
― 不動産管理業界通算13年の経験&行政書士の目線から ―
不動産オーナーにとって、「収益を守るための手段=行政手続き」という意識はまだまだ浸透していないように感じます。 私は通算約13年間にわたり商業施設、賃貸物件、ホテル等の管理に携わり、今は行政書士としてオーナー様の“見えにくい損”を防ぐお手伝いをしたいと考えています。今回は、現場を熟知した立場から「損しないための3つの視点」をご紹介します。
ポイント①:「管理会社任せ」の落とし穴に注意
かつて私自身、不動産管理の現場にいたとき、「手続きは全部お任せで」とおっしゃるオーナー様が多くいらっしゃいました。もちろん、時間や手間を考えれば合理的な選択です。ただし、ここに“思わぬ損”が潜んでいることがあります。
たとえば、賃貸住宅管理業登録制度。令和3年から登録が義務化されたこの制度ですが、未登録のまま自主管理を続けている方や、委託管理の内容によって登録義務を見落としているケースも少なくありません。登録を怠ると、最悪の場合業務停止命令や行政指導の対象になることも。
➡ オーナー自身が「何が義務か」「どの範囲まで管理会社に任せてよいか」を把握しておくことが、安全経営の第一歩です。
ポイント②:補助金・税制支援を“取り逃さない”
意外と知られていないのが、空き家対策や省エネ化に対する補助制度の存在です。私が財務管理などの仕事に従事していた頃、申請支援をする中で痛感したのは、「知っていたらもらえたのに…」という悔しい声の多さでした。
例えば、以下のような制度があります:
・空き家再生補助(自治体によるリフォーム支援)
・省エネ改修に対する固定資産税減額
・マンション管理計画認定制度に伴う優遇
これらの手続きには、申請書作成・図面の添付・実績報告などが求められ、申請期限や様式も複雑です。しかし、私のように事業企画畑も経験してきた行政書士であれば、制度の背景や採択されやすい書き方までお手伝いできます。また、必要に応じて税理士の先生をご紹介することも可能です。
➡ 知らない・面倒だからと“スルー”すれば、数十万円~数百万円の損失にもつながりかねません。
ポイント③:相続・名義変更は“後回し”が命取り
「名義変更は相続税を払う時でいいんでしょ?」——このような誤解がいまだ根強く残っています。ですが、私は不動産オーナーの高齢化にともなう心配事が増えてきたことを実感しています。
たとえば、オーナーが急逝された直後、名義が亡くなった親のままの賃貸物件で賃料が振り込まれ続けるケース。相続人の間で「誰が受け取るのか」で揉め、賃貸契約そのものの効力にも疑義が生じてしまいました。
私の行政書士としての役割は、“相続の前段階”を整理し、登記へとスムーズにつなげることです。放置したままでは、相続税だけでなく入居者対応や契約上のトラブルリスクも含め、後々に禍根を残します。
➡ 元気なうちから、「次の世代への資産承継」まで見据えた対策をとっておくことが肝要です。
まとめ
経験があるからこそ、“机上の理論”では終わらせません
私自身、現場でオーナー様の苦労や悩みに寄り添ってきたからこそ、「書類を整えること=経営を守ること」だと心から実感しています。行政手続きは「難しそう」「後でいい」と思われがちですが、そこにこそ“損しない”ためのヒントが詰まっています。
もし、今少しでも気がかりなことがあるようでしたら、どうかお気軽にご相談ください。 私の知識と経験を、あなたの大切な資産を守るために活かせたら幸いです。
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市味真野地区)