海外で会社を設立する際に気をつけたい、日本の書類の取り扱いと認証手続き

福井県越前市在住の私が、海外法人設立に携わった際、日本の公的書類をどのように外国の関係機関へ提出するかという点で多くの疑問と手間がありました。本記事ではその注意点と、実務上で悩ましかった点を過去のブログ記事をまとめ直した上で掲載します。なお、設立国によって求められる手続きが異なるため、あくまで一例としてご覧ください。

公文書と私文書の違いに注意

海外へ送付する日本の文書(例:印鑑証明書、登記簿謄本、委任状など)は、送付先によっては、日本の外務省を通じて「アポスティーユ」もしくは「公印確認」を受ける必要があります。

一見、「日本の役所が発行した本物の書類なんだから、それで十分なのでは」と思いたくなりますが、残念ながらそう簡単ではありません。

アポスティーユと公印確認の違い

  • アポスティーユ:ハーグ条約加盟国に対して提出する公文書に付される外務省の証明。これにより、その文書は領事認証と同等とみなされます。
  • 公印確認+領事認証:ハーグ条約非加盟国に提出する場合、外務省の「公印確認」に加え、その国の在日大使館または領事館での「領事認証」が必要になります。

「私文書+公文書」の束ねた書類は「私文書」扱いに

たとえば、日本語と外国語の委任状をホッチキスで束ね、それに印鑑証明書を添付するような場合、全体が「私文書」として扱われます。このままではアポスティーユの対象外となるため、公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。そのうえで、法務局にて「公証人が正当であること」の確認を経ることで、ようやく「公文書」として扱われ、外務省へアポスティーユ申請が可能になります。

手続きの具体的な流れ(ハーグ条約加盟国を想定)

  1. 提出書類を準備:例)日本語と翻訳済み外国語の委任状。
  2. 公証役場で認証:私文書(委任状のセット)を公証人により認証(有料)。
  3. 法務局で公証人の所属確認:②の文書に対する追加認証(無料)。
  4. 外務省へアポスティーユ申請:申請書をダウンロードし、必要書類とともに外務省へ郵送。
  5. 返送された文書を外国の提出先へ送付

なお、公証人の事務所と法務局が一体となっている場所もあるため、公証人に事前確認すると効率的です。

取り扱い上の注意点

  • 一度ホッチキスで綴じた書類を外すことは絶対に避けましょう。偽造の疑いで無効になるリスクがあります
  • 何より、この一連の手続きは煩雑で時間もかかるため、不安な方や時間に余裕がない方は、行政書士など専門家へ依頼するのが安心です。

行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市味真野地区)