在留資格の変更申請や更新申請が不許可見込みの時の対応

 在留資格変更の許可申請(入管法第20条)や在留資格更新の許可申請(入管法第21条)をした場合において、何らかの事由により入管当局が不許可処分を予定しているような時は、入管当局より申請人に対し事前に呼び出しの連絡や通知があるようです。通知に基づき申請人や申請取次人が当局へ出頭すると、不許可理由の説明がなされることになります。多くの場合、その時点においては現在の在留資格の期限が既に経過していることが通常で、下記に記載の入管法第20条第6項後段に「当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き在留することができる。」と規定されている通り、不許可処分が決定されてしまうとその時点で在留期限が満了してしまうことから、とても面倒なことになる旨(不法滞在となり退去強制となってしまう)の説明も当局からなされるようです。

その上で、「申請内容変更の申出」についての説明がなされ同意するかどうかの確認が行われます。この場合、拒否する場合には退去手続きに進まざるを得ないことになりますが、これに同意した場合においては「特定活動(出国準備)」の在留資格を付与する処分がなされることになり、古い在留カードの返却と旅券に特定活動の指定書を添付して渡されることになるようです。そしてなんとか就労活動はできないにしても、在留期限が新たに付与され出国準備期間として在留が可能となる訳です。 ここで拒否するという選択肢をとる申請人はほとんどいないと思いますが、それでも拒否して不許可処分確定となり強制退去を受け入れる方はどの程度おられるのでしょうか。機会があればこの点も調べていきたいと個人的には考えています。

 「特定活動(出国準備)」の在留資格が付与される場合でも、在留期間が30日の場合と31日の場合があるようです。この1日の違いは、30日の方は法第20条第6項の規定により除外されることから在留資格の変更許可申請ができませんが、31日の方は原則として変更許可申請ができるということになり、「特定活動(出国準備)」の在留資格を更に、希望する在留資格への変更許可申請をする選択肢が生まれる。ということになります。従って、申請取次した行政書士が同行する場合には、この30日か31日かで先生はドキドキするようです。これらの対応のためには、急を要するため、前段の不許可事由の説明を受ける時点である程度不許可事由を予測絞り込んだうえで、代替案など対応資料を準備できるような場合には、31日の在留期間中に変更許可申請に間に合う可能性も残されるということになります。また、不許可事由に関しても、悪質な場合は別として、いったん帰国して再度在留資格認定証明書の交付申請からやり直す、所謂クリアランスの選択肢も生まれるという事にもなります。

【在留期間の変更の条文】

(在留資格の変更)

第20条 在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格(これに伴う在留期間を含む。以下第3項まで及び次条において同じ。)の変更(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第1号イからハまでに係るものに限る。)を有する者については、法務大臣が指定する本邦の公私の機関の変更を含み、特定技能の在留資格を有する者については、法務大臣が指定する本邦の公私の機関又は特定産業分野の変更を含み、特定活動の在留資格を有する者については、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動の変更を含む。)を受けることができる。

 前項の規定により在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留資格の変更を申請しなければならない。ただし、永住者の在留資格への変更を希望する場合は、第22条第1項の定めるところによらなければならない。

 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。

 法務大臣は、前項の規定による許可をすることとしたときは、出入国在留管理庁長官に、当該外国人に対し、その旨を通知させるものとする。この場合において、その通知は、出入国在留管理庁長官が、入国審査官に、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める措置をとらせることにより行うものとする。

 当該許可に係る外国人が引き続き中長期在留者に該当し、又は新たに中長期在留者に該当することとなるとき 当該外国人に対する在留カードの交付

 前号に掲げる場合以外の場合において、当該許可に係る外国人が旅券を所持しているとき 当該旅券への新たな在留資格及び在留期間の記載

 第1号に掲げる場合以外の場合において、当該許可に係る外国人が旅券を所持していないとき 当該外国人に対する新たな在留資格及び在留期間を記載した在留資格証明書の交付又は既に交付を受けている在留資格証明書への新たな在留資格及び在留期間の記載

 第3項の規定による法務大臣の許可は、それぞれ前項各号に定める措置があつた時に、その効力を生ずる。

 第2項の規定による申請があつた場合(30日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。

入管法第20条 抜粋

【在留期間の更新の条文】

(在留期間の更新)

第21条 本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる。

 前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない。

 前項の規定による申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。

 第20条第4項及び第5項の規定は前項の規定による許可をする場合について、同条第6項の規定は第2項の規定による申請があつた場合についてそれぞれ準用する。この場合において、同条第4項第2号及び第3号中「新たな在留資格及び在留期間」とあるのは、「在留資格及び新たな在留期間」と読み替えるものとする。

入管法第21条 抜粋

今日は、当局が不許可処分を予定している場合について記述してきましたが、この不許可処分を予定している場合の事前の通知には、不許可の文字は何も書かれていないそうで、とりあえず、呼び出されるということになりますので、緊張マックスで当局へ向かうことになるようです。

【まとめ】

在留諸申請時の実質的判断の基礎的構造は下記の3つとされています。この3つさえしっかりおさえることができればよしとされている中で、不許可の事由としては、やはり、狭義の相当性の証明が不完全であったり、不足していたという事が多いようです。客観的に要件をクリアできていても、実質的にどうか虚偽はないか、という視点で見た場合の相当性というものがほんとうに真実として存在するか否か。につきるということになります。(当局のチエックリスト等により求められた資料さえ提出できれば、その真実性や妥当性がほぼほぼ担保できる、というものも中には存在すますのでそれを除いての話しにはなりますが。)

在留資格妥当性 (客観的に類型的に判断)
上陸基準適合性/それに準ずる基準適合性(客観的に個別具体的に判断)
狭義の相当性(主観的に個別具体的に判断)