
建設業における人の要件としては、主たる事業所に必ず置かなければならない常勤役員等(経営業務の管理責任者)と、各営業所(主たる営業所、従たる営業所)に必ず置かなければならない「専任技術者」。そして、現場に配置される「配置技術者」があります。「配置技術者」は更に、下請けに発注する金額が一定額を超える場合に現場に置く義務が生じる「監理技術者」と、それ以外に現場(軽微な工事を除く)に置く「主任技術者」の二つに区分されるということになります。ここでの注意点は、専任技術者と配置技術者を兼ねることは出来ないというところにあります。つまり、「専任技術者」は営業所での常勤性が求められていますので、現場には配置できなないということになります。また、「配置技術者」の配置義務が生じる場合は、上記の下請けに発注する金額が一定額を超える場合に配置が必要な「監理技術者」の他に、「公共性のある施設若しくは多数の者が利用する工作物に関する重要な建設工事」の内、その工事の受注金額が一定の額を超える場合にその現場ごとに配置(専任)が必要な場合がありますので、このあたりも抵触しないかについて日頃から検証していく必要があります。慢性的な人材不足・技術者不足が社会問題になっている現在においては、建設業の営みそのものが決して容易なものではないことが分かります。
以上のように、建設業における技術者には、専任技術者、配置技術者(監理技術者、専任技術者)などがあげられることになりますが、それらの技術者としてどのような方がなれるのかという点について簡単にまとめると、建設工事の種類に応じて、①国家資格によるもの、②国家資格+一定の経験年数によるもの、③指定学科卒業の学歴+実務経験によるもの、④実務経験10年以上のもの、例外的に⑤国土交通大臣が同等以上の能力を有すると認定しなもの などに分類されることになります。
建設工事の種類に応じた一覧は、国土交通省が公表している下記の資料を参照してください。
【国土交通省のホームページより引用】(令和5年7月1日より適用)
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以上、国土交通省ホームページより引用 (令和5年7月1日より適用)
このような建設業における資格者制度を学ぶとき、私はふと20年以上も前の義理の父親の存在を思い出します。経験と勘一つで長年工務店を営み、親方・職人肌・頑固そのもので、朝から晩まで働き、数少ない日曜以外は仕事というのが当たり前の日々を送ってきたとよく妻からきいていました。そんな堅物の義理の父であったからこそ信用があり、ひきまえの仕事は義理の父へという声が多かったとも聞いています。そんな義理の父が他界してからずいぶんと歳月が経過しましたが、高度な資格を持たず、経験と勘だけで現場を仕切ってきた義理の父は、今の建設業関連法体系としての資格制度と経験をどのようにとらえていたのでしょうか。官僚機構とも似た建設業界のピラミッド構造を考える場合、一番の底辺の土台がしっかりしたものでない限りにおいては、法が目指す健全な業界の発展や国民保護も揺らぎかねないという点を、現場で長年活躍してきた義理の父が教えてくれているような気がしてくるのです。でももし、当時直接問うた場合はおそらく、「そんな細かいことわしゃしらん!」の一言で終わっていたかもしれません。