福井県越前市で奮闘中の特定行政書士・申請取次行政書士です。各種許認可、相続、在留資格関連、会社経営、不動産のことでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

AI時代に、行政書士の価値が輝く場面

AI時代に、行政書士の価値が輝く場面

AI時代に、行政書士の価値が輝く場面

AI時代に、行政書士の価値が輝く場面

「AIがあれば、書類作成はもう士業いらないですよね?」
最近、こんな言葉を投げかけられることがあります。

確かに、文章作成、要約、チェック。
AIは驚くほど賢くなりましたし、実務の一部は確実に楽になりました。

ただ、現場に立っていると、むしろこう感じます。
AI時代だからこそ、行政書士の価値がはっきり浮かび上がる場面がある。

AIができることは「処理」、行政書士が担うのは「整理」

AIは優秀です。
条文を探し、文章を整え、形式をそろえることは、とても得意です。

けれど、相談の現場で本当に時間がかかるのは、そこではありません。
多くの場合、依頼者自身が 「何が問題なのか分からない」 「何から話せばいいか分からない」 状態で来られます。

そのバラバラな情報を聞き、背景を読み、順番を整え、 「今回、行政に伝えるべきことは何か」 「今は出さない方がいい情報は何か」 を判断する。

ここは、AIが最も苦手とする部分であり、行政書士の腕が一番出る場面です。

制度の正解より、「この人にとっての最適解」

行政手続きには、制度上の正解があります。
ただし、それがそのまま依頼者にとっての最適解になるとは限りません。

たとえば在留資格。
条件だけ見れば申請できる。でも、 「今後もこの会社で働き続けたい」 「家族を呼びたい」 「できるだけリスクは取りたくない」 といった希望を聞くと、選ぶべき道は変わります。

行政書士の仕事は、制度を当てはめることではなく、
人の事情に合わせて“制度の使い方”を整えること。

AIは制度の説明はできます。
でも、「この人は、どこを一番大事にしているか」を読み取るのは、人の役割です。

説明責任が重くなるほど、人の価値は上がる

AIで書いた文章は、見た目がきれいです。
しかし、行政から問い合わせが来たとき、こう聞かれます。

「この判断の根拠は何ですか」
「なぜこの書き方を選んだのですか」

その場で、相手の意図をくみ取り、背景を説明し、 必要なら方針を微調整する。
ここは、ツールでは代替できません。

AI時代は、「書ける人」より「説明できる人」が選ばれます。
行政書士は、まさにその役割を期待されています。

トラブルや迷いがある時ほど、行政書士の出番

手続きが順調なときは、AIでも進みます。
けれど、次のような場面では、一気に人の価値が問われます。

  • 前回と状況が変わっている
  • 説明が食い違っている
  • 依頼者自身が不安で判断できない
  • 行政側の反応が想定と違う

こうした「揺らぎ」の中で、何を優先し、どこで立ち止まるか。
ここを一緒に考えられる存在が、行政書士です。

補足:
AIがあるから行政書士が不要になる、のではありません。
AIがあるからこそ、「人が判断する場面」がはっきり見えるようになった、と感じています。

AIを使う行政書士ほど、「人としての姿勢」が見られる

AIをどう使うかは、その人の仕事観がそのまま出ます。

丸投げする人。
便利な部分だけ使い、最後は自分で責任を持つ人。

依頼者は、意外とそこを見ています。
「この先生は、ちゃんと考えてくれているか」 「何かあった時に、逃げずに向き合ってくれるか」

AI時代は、技術よりも姿勢が評価されやすい時代です。
行政書士にとっては、誠実さがより伝わりやすくなったとも言えます。

行政書士の価値は「最後まで引き受ける覚悟」

書類を出して終わり、ではありません。
結果が出るまで、説明し、調整し、必要なら軌道修正する。

その一連のプロセスを「自分の仕事」として引き受ける覚悟。
ここに、行政書士の本当の価値があります。

AI時代に、行政書士の価値は消えません。

むしろ、迷いや判断が必要な場面で、よりはっきりと輝きます。
AIを道具として使いながら、人として向き合う。その積み重ねが、信頼につながっていきます。

福井県越前市を拠点に、制度と人の間に立つ支援を行っています。 AIは効率化の道具、判断と責任は人が担う——その前提で、現実的な伴走支援を続けています。

特定行政書士 中川正明

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