在留資格業務は「制度+人」で信頼が積み上がります
在留資格業務は「制度+人」で信頼が積み上がります
在留資格業務という仕事に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
入管法、告示、ガイドライン、書類作成、要件確認……。確かに、制度理解と正確な事務処理は欠かせません。
しかし、実際に現場で外国人の方や受入企業と向き合っていると、強く感じることがあります。
在留資格業務は「制度」だけでは成り立たない。「人」と向き合う仕事である、ということです。
私は行政書士として在留資格業務に関わる中で、この「制度+人」という視点こそが、信頼を積み上げる土台になると確信しています。
制度は「土台」、しかしそれだけでは足りない
在留資格業務において、制度理解は絶対条件です。
どの在留資格が該当するのか、要件を満たしているのか、提出書類は何か。ここを誤れば、不許可という結果につながりかねません。
だからこそ、行政書士として「正確であること」「慎重であること」は最低限の責任です。
これは技術であり、専門性であり、いわば仕事の土台です。
しかし、土台だけでは建物は完成しません。
制度を知っているだけでは、依頼者の不安は消えないのです。
外国人の方が抱える「見えない不安」
在留資格の相談に来られる外国人の方の多くは、口には出さなくても、さまざまな不安を抱えています。
- 日本語でうまく説明できるだろうか
- このまま日本にいられるのだろうか
- もし不許可になったら、仕事や生活はどうなるのか
制度上は「要件を満たしています」「書類を揃えれば大丈夫です」と言えるケースでも、
本人の心の中では、不安が渦巻いていることが少なくありません。
ここで必要なのは、単なる説明ではなく、「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれている」という安心感です。
企業側もまた、不安を抱えている
受入企業の立場に立ってみても、在留資格業務は決して簡単なものではありません。
- 制度が複雑でよく分からない
- コンプライアンス的に問題はないか
- 万一トラブルが起きたらどうなるのか
特に中小企業では、人事や法務の専門担当がいないことも多く、
「誰に相談すればいいのか分からない」という状態で行政書士に辿り着くこともあります。
このとき、制度の説明を一方的にするだけでは、真の信頼関係は生まれません。
「人」として向き合うことが信頼になる
在留資格業務で本当に大切なのは、
相手の立場に立って話を note でなく、心で理解しようとする姿勢だと私は考えています。
・分からないことを、分からないままにしない
・不安を感じている点を、言葉にして引き出す
・できること、できないことを正直に伝える
こうした一つ一つの積み重ねが、「この人になら任せられる」という信頼につながっていきます。
「できないこと」を言える勇気
信頼を築くうえで、意外に重要なのが「お断りする勇気」です。
制度上、どうしても難しいケース。
リスクが高すぎるケース。
本人や企業の考え方が、法令遵守と合わないケース。
そのような場合に、無理に引き受けてしまうことは、結果的に相手のためにもなりません。
「今回は難しいです」「このやり方はおすすめできません」
そう正直に伝えることは、一時的には残念に思われるかもしれませんが、
長い目で見れば、誠実さとして必ず伝わります。
伴走する姿勢が、次の相談を生む
在留資格業務は、許可が下りたら終わりではありません。
更新、変更、家族帯同、永住……人生の節目ごとに、また相談が生まれます。
そのとき、「あのとき丁寧に対応してくれた」「ちゃんと話を聞いてくれた」という記憶があれば、
再び声をかけてもらえる可能性は高くなります。
これは営業ではなく、信頼の結果です。
制度+人=行政書士の本当の価値
AIやシステムが進化し、書類作成や要件チェックは、今後ますます自動化されていくでしょう。
それでも、「人が人の話を聞く」という価値は、決してなくなりません。
在留資格業務は、
制度という冷静さと、人としての温かさの両方が求められる仕事です。
私はこれからも、制度を大切にしながら、
一人ひとりの背景や想いに耳を傾ける行政書士でありたいと考えています。
信頼は、一気に得られるものではありません。
しかし、誠実な対応を積み重ねれば、必ず形になります。
在留資格業務は、「制度+人」。
その当たり前を、これからも大切にしていきたいと思います。
