日本国籍の取得方法|出生・届出・帰化の3つを行政書士が徹底解説
日本国籍の取得は、国籍法に基づき大きく次の3種類に分類されます。
- ① 出生による国籍取得
- ② 届出による国籍取得
- ③ 許可申請による国籍取得(帰化)
それぞれ取得要件が異なり、特に帰化申請は要件が細かく、確認すべき点も多くあります。 行政書士として、法律に基づきわかりやすく整理して解説いたします。
1. 出生による国籍取得(国籍法 第2条)
出生により自動的に日本国籍を取得するパターンです。
【国籍法 第2条】(抜粋)
子は、次の場合には、日本国民とする。
- 出生の時に父または母が日本国民であるとき。
- 出生前に死亡した父が、死亡の時に日本国民であったとき。
- 日本で生まれ、父母がともに知れないとき、または国籍を有しないとき。
上記に該当する場合、手続きにより日本国籍が「当然に付与」されます。
2. 届出による国籍取得(国籍法 第3条/第17条)
届出により日本国籍を取得できるケースが3種類あります。
■ ① 認知された子の届出(第3条)
【国籍法 第3条】(抜粋)
父又は母が認知した子で20歳未満のものは、法務大臣への届出により日本国籍を取得できる。
届出をした時に国籍を取得する。
■ ② 国籍喪失者の再取得(第17条1項)
【国籍法 第17条1項】(抜粋)
第12条の規定により日本国籍を失った者で20歳未満は、日本に住所があれば届出で国籍再取得が可能。
■ ③ 国籍不選択者の取得(第17条2項)
【国籍法 第17条2項】(抜粋)
催告により日本国籍を失った者は、一定の条件を備え、知った時から1年以内に届出れば国籍を再取得できる。
3. 許可申請による国籍取得(帰化)
帰化には次の3種類があります。
- ① 普通帰化(第5条)
- ② 簡易帰化(第6条〜第8条)
- ③ 大帰化(第9条)
3-1. 普通帰化(国籍法 第5条)
最も一般的な帰化で、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 居住条件:5年以上日本に住所を有する
- 能力条件:20歳以上で本国法により行為能力を有する
- 素行条件:善良な生活態度である
- 生計条件:安定した収入・資産がある
- 重国籍防止:帰化により国籍離脱が可能である
- 反社会団体との無関係性
【国籍法 第5条】(抜粋)
法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ帰化を許可できない。
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること
- 20歳以上で本国法により行為能力を有すること
- 素行が善良であること
- 生計を営む能力を有すること
- 国籍を有しないか、帰化によって本国籍を失うこと
- 暴力的破壊活動を行う団体に属していないこと
なお、帰化により本国国籍を失えない特別事情がある場合、例外が認められることがあります(第5条2項)。
3-2. 簡易帰化(第6条〜8条)
日本とのつながりが強い外国人に対し、普通帰化より要件が緩和されます。
■ 第6条:居住条件の緩和
- 元日本国民の子で3年以上の住所
- 日本出生で3年以上の住所
- 10年以上の居所
■ 第7条:日本人の配偶者の特例
- 日本人配偶者として3年以上の住所+現在住所
- 婚姻後3年+1年以上の住所
■ 第8条:能力・生計条件も含めた大幅緩和
- 日本国民の子
- 日本国民の養子で1年以上の住所
- 日本国籍喪失者
- 出生時から無国籍で3年以上の住所
3-3. 大帰化(第9条)
極めて稀な帰化で、国会の承認が必要です。
【国籍法 第9条】(抜粋)
日本に特別な功労のある外国人は、国会の承認により帰化が許可される。
まとめ|状況に応じた国籍取得の方法を正しく選ぶことが重要
国籍取得には、出生・届出・帰化の3つの方法がありますが、それぞれ法的要件が厳格に定められています。 特に帰化申請は、書類の精度と生活状況の説明が重要で、事前準備が大きく成否を左右します。
不安な点や判断に迷う場合は、専門家へ早めに相談することでスムーズな申請につながります。
