
一般建設業許可を受けている業者の方やこれから特定建設業許可を受けようとする業者の方が特に留意している点のひとつとして、自ら元請になり下請けに出す場合において、下請け代金額が4500万以上(建設工事の場合は7000万以上)の場合には特定建設業許可が必要になるボーダーラインの設定があったかと思います。
このボーダーラインが、下記の令和6年12月6日国交省の公表資料の通り、「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」の閣議決定を受け、令和7年2月1日より、下請け代金額が5000万以上(建設工事の場合は8000万以上)の場合には特定建設業許可が必要になることに改正され施行されることになりました。このボーダーラインの他に、「施行体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限」「専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限」「特定専門工事の対象となる下請代金額の下限」のそれぞれのボーダーラインも変更となります。
行政法体系を学んだ方は既にご承知の通り、法令の序列は、憲法・条約・法律・命令(政令・府省令)という順位で一般的には表わされていますが、ここでは所謂行政立法における法規命令の一つとしての政令が閣議決定を経て発布されたことにより、この金額が変更となったということになります。このように、法律はその詳細な中身まで逐一取り決めている訳ではなく(法改正手続きが煩雑になるため)法律の委任により法規命令として○○政令の定めるところによる。とか、○○省令の定めるところによる。といったふうに詳細な取り決めは政令や省令に委ねている側面があります。2月1日から適用される今回の改正はまさしくこのシステムにのって世の中が動かされるということになります。よくこのような変更があると法律が変わったからだという言い方をするケースが多いですが、今回の場合は広い意味では法律が変わったとも言えますが、政策的判断により政令が公布されて法律の中身である条件の一部が変わったというのが正しい見方かもしれません。つまり、昨今の物価高騰を受けて政府として何らかの対応が必要と考えたときにこのような対応も可能ということになっています。これも一つの議院内閣制の側面を表す機能のひとつとして働いているという見方もできますね。これらの要件は結構頻繁に変わることが多いようですので、関係省庁のホームページ等のチエックも怠らないことも重要です。そして、WEBの特徴でもありデメリットともいえますが、古い情報(私自身のホームページの情報も含め)もそのままサーバーに残っていたり、AIの回答なども古い情報で回答することもありがちのため、頭の中に古い情報がそのままイメージとして残っていたりすると、不測の事態を招いたり、余計な対応をしたり、遠回りを余儀なくされることにもなりかねませんので、現時点における法令の要件を慎重に情報収集する心がけも大切なポイントになってきます。

【国交省ホームページより抜粋】