マイナンバーカードの暗証番号が分かりにくい理由と、やさしい整理
マイナンバーカードを使って電子申告をしたり、公的サイトにログインしたりすると、 必ずといっていいほど登場するのが「暗証番号」や「パスワード」です。 ところが、この種類が多く、桁数や使い道もバラバラなため、 「どれがどれだっけ?」と混乱する方が非常に多いように感じます。
暗証番号を何度か間違えてロックがかかり、平日昼間に役所へ出向いて再設定…… こうした経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、なぜ分かりにくいのか。なぜ間違えやすいのか。そしてどう整理すれば良いのかを、やさしくまとめてみました。
なぜ混同しやすいのか?よくある理由
マイナンバーカードの暗証番号まわりが混乱を招く理由には、次のようなものがあります。
- そもそも何種類の暗証番号を設定したのか覚えていない。
- カード交付時に説明を受けても、その場で理解しきれないまま設定してしまい、後で混乱する。
- 最大4種類(少なくとも2種類)の暗証番号を設定する必要があるため、把握しきれない。
- 「全部4桁だろう」と思い込んでいる。
(実際には6~16桁の英数字を使うものが1つあります) - 暗証番号とパスワードを別物と考えてしまう。
- アルファベット・数字・記号・半角・全角などの概念が混ざってしまう。
- 英数字と言われても「数字とアルファベットだけ」と勘違いする。
(実際には大文字限定などの条件あり) - ④券面事項入力補助用暗証番号が用途としてイメージしづらく、②と混同しやすい。
これだけ複雑なら、一般の方が混乱して当然だと言えます。
まずは全体像を整理:4つの暗証番号
マイナンバーカードには、次の4種類の暗証番号があります。
| 番号 | 名称 | 桁数 | おもな用途 |
|---|---|---|---|
| ① | 署名用電子証明書の暗証番号 | 英数字6~16桁(大文字英字+数字 1つ以上) | e-Taxなどの電子申請で使用 |
| ② | 利用者証明用電子証明書の暗証番号 | 数字4桁 | マイナポータル、コンビニ交付、マイナポイントなど |
| ③ | 住民基本台帳用の暗証番号 | 数字4桁 | 転入・転居などの住民票関連手続き |
| ④ | 券面事項入力補助用の暗証番号 | 数字4桁 | カード券面情報を自動入力する際に使用 |
②〜④はすべて数字4桁で、②と③④を同じ番号にする方も多くいます。 しかし、同じ番号にすると便利な反面、セキュリティ上の注意も必要です。
では、それぞれどの場面で使う?
- コンビニで住民票などを取得する
→ ② 利用者証明用電子証明書(数字4桁) - マイナポータルへログイン
→ ② 利用者証明用電子証明書(数字4桁) - e-Taxを使った確定申告
→ ①署名用電子証明書(6~16桁)
→ ②利用者証明用電子証明書(4桁)
→ ④券面事項入力補助用暗証番号(4桁) - 転入などの窓口手続き
→ ③住民基本台帳用暗証番号(4桁)
どうして「間違える」「忘れる」ことが多いのか?
理由はとてもシンプルで、
・数が多い
・桁数がバラバラ
・使うタイミングが少ない
この3つに尽きます。
特に①(英数字6~16桁)は e-Tax の時くらいしか使わないため、1年ぶりに入力してロック…という事態が起きやすいのです。
ロックされたらどうなる?
暗証番号を一定回数間違えるとロックされます。
- ①署名用 … 5回でロック
- ②③④ … 3回でロック
ロックされると、市区町村の窓口で再設定が必要になります。 (一部はコンビニ端末とスマホで再設定可能)
つまり、忙しい時ほど「やってしまった…」となりやすいのです。
一般の方におすすめしたい整理方法
混乱を防ぐために、私は次の方法をおすすめしています。
- ②③④(数字4桁)は同じ番号にする
→ 管理が圧倒的にラクになります。 - ①だけは別の長いパスワードとして記録しておく
→ 紛失や混乱を防ぐため、書いて保管するのもひとつの手。 - スマホで控えを「紙で撮影」して保存する
→ 手書きの控えだけより安全です。 - 1年に1回はログインテストをする
→ 特に e-Tax 前に必ず確認を。
まとめ
マイナンバーカードの暗証番号が分かりにくいのは、決して皆さんのせいではありません。 制度が複雑で、桁数や用途がバラバラで、日常で使わない番号が混ざっているからです。
しかし、仕組みを一度整理すれば、怖がる必要はありません。 少し理解するだけで、マイナンバーカードはとても便利に活用できます。
どうしても不安な時は、遠慮なくご相談ください。 わかりにくい制度を、できるだけやさしくお伝えしていきたいと思います。
