入管申請における翻訳書類の正確な作成ポイント|福井の特定行政書士が解説
日本の出入国在留管理局(入管)に在留資格の申請をする際、外国語の書類を提出するケースは少なくありません。母国語で発行された証明書や契約書などは、すべて日本語に翻訳したうえで提出する必要があります。
ただし、翻訳には正確性と形式上のルールがあり、内容や表現に誤りがあると、申請がスムーズに進まなかったり、補正指示や審査の遅延につながることがあります。特に、北陸・福井で外国人を雇用する企業や外国人本人にとって、適切な翻訳対応は重要な課題です。
本記事では、福井を拠点とする特定行政書士・申請取次行政書士の立場から、入管申請における翻訳書類の作成ルールや注意点を、法務省 出入国在留管理庁の公式情報に基づいて詳しく解説します。
翻訳が必要となる主な書類
入管の公式FAQによれば、「提出書類が外国語で作成されている場合には、訳文(日本語)を添付してください」と明示されています。つまり、原文が日本語以外であれば、どの書類であっても翻訳文の提出が必要です。
代表的な書類としては以下のようなものがあります。すべて、日本語訳と原本(またはその写し)をセットで提出します。
- パスポートの記載内容(英語以外の言語の場合)
- 出身国の卒業証明書・成績証明書
- 職歴証明書・推薦状
- 海外の会社からの雇用契約書・業務内容証明書
- 結婚証明書・出生証明書などの戸籍関係書類
- 住民登録証明書・身分証明書類(外国語の場合)
翻訳文作成時の重要ポイント
1. 意訳ではなく「正確な逐語訳」を心がける
入管では、翻訳の正確性を非常に重視します。自由な意訳や省略を避け、原文の意味を忠実に反映した「逐語訳」が基本です。文体が多少ぎこちなくても構いませんが、誤訳・省略・過度な解釈は厳禁です。
翻訳内容に誤りがあると、審査官が原文と内容を照合できず、補正指示や審査遅延の原因になることがあります。
2. 翻訳者情報の明記と資格の有無について
入管に提出する翻訳文には、翻訳者の氏名・住所・連絡先を明記し、次のような「翻訳証明文」を添えることが求められます。
この翻訳は原文に基づき正確に翻訳されたものであることを証明します。
翻訳者氏名:〇〇〇〇
住所:〇〇県〇〇市〇丁目〇番地
連絡先:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
翻訳者に特別な資格は必要ありません。出入国在留管理庁のFAQ(Q24)では、「配偶者や本人が翻訳しても構わない」と明記されています。つまり、日本語と原文の言語を理解できる方であれば、一般の方でも翻訳者として署名可能です。
近年では、AI翻訳ツールを補助的に用いるケースも増えています。入管ではAI翻訳自体を禁止していませんが、翻訳文の正確性と責任の所在が重視されます。そのため、AIの翻訳結果をそのまま提出するのではなく、必ず人間が内容を確認・修正したうえで、翻訳者として署名・日付・連絡先を記載する必要があります。
3. 翻訳書類と原本はセットで提出
翻訳した日本語書類だけを提出するのではなく、必ず原文(またはその写し)を添付します。原文と翻訳文が対応していることが分かるよう、段落番号や書式を揃えるとより望ましいです。
4. 専門用語・固有名詞の表記を統一
外国語書類に登場する固有名詞(企業名・学校名・人名など)は、表記ゆれを避けるため、カタカナ表記や英語表記を統一して使用します。統一性が取れていないと、同一人物や組織として認識されにくくなる恐れがあります。
福井・北陸エリアでの翻訳対応の現状と課題
福井・北陸エリアでは、製造業・介護・宿泊業など多様な分野で外国人労働者が活躍しています。そのため、在留資格申請における翻訳書類の提出は日常的に行われています。
しかし、地域によっては翻訳のルールや書式への理解が十分でない場合があり、翻訳不備による「補正指示」や「審査の長期化」が発生するケースも見られます。また、ベトナム語・中国語・ネパール語など、対応言語の多様化も課題です。
行政書士による翻訳サポートのメリット
特定行政書士・申請取次行政書士は、入管申請の実務や翻訳要件に精通しています。翻訳サポートを依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
- 提出先に応じた正しい書式・レイアウトで翻訳を整えてくれる
- 翻訳文と申請書類の整合性を確認し、不備を未然に防止できる
- 補正や再提出のリスクを減らし、審査期間の短縮が期待できる
福井・北陸地域で外国人材を雇用している企業や個人の方は、地域事情に通じた行政書士への相談を検討すると安心です。
まとめ
入管申請における翻訳書類は、単なる言語の置き換えではなく、法的書類の一部として扱われる重要な資料です。誤訳や不備があれば、申請が不受理になったり、審査が長期化する可能性があります。
翻訳文には翻訳者情報を明記し、原文とともに提出すること。AI翻訳を利用する場合も、必ず人間が内容を確認して署名することが大切です。
福井や北陸地域で外国人材の在留申請をサポートする際には、地域の申請実務に精通した行政書士の協力を得て、スムーズで確実な手続きを目指しましょう。
(参考:法務省 出入国在留管理庁「在留資格関係Q&A」Q24、入管公式FAQ、各大学留学生課・行政書士実務指針)
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)
