育成就労制度で何が変わる?福井・北陸の監理団体の今後を読む

2025年3月、政府はこれまでの技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」への移行を閣議決定しました。この大きな制度転換は、外国人労働者を受け入れる現場にさまざまな変化をもたらします。とりわけ、これまで技能実習生を受け入れていた「監理団体」の役割がどうなるのか、福井や北陸地方でも関心が高まっています。
この記事では、福井県で活動する特定行政書士・申請取次行政書士の視点から、育成就労制度の概要と、監理団体の今後、そして新たに導入される「監理支援機関」について、現時点で公表されている情報に基づいて解説します。

■ 1. 技能実習制度とその課題

技能実習制度は、開発途上国の人材に日本の技能を移転することを目的として運用されてきました。しかし、実際には安価な労働力確保の手段となっている側面が指摘され、労働環境の問題や人権侵害事案も多発。監理団体のチェック体制が不十分であるとの批判もあり、制度の抜本的な見直しが求められていました。
福井県内においても、農業や製造業を中心に多くの技能実習生が就労していますが、適正な指導体制の構築や転職の自由度など、制度設計そのものに限界がありました。

■ 2. 育成就労制度とは?

新制度「育成就労制度」は、外国人を労働者として適正に育成しつつ、将来的に「特定技能」へと移行できる仕組みを整えることを目的としています。特徴は以下の通りです。

  • 最長5年の在留期間で段階的に職業能力を育成
  • 一定条件下での転籍(事業者変更)が可能
  • 「育成計画」の認定制度を導入
  • 新たに「監理支援機関」が関与
    この制度によって、これまで以上に外国人のキャリア形成が明確になると同時に、受入企業や支援機関の責任も重くなります。

■ 3. 福井・北陸の監理団体が直面する変化

では、福井や北陸地方の監理団体は今後どうなるのでしょうか?
2025年8月現在、育成就労制度における「監理団体の後継機関」について、政令・省令はまだ公布されていません。ただし、方向性としては「監理支援機関」という新たな制度上の枠組みが用意されることが確実視されています。
現行の監理団体がそのまま新制度に移行できるとは限らず、あらためて「監理支援機関」の認可申請を行い、要件を満たす必要があります。要件としては、以下が検討されています。

  • 外部監査人の設置義務
  • 受入企業との利害関係の排除
  • 指導・相談体制の強化
  • 定期的な行政への報告義務
    これらは、組織構造や職員体制の見直しを迫られる可能性があるため、早めの準備が必要です。

■ 4. 「監理支援機関」とは?その役割と要件

「監理支援機関」は、育成就労制度において外国人の受入れを支援する中核的な役割を担います。主な役割は以下の通りです。

  • 受入事業者に対する育成計画の助言・指導
  • 外国人との面談・相談対応
  • 転籍時の調整や支援
  • 行政への報告・監査対応
    2025年8月現在、まだ正式な許可要件は発表されていませんが、現行の監理団体よりも厳格な中立性と透明性が求められることは間違いありません。
    特に注目されているのが、「転籍支援」の仕組みです。育成就労制度では、外国人が不適切な環境に置かれた場合、一定条件下で事業所を変更できるようになります。この転籍支援には、民間の職業紹介事業者の介入が制限され、「監理支援機関」や「外国人育成就労機構」、「ハローワーク」が主に関与する新体制が整備されます。

■ 5. 今後のスケジュールと準備すべきこと

今後の大まかなスケジュールは以下のように見込まれています。

  • 2025年中:省令・分野別告示など詳細ルール策定
  • 2026年度:監理支援機関の認可申請受付開始
  • 2027年4月以降:育成就労制度の本格施行(技能実習制度の終了)
    福井や北陸の監理団体にとっては、早い段階で体制整備を進め、育成就労制度に対応可能な組織へと再編することが求められます。

■ 6. 福井の特定行政書士ができるサポート

特定行政書士・申請取次行政書士として、私たちが現場で対応している支援内容は以下のとおりです。

  • 新制度に関する最新情報の提供
  • 監理支援機関への移行準備コンサルティング
  • 育成計画の作成支援
  • 在留資格変更・特定技能へのスムーズな移行手続き
  • 外国人本人や受入企業とのトラブル予防のアドバイス
    制度移行期は情報が錯綜しがちです。だからこそ、法制度に精通した行政書士に早めに相談することが、リスク回避の第一歩となります。

■ 7. まとめ:今後どうなるの?とお悩みの皆様へのアドバイス

育成就労制度は、単なる名称変更ではありません。外国人労働者に対する育成責任の明確化とともに、受入側にも高い専門性と倫理性が求められる制度です。
福井や北陸地方で監理団体として活動されている皆様にとって、今は「監理支援機関」への移行に備える重要な時期です。制度詳細が明らかになる前から準備を進めておくことで、2027年の本格施行にもスムーズに対応できるでしょう。
不明点があれば、特定行政書士として、最新情報をもとに丁寧にサポートいたします。お気軽にご相談ください。

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行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)