行政行為の種類を行政書士がわかりやすく解説|法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為
行政書士として業務を行う中で、お客様から行政用語の違いについてご質問をいただくことがあります。
「許可と認可の違いは?」「建設業許可はどの行政行為に分類されるの?」
このような疑問をお持ちの方に向けて、行政行為の種類を整理してわかりやすくまとめました。
1. 行政行為の分類
行政行為は大きく次の2つに分類されます。
- 法律行為的行政行為(法的効果を発生させる)
- 準法律行為的行政行為(事実の確認や公証など)
■ 図式化すると次のようになります
行政行為
├─ 法律行為的行政行為(法的効果を発生させる)
│ ├─ 命令的行為(下命・禁止、許可、免除)
│ ├─ 形式的行為(認可、特許、代理)
│
└─ 準法律行為的行政行為(事実の公的証明や受付)
├─ 確認(建築確認、特許の成立)
├─ 公証(選挙人名簿登録)
├─ 通知(租税督促)
└─ 受理(婚姻届の受理)
建設業許可、宅建業許可、旅館業許可など、事業を行う際に必要な多くの行政手続きは
「法律行為的行政行為 → 命令的行為 → 許可」に分類されます。
2. 法律行為的行政行為(法的効果を発生させる)
行政が「権利を与える」「義務を課す」「禁止を解除する」など、法的な効果を直接発生させる行為です。
(1)命令的行為
- 下命・禁止:義務を課したり、禁止する
例:違法建築物の除去命令 - 許可:本来は禁止されている行為を一定条件で解除
例:建設業許可、宅建業免許、運転免許 - 免除:義務を特定条件で免除
例:税の免除
(2)形式的行為
- 認可:私人の行為を補充して効力を完成させる
例:農地権利移転の認可 - 特許:新しい権利を行政が付与する行為
例:帰化許可、道路占用許可 - 代理:行政機関が本人に代わって行為を行う
例:行政庁による調整裁定
3. 準法律行為的行政行為(事実の公的証明や受付)
法的効果そのものを生み出すのではなく、「事実を公に確認する」「届けを受け付ける」行為です。
- 確認:法律関係や事実を公的に認定
例:建築確認、特許審査 - 公証:公的に証明する行為
例:選挙人名簿登録 - 通知:行政機関が特定の事実を知らせる
例:税の督促通知 - 受理:提出された届出等を受け付ける行為
例:婚姻届の受理
4. 関連する行政用語の整理
行政手続では似た用語が多く、混同しやすいため代表的なものを整理します。
- 登録:公簿へ記載することで効力を発生
例:資格登録、事業登録 - 免許:許可・特許を包括した概念(一般的な用語)
- 届出:行政への通知。受理されれば原則自由に行える
- 申請:許可などを求める行為
■ 用語の使い分け(例示)
| 一般的な呼称 | 行政上の用語 | 例 |
|---|---|---|
| 自動車運転の「免許」 | 許可 | 運転免許 |
| 農地権利移転の許可 | 認可 | 農地法の認可 |
| 農地転用の許可 | 許可 | 農地法の転用許可 |
| 道路・河川の占用許可、帰化の許可 | 特許 | 道路占用許可・帰化許可 |
| 発明の特許 | 確認 | 特許権の発生 |
まとめ:行政用語は専門性が高いからこそ整理が必要
行政の世界では一般的な言葉と専門用語が入り混じり、同じ「許可」でも法的効果が異なるケースがあります。
専門的で分かりにくいことも多いため、今回は行政行為の分類を整理して解説しました。
もし行政手続きで不明点や不安があれば、お気軽にご相談ください。
行政書士として、中川はお客様に寄り添いながら、正確で分かりやすいサポートを心がけています。
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)
