
マイナンバーカードを使って電子申告をしたり、公的機関のサイトなどへ本人確認してログインするような場合などに登場するのが以下の用語です。下記の用語の区分が分からなくなったり、時として選択を誤ったり、暗証番号を何度も間違えたりして無効になったり、平日の日中にわざわざ役所へ出向いて再設定する手続きなどをする、又は、コンビニで再設定手続きをする羽目になることも珍しくないようです。
今日は、なぜ、分かりにくいのか? なぜ、間違いやすいのか? なぜ忘れてしまいやすいか?ということに焦点をあて、考えられる理由を記したいと思います。
混同しやすい、分かりにくい用語
暗証番号
パスワード
署名用電子証明書用の暗証番号
利用者証明用電子証明書用の暗証番号
住民基本台帳用の暗証番号
券面事項入力補助用の暗証番号
英数字(数字、記号、アルファベット)、数字、英字、アルファベット、記号、大文字と小文字、半角と全角
勘違い、思い違いが多い原因
●そもそも、暗証番号を設定したのか、していないのかが分からない。また、他のIDやパスワードと間違えているケースも考えられます。
●マイナンバーカードの申請時には後述記載例のように、①署名用電子証明書の暗証番号、②利用者証明用電子証明書の暗証番号、③住民基本台帳用の暗証番号、④券面事項入力補助用の暗証番号を設定しますが、よく理解せずに設定しているか、使い分けが曖昧なままとなっているケースも考えられます。
●暗証番号を設定しなくてもいいのは、上記の①署名用電子証明書と②利用者証明用電子証明書の暗証番号の二つであり、③住民基本台帳用の暗証番号と④券面事項入力補助用の暗証番号は設定する必要がある。という点を理解していなかった、あるいは忘れた。つまり、最大4種類、少なくとも2種類の暗証番号を設定することになるのですが、交付申請の段階でよくわからないまま記入設定しているケースが多いと考えられます。
●署名用と利用者証明用の電子証明書にかかる暗証番号は、どちらも4桁と思い込んでいることが多いです。(銀行のATMでの暗証番号は4桁が一般的)
●署名用の電子証明書の暗証番号(4桁)と利用者証明用の電子証明書の暗証番号(大文字英数字6~16桁:それぞれ1つ以上は必要)の違いが曖昧。とくに使用目的の対象を混同しているケースが多いのではないでしょうか。
●暗証番号とパスワードは別物と思い込むことも。(暗証番号は4桁、パスワードは6~16文字と思い込む等)
●英数字の意味と範囲が曖昧。 ⇒英数字は、①アルファベット(大文字・小文字を区別)、②数字、③特殊文字(ダッシュ、ドル記号、括弧)の3種類から成り立っていますが、数字とアルファベットのみと思い込んでいるケースもあります。
●パスワード(暗証番号)に使用できる文字は半角英数字のみが一般的とされてますが、大文字を含ませることを要求された場合に、半角大文字と全角大文字の入力方法選択で迷うことも考えられます。
●半角と全角の意味と大文字小文字の意味が曖昧。基本的に、パスワードは大文字であっても半角入力となりますが、大文字=全角との思い込みから半角大文字を全角大文字で入力しようとする操作間違いも起きやすいのではないでしょうか。(例えば、日本語入力から全角英数字入力に切り替えし、文字を入力できる状態で【Shift】キーを押しながら【無変換】キーを押し、全角英数入力してしまうようなケース。)
●署名用電子証明書の暗証番号は、大文字英数字6~16桁での設定が前提となっていること。「(注意)パスワードは、半角文字で設定します。アルファベットは大文字のみ使うことができます。小文字で入力した場合は、大文字に変換されます。」という説明がホームぺージ等でなされていますが、一般の方には分かりにくいのではないでしょうか。また、当該暗証番号には、大文字アルファベットと数字それぞれ1つ以上必要という説明が後付けとなっているケースもあるのではないでしょうか。
●券面事項入力補助用暗証番号は、イナンバーカードのICチップに記録されている「氏名・住所・生年月日・性別」を読み取って、電子申請の画面に自動的に転記させるのに利用しますが、利用者証明用電子証明書の暗証番号と同じものを設定していれば問題ないですが、よくわからないまま違う暗証番号を設定している場合は、使用する際混同して間違うケースが多発することも懸念されます。
マイナンバーカードに搭載される電子証明書
マイナンバーカードを持っているが、暗証番号を使って利用したことがないという方も中にはいらっしゃるかもしれません。そこで、再度、復習してみましょう。
マイナンバーカードには、以下の2種類の電子証明書が搭載されており、これらを利用するためには、それぞれの暗証番号を使用することになります。この2種類の暗証番号設定は建前上は任意であり、使用予定のない方は設定する必要はないことになっていますが、せっかくなので設定しておくという方がほとんどというのが現実かもしれまません。尚、後述する③住民基本台帳用の暗証番号と④券面事項入力補助用の暗証番号の設定は必ず行う必要がある点にはご注意ください。

≪画像元:地方公共団体情報システム機構≫
暗証番号の種類
【マイナンバーカードの暗証番号の種類】 以下に記載の記載票の例を参考に復習してみましょう。
- ①署名用電子証明書の暗証番号 (大文字英数字6~16桁:それぞれ1つ以上は必要))
- ②利用者証明用電子証明書の暗証番号 (数字4けた) (②~④は同じでも可)
- ③住民基本台帳用の暗証番号 (数字4けた)
- ④券面事項入力補助用の暗証番号 (数字4けた)
以下の【マイナンバーカード・電子証明書 暗証番号記載票】の例は、各市町村により異なりますが、説明すべき項目が記載されているものを引用させて掲載させていただいておりますので予めご理解下さい。

(マイナンバーカード・電子証明書 暗証番号記載表の例)市町村により異なります。

(マイナンバーカード・電子証明書 暗証番号記載表の例)市町村により異なります。
暗証番号の使用目的
【使用目的】
(使用目的) | (使用する暗証番号の種類) |
●コンビニで各種証明書交付する時 | ②利用者証明用電子証明書 の暗証番号(数字4けた) |
●マイナポイントのマイページにログインする時 | ②利用者証明用電子証明書 の暗証番号(数字4けた) |
●e-Taxを利用する時 | ①署名用電子証明書の暗証番号 (英数字6~16文字) ②利用者証明用電子証明書の暗証番号 (数字4けた) ④券面事項入力補助用 の暗証番号 (数字4けた) |
●転入などの手続き | ③住民基本台帳用の暗証番号 (数字4けた) |
なお、これらの暗証番号は、かつては定期的に見直しを行うよう推奨されてきましたが、2017年に、米国国立標準技術研究所(NIST)からガイドラインとして、サービスを提供する側がパスワードの定期的な変更を要求すべきではない旨が示されたことから、日本においても見直しがすすめられ、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)では、パスワードを定期変更する必要はなく、流出時に速やかに変更する旨が示されています。