は第22条の2第4項において準用する第22条第2項の規定による許可を受けないで、第22条の2第1項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの

 第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの

 第55条の6の規定により出国命令を取り消された者

 第61条の2の2第1項若しくは第2項又は第61条の2の3の許可を受けて在留する者で、第61条の2の7第1項(第1号又は第3号に係るものに限る。)の規定により難民の認定を取り消されたもの