公正証書とは、そして公正証書遺言とは、

公正証書の効力

私人(個人又は法人)からの依頼により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことを公正証書といいます。そして、公正証書には次のような効力があるとされています。
 

【公正証書の効力】

  • その証書(文書)の成立が真正であることを強く推定する力が働く。
  • 公正の効力が生じ、反証のない限り完全な証拠力を有する。
  • 金消契約において、一定額の金銭の支払いについての合意があり、債務書が支払をしないときは直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているような場合には、裁判手続を経ることなく、直ちに強制執行をすることができる「執行証書」としての効力がある。

  

公正証書の区分

公正証書は大きく次の2つに分類されています。

法律行為に関する公正証書

当事者間の契約に関する公正証書不動産売買契約書、賃貸貸借契約書、金銭消費貸借契約書など
単独行為による公正証書公正証書遺言、保証意思宣明公正証書など

私権に関する事実についての公正証書

 事実実験公正証書公証人が、自ら実験、すなわち五官の作用で認識した結果を記述する公正証書

例:尊厳死の意思表示をこの事実実験公正証書に記載しておく場合、被相続人名義の貸金庫を開披し、その内容物を点検・確認し事実実験公正証書を作成する場合など

公正証書遺言とは、

公正証書は、前段の記載のように、法律行為に関する公正証書と、私権に関する事実についての公正証書の二通りに区分されますが、公正証書遺言はこのうち、法律行為に関する公正証書に属し、さらに単独行為による公正証書というふうに位置づけされます。公正証書遺言とは、遺言者本人が、公証人と証人2名の前で遺言の内容を口頭で告げ、公証人が、それが遺言者の真意であることを確認し、これを文章にまとめたものを、遺言者および証人2名に読み聞かせ、または閲覧させて内容に間違いがないことを確認し、公正証書として作成したものをいいます。

(メリット)

  • 安全確実であること
  • 遺言者が自ら自書する必要がないこと
  • 公証人が出張することも可能なこと
  • 家庭裁判所での検認手続きが不要であること
  • 原本が公証役場に安全に保管されること
  • 原本の公証役場保管に加え、電磁的に記録保管されること
  • 情報管理システムがあるため、利害関係人の問い合わせに応じることができること

公正証書遺言作成の際に必要な公証人手数料は、公証人手数料令という政令で法定されおり、遺言の目的である財産の価額に応じて定められています。(例:3000万を超え5000万以下の場合、29,000円)

以上のように、公正証書遺言を作成して残す意義はとても大きいと考えられます。日本国籍に帰化された方や永住者の方の場合も、ケースによっては作成するメリットは大きいともいわれています。