特定建設業許可等の金額要件改正|令和7年2月1日施行
建設業許可を受けている事業者、またこれから特定建設業許可を取得しようとされている皆さまが特に留意すべき点として、元請が下請に出す請負代金額が一定額以上となった場合に、一般建設業許可ではなく「特定建設業許可」が必要となるボーダーラインがあります。
このボーダーラインが、2024年12月6日に閣議決定された「建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」を受け、**令和7年2月1日**より改正・施行されます。
1.改正後の主な金額要件(令和7年2月1日~)
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 特定建設業許可を要する下請代金額の下限 (建築一式工事の場合) | 4,500万円( 7,000万円) | 5,000万円( 8,000万円) |
| 施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限 (建築一式工事の場合) | 4,500万円( 7,000万円) | 5,000万円( 8,000万円) |
| 専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限 (建築一式工事の場合) | 4,000万円( 8,000万円) | 4,500万円( 9,000万円) |
| 特定専門工事の対象となる下請代金額の上限 | 4,000万円 | 4,500万円 |
(注:建築一式工事の場合の金額は括弧内に記載) 詳細は国土交通省ホームページをご確認ください。
2.改正の背景と意義
近年、資材価格や人件費など建設工事のコストが上昇しており、建設業の担い手確保や適正な施工体制の確保が喫緊の課題です。これを踏まえ、金額要件を引き上げることで、より適正な管理・体制が確保されることを目指しています。また、行政法の体系的な観点からは、法律(例:建設業法)が大枠を定め、詳細な数値基準などを「政令」や「省令」で定めるという典型的な制度設計となっています。本改正はその典型例でもあります。
3.事業者が特に注意すべきポイント
- 元請として下請契約をする際、「下請代金額の合計」が改正後の基準に達するかどうかを見積段階で確認すること。
- 工事の種類(例:建築一式工事)や契約形態によって金額基準が異なるため、単に「5,000万円」だけで判断せず、工種・工事の内容を正確に把握すること。
- 制度改正・法令の改正は頻繁にあるため、古いWeb記事・ブログ・AI出力だけで判断せず、国土交通省など公的機関の最新情報を必ず確認すること。
- 2019年や2024年以前に作成された契約・見積もりでも、施行日以降の契約締結や変更時には新基準が適用される可能性があるため、契約締結のタイミングにも注意を要します。
4.まとめ
令和7年2月1日から、元請が下請に出す請負代金が5,000万円以上(建築一式工事では8,000万円以上)となる場合、特定建設業許可の取得が必要となるなど、ボーダーラインが引き上げられました。
これにより「これまでは一般建設業許可で十分だったが、今後は特定建設業許可が必要となる可能性がある」というケースが増え得ます。
行政書士として、皆さまのご状況を丁寧に伺いながら、最新の法令・政令・省令情報を踏まえた的確なご案内をいたします。
