事業承継はいつがベスト?福井の特定行政書士が生前・死後譲渡を比較

こんにちは。福井の特定行政書士 中川です。
今回は、事業承継に関して「生前譲渡」と「死後譲渡(相続)」、どちらのタイミングが良いのか?というテーマでお話しします。
経営者の方の中には、次のようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

  • 会社を子どもに継がせたいが、いつ譲るのがいいのか分からない
  • 税金が高いと聞いて不安…
  • トラブルにならない方法で、スムーズに引き継ぎたい
    こうしたお悩みにお応えするため、法律や税の制度をもとに、実際に福井県内でよくあるケースを踏まえて解説していきます。

事業承継で「いつ譲るか」は、会社の未来を左右する

事業承継とは、単に“相続”の問題ではありません。資産の引き継ぎと同時に、会社の経営や信用、従業員の雇用、取引先との関係など、さまざまな要素が関わってきます。
特に福井のように地元密着型の企業が多い地域では、家族経営の会社や、長年続いた個人事業の承継が大きなテーマです。
「生前に譲る」か「亡くなった後に相続させる」か。その違いは、思っている以上に大きいのです。

まずは「生前譲渡」について知っておこう

生前譲渡とは、経営者が元気なうちに、会社の株式や不動産などの財産を後継者に渡す方法です。方法としては「贈与」または「売却(譲渡)」があります。

生前譲渡のメリットとは?

  • 事前にしっかり計画を立てられる
  • 後継者に経営を引き継ぐ時間がとれる
  • 万が一の争いごとを避けやすい
    また、贈与税には年間110万円までの非課税枠(暦年課税)や、「相続時精算課税制度」など、計画的に進めることで税負担を抑えることが可能です。
    さらに、一定の条件を満たして公的な認定(特例承継計画)を受けると、贈与税が全額猶予される特例制度を活用できる場合もあります。(これら、税に関する事項は必ず専門の税理士に予め相談することが重要です。)

気をつけたいポイントは?

  • 贈与税は最高55%と高額になる可能性がある
  • 財産を渡した後の経営権トラブルに注意
  • 株式の譲渡には会社法上の制限がある場合も
    そして何より、税金に関する具体的な内容や節税対策は、税理士の先生に相談する必要があります。
    行政書士としてアドバイスできるのは制度の枠組みや手続きに関する部分まで。実際の贈与税・譲渡所得税の計算等は、必ず税理士の助言を受けてください。

次に「死後譲渡(相続)」の特徴を見てみましょう

死後譲渡とは、経営者が亡くなった後、その財産を相続人が引き継ぐ形です。会社の株式や不動産などが、遺産分割によって後継者に渡ります。

相続のメリットとは?

  • 相続税には基礎控除があり、課税対象にならない場合も多い
  • 「取得費加算の特例」によって、後に売却する際の税金が軽くなることもある
  • 遺言書があれば、希望する後継者に確実に渡せる

リスクや注意点は?

  • 遺言がない場合、相続人同士での争いになりやすい
  • 株式が複数の相続人に分かれてしまうと、会社の経営に影響する
  • 相続税は、原則10か月以内に申告・納付が必要。納税資金の準備が間に合わないことも
    こちらも、相続税の評価や申告手続きについては、税理士に相談することが大前提です。行政書士が対応できるのは、遺言書作成や遺産分割協議書の作成支援などです。

「特例事業承継税制」って知っていますか?

平成30年度の税制改正により、事業承継に関する画期的な制度ができました。それが「特例事業承継税制」です。
この制度では、福井県知事の認定を受けた「特例承継計画」に基づいて株式を後継者に贈与・相続することで、贈与税・相続税の納税が猶予される(将来的に免除される)仕組みがあります。

制度を使うための手続きは?

  1. 認定支援機関(税理士や商工会など)と一緒に「特例承継計画」を作成
  2. 担当部局に提出して、都道府県の認定を受ける
  3. 贈与または相続時に税務署で申告と届出を行う
  4. その後も、年次報告や株式の継続保有などの要件を満たす必要あり

福井県で相談できる認定支援機関の例

  • 地元の税理士事務所(例:福井市や敦賀市などに多数)
  • 商工会・商工会議所(地域密着の相談が可能)
  • 事業承継・引継ぎ支援センター(県内の窓口)
    ※実際の名称を出すことは控えますが、「 認定支援機関」で検索すれば、県内の対応機関が確認できます。

生前譲渡と死後譲渡、どちらがいいの?

それぞれにメリット・デメリットがあります。一概に「こっちが正解」とは言えませんが、判断の目安は次のとおりです。

観点生前譲渡死後譲渡
税金対策計画的に進めれば有利(制度あり)基礎控除あり。ただし評価額が大きいと高額に
トラブル回避準備期間がとれる遺言がなければ相続争いのリスクあり
事業の継続性後継者を育てながら移行可能突然の交代で混乱することも
制度の活用特例事業承継税制を活用可能同制度が相続にも適用可能

【まとめ】「いつ譲るか」より「準備を始めるか」が重要です

生前譲渡が良いか、死後譲渡が良いか。それはケースバイケースです。
大切なのは、早い段階から専門家に相談し、準備を始めることです。

  • 「いつまでに譲りたいのか」
  • 「誰にどう譲るのか」
  • 「税負担はどれくらいか」
  • 「家族の理解は得られているか」
    これらを一つずつ整理しながら、信頼できる税理士や行政書士とともに、最適な事業承継の形を見つけていきましょう。

【ご相談はこちら】

福井県での事業承継、生前贈与、相続、遺言書作成などについては、地域に根ざした当事務所にぜひご相談ください。なお、税務に関するご相談や具体的な税額計算については、税理士先生のご紹介・連携も可能です。
「そろそろ準備した方がいいかな」と思った今が、きっと最初の一歩にふさわしいタイミングです。

行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)