建設業における技術者要件を行政書士がわかりやすく解説
建設業許可には「人の要件」が欠かせません。
その中心となるのが、経営業務の管理責任者(常勤役員等)、専任技術者、そして現場に配置される配置技術者です。
この記事では、それぞれの役割と違いを行政書士の視点からわかりやすく整理します。
1. 建設業における3つの基本的な「人の要件」
- 経営業務の管理責任者(常勤役員等) … 主たる営業所に必ず設置
- 専任技術者 … 各営業所(主たる・従たる)に必ず設置
- 配置技術者(主任技術者/監理技術者) … 工事現場ごとに配置
■ 図式:建設業の技術者区分
建設業の人の要件
├─ 常勤役員等(経営業務の管理責任者)
│
├─ 専任技術者(営業所に配置)※常勤
│ └─ 配置技術者を兼ねることは不可
│
└─ 配置技術者(現場に配置)
├─ 主任技術者(すべての現場 ※軽微な工事を除く)
└─ 監理技術者(下請契約が一定額を超える場合)
重要なポイントは、専任技術者は営業所の常勤が求められるため、現場の「配置技術者」と兼任できないことです。
2. 配置技術者の種類(主任技術者/監理技術者)
● 主任技術者
- ほぼすべての建設工事で配置義務あり(軽微な工事は除く)
- 工事現場の技術的事項を管理
● 監理技術者
- 下請契約の金額が一定額(4,000万円以上等)を超える場合に配置義務
- 主任技術者より高度な監理能力が求められる
- 公共性の高い施設・大規模工事では「専任配置」が必要な場合あり
いずれの場合も、現場の規模や公共性によって厳密な要件が課せられます。
3. 専任技術者・配置技術者になれる人の区分
建設業の技術者となるための要件は、工事の種類に応じて次の5つに分類されます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ① 国家資格 | 一級・二級施工管理技士など |
| ② 国家資格+実務経験 | 資格に加えて一定の実務経験が必要な場合 |
| ③ 学歴+実務経験 | 指定学科の卒業+実務経験 |
| ④ 実務経験10年以上 | 資格や学歴がなくても経験で認められる場合 |
| ⑤ 国土交通大臣が認定 | 例外的に同等能力があると認められた者 |
工事種類と資格対応表は、国土交通省が公表する資料をご確認ください。
【国土交通省資料(令和5年7月1日適用)】
※原文の引用部分をサイトに合わせて挿入してください。
4. 現場で働き続けた「義父」から学んだこと
私は建設業の技術者制度を学ぶたびに、20年以上前に他界した義理の父のことを思い出します。
資格がなくとも、経験と勘一つで工務店を切り盛りし、朝から晩まで現場に立ち続けた職人でした。
「仕事は信用だ」と背中で語り、地域から頼りにされる存在だったと妻から聞いています。
そんな義父が今の複雑な資格制度を見たらどう思うだろうか、と考えることがあります。
もしかすると義父は、こう言ったかもしれません。
「そんな細かいこと、わからん!」
しかし、建設業界の健全性は、資格制度と現場の経験が両輪となって支えているのも事実です。
ピラミッドの底辺である現場が確かなものでなければ、国土強靭化も、安全確保も成り立ちません。
義父の姿から、私は「資格」と「経験」の両方を尊重しながら、建設業の方々を支えていく行政書士でありたいと思っています。
まとめ
- 建設業許可には「経営」「技術」「現場配置」の3つの人の要件がある
- 専任技術者は営業所常勤のため、配置技術者を兼任できない
- 配置技術者は主任技術者と監理技術者に分かれる
- 技術者要件は資格・学歴・経験などによって認められる
- 国土交通省資料(令和5年7月1日適用)を必ず確認すること
建設業許可は専門的で複雑ですが、正しい知識を押さえればスムーズに対応できます。
不安がある方は、お気軽にご相談ください。行政書士として丁寧にサポートいたします。
