AI時代の波は、地方・ふくい・の事務所にも確実に届いている。


〜無人コンビニとMBA失業率から考える、これからの中小企業とAIの関係〜
先日、東京で無人決済システムを導入したコンビニが話題となりました。ローソンやファミリーマートでは、AIカメラや重量センサーを活用し、レジを通らずに買い物が完了する「未来型店舗」が次々と登場しています。決済システムに限らず、従来までは一つ一つの対応を従業員が行っていたフライヤーからの揚げ物の出し並べや、各種商品の出し入れを含めた在庫管理に至るまでが無人化対応されるところまで来ています。一方、アメリカでは、ハーバードやスタンフォードといった超一流大学でMBAを取得した若者のうち、卒業後3か月で2割が無職という衝撃的なデータも報じられました。これらのニュースは、単なる都市部や海外の話ではありません。むしろ、AIが社会構造を根本から変えつつある兆候であり、地方の中小企業や士業事務所にとっても、決して無関係ではないのです。

■ AIによる「ホワイトカラーの再編」が始まっている

これまでAIの影響は、工場の自動化や単純作業の代替にとどまると考えられてきました。しかし今、変化の波はホワイトカラーの中核業務にまで及んでいます。アマゾンは「AIによる効率化で管理部門の人員を削減する」と明言し、実際に35万人規模の業務をAIエージェントで最適化し始めています。資料作成、定量分析、契約書のドラフト、顧客対応の一次受付など、かつて人間が担っていた知的業務が、次々とAIに置き換えられているのです。

■ 地方の中小企業や士業事務所にとっての「他人事ではない理由」

「うちは田舎の小さな事務所だから関係ない」と思われるかもしれません。しかし、むしろ地方こそ、人手不足や業務効率化の必要性がより深刻です。行政書士業務においても、定型的な書類作成や申請書の下書き、顧客対応の一部は、すでにGPTsなどのAIツールで代替可能な時代に入っています。たとえば、在留資格の申請に必要な書類の案内や、必要書類のチェックリスト作成、よくある質問への対応などは、AIチャットボットで自動化することが可能のようで、AI を積極的に導入している事務所では既にこれらの対応を行っている先生もめずらしくないようです。これにより、人間はより複雑で判断が必要な業務に集中できるようになります。当事務所においても、GPTs対応を急がなければならない状況にあると考えているところです。

■ 中小企業が今からできる「AIとの付き合い方」

では、私たちはこの変化にどう向き合えばよいのでしょうか。ポイントは、「AIに負けない」ではなく、「AIと共に働く」という視点です。業務の棚卸しと再設計  自社の業務を「AIで代替可能な部分」と「人間にしかできない部分」に分けてみましょう。たとえば、契約書の雛形作成はAIに任せ、顧客との信頼関係構築や判断が必要な相談対応は人間が担う、といった役割分担が考えられます。●「AIツールの試験導入」  ChatGPTやCopilotなどの生成AIを、まずは社内のメモ作成やFAQ対応などに試験導入してみるのも一つの方法です。無料で使える範囲でも、十分に業務効率化の効果を実感できます。●「人間にしかできない価値」の再定義  AIが得意なのは、パターン認識や情報の要約です。一方で、文脈を読み取り、相手の立場に立って判断する力は、まだまだ人間の領域です。士業や中小企業の強みは、まさにこの「人間らしさ」にあります。

■ まとめ:変化を恐れず、先に動く者が生き残る

AIの進化は、産業革命以来の構造的変化をもたらすといわれています。これは決して大げさな話ではなく、すでに現実として私たちの足元に迫っています。地方の小さな事務所であっても、「今は関係ない」と思っているうちに、時代に取り残されるリスクがあります。むしろ、今だからこそ、AIを活用して業務を見直し、「人間にしかできない価値」を再定義するチャンスでもあるのです。私自身も、行政書士として、そして中小企業の一員として、AIとどう向き合い、どう活かしていくかを日々模索しています。これからの時代を生き抜くために、共に考え、行動していきましょう。

行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市味真野地区)