
こんにちは。福井を拠点に、外国人の在留資格手続きや会社設立手続きのサポートをしている申請取次行政書士です。
日本で起業したい外国人の方にとって、福井という地域は、大都市ほどの利便性はないものの、地域密着でじっくりビジネスを育てやすく、行政の支援窓口も整いつつあります。今日は「福井で起業を目指す外国人」が知っておきたいポイントを、実際の手続きや制度、注意点などを交えてわかりやすくお伝えします。
起業前に考えておきたい3つのこと
起業を思い立ったら、まずはこれらを整理することが、成功への第一歩です。
- ビザ(在留資格)
起業をするなら「経営・管理ビザ」がメインとなることが多いですが、現在の在留資格(たとえば留学・技術・人文知識等)から切り替える必要があるかどうかを確認します。条件を満たさないとそのビザを取得できません。 - 事業内容・ビジネスモデル
どんな業種で、どのように収益をあげていくのかを明確にすること。営業許可が必要な業種(飲食店、小売、建設、不動産業など)は許認可の取得も考慮する必要があります。 - 日本語力・文化・地域慣習への理解
地元の取引先・顧客・役所などとのコミュニケーションが鍵になります。福井であれば、地元コミュニティとの信頼関係・地域ネットワークも重要です。
在留資格「経営・管理ビザ」の基礎知識 + 今後の要件厳格化動向
経営・管理ビザ(旧称:投資・経営ビザ)は、外国人が日本で会社を経営するための代表的な在留資格です。
現行制度での主な要件(2025年夏時点)
日本で会社を設立し、事業所(オフィス等)を確保していること
- 資本金500万円以上、または常勤職員2名以上の雇用
- 事業計画が現実的で継続的であること
- 事業の実態が確認できる書類の提出
2025年秋からの厳格化予定(省令改正見込み)
出入国在留管理庁では、以下のような厳格化を進めています:
- 資本金要件を500万円から3,000万円へ引き上げる案
- 常勤職員の雇用が必須となる可能性
- 申請者に3年以上の経営経験、または修士号レベルの学歴を求める案
- 事業計画書に中小企業診断士等の評価を求める方向
これらの変更は、2025年10月ごろ施行が見込まれています。現行制度での申請を検討している方は、早めの準備が重要です。詳しい最新の情報は、必ず当局のホームページなどでご確認下さい。
なぜ厳しくなるのか?
実態のない会社によるビザ取得の増加
- 質の高い外国人起業家の受入れを重視
- 他国と比較して緩やかな制度の是正
これから準備すべきこと
資本金計画の見直し(3,000万円以上を視野に)
- 従業員の雇用計画と契約準備
- 事業計画書の内容充実と専門家の協力
- 自身の経営経験や学歴の整理と証明
制度改正前に申請できるよう、スケジュールを逆算して準備を進めましょう。
申請の流れ・準備するもの
一般的にはこんなステップです:
- 事業所を確保(オフィス・店舗など契約)
- 会社設立の手続き(登記等)
- 関係許認可が必要な業種ならそれを取得
- 事業計画書を作成(収支予測、従業員配置、設備など具体的に)
- 在留資格申請(または変更申請)を行う
申請には、会社設立登記簿謄本、事業所の賃貸契約書、事業計画書、資本金等の証明資料などが必要です。また、申請が認められるかどうかはこれら書類の内容だけでなく、事業の実態・資金計画・将来性などが審査されます。
福井で使える支援制度や相談窓口
福井には、起業や外国人材受入れの支援をしてくれる行政・民間の窓口があり、うまく活用すれば起業準備がぐっと楽になります。
- FUKUI外国人材受入サポートセンター
福井市内に設置されており、外国人の在留資格・就労・定着支援などの相談を受けています。行政書士や社会保険労務士も連携してサポート。 - 福井県 高度外国人材等を受け入れる企業支援制度
福井県内に事業所を持つ企業が「高度外国人材」を受け入れる際の補助金やサポートがあります。起業者であっても、このような制度を検討できることがあります。 ([福井県公式サイト] - 助成金・補助金制度
外国人雇用・創業支援などに関する助成金があります。起業にかかる初期投資や人件費などで使えるものを探しておきましょう。福井県内の制度も随時更新されています。
起業・会社設立の実務ポイント(福井の事情)
福井における起業・会社設立に際して、地域ならではのポイントがあります。
- オフィスや店舗の立地選び:福井市など中心地だけでなく、隣接する市町村も視野に入れる。賃料・交通アクセスなどのコストを比較する。
- 地元のネットワーク:商工会議所、商工会、自治体の産業労働部門などと繋がっておくと、補助金や助成制度、相談窓口を紹介してもらいやすい。
- 日本語・文化・商習慣:契約書・見積書・請求書などの書類や契約のやり方に慣れておく。地元の行政機関とのやりとりも円滑になります。
- 資金計画を慎重に立てる:会社設立費用・オフィス賃貸・設備・許認可・ビザ申請費用など、最初に必要なコストを見積もる。特に「経営管理ビザ」は申請が通るまでの期間に資金がかかることがあります。
注意点とリスク
起業を成功させるためには、次の点に十分注意してください。
- 在留資格が取れない可能性も考慮する。要件を満たさない場合、申請が却下されることがあります。準備が甘いと時間だけがかかってしまうので、最初から専門家(行政書士+税理士)に相談することが望ましい。
- 税務・会計の整備が重要。収入・支出、消費税・法人税・源泉所得税・社会保険など、適切な申告・納税を行うこと。税務相談は税理士が専門です。
- 許認可が必要な業種では、許可取得に時間がかかるケースがあります(たとえば飲食、旅館業、小売、建設など)。
- 資金の確保:ビザ申請・起業準備中も生活費は必要となるため、そのための資金を準備しておく。
- 日本の法律・制度の変更があることにも注意。ビザ制度や補助制度は改正されることがありますので、常に最新情報をチェックする。
起業サポートを申請取次行政書士がどこまでできるか
私のような申請取次行政書士は、以下のような支援が可能です:
- 在留資格(経営・管理ビザなど)の申請・変更手続きの支援
- 会社設立書類・登記以外の行政手続きの準備(定款作成、契約書案、公的許認可申請等)の補助
- 起業に関する制度・補助金・助成金などの案内
- 書類の整備・翻訳サポートや、役所・入国管理局とのやりとりの補助
ただし、税金に関する具体的な計算・節税アドバイス、法人税・所得税の申告などは、税理士に依頼する必要があります。行政書士は税務代理権を持たないため、税務に関しては税理士との連携が重要です。
まとめ|福井で起業を目指すあなたへメッセージ
福井には「外国人材受入サポートセンター」をはじめ、起業や在留資格の相談ができる体制が整ってきています。ただし、起業を成功させるには、ビザ・制度・地域の特徴に応じた準備が欠かせません。
もし起業を考えているなら、まずは小さなアイデアを書き出し、ビザの要件をチェックし、専門家(申請取次行政書士・税理士)に相談してみてください。時間をかけて準備すれば、福井でも十分、地域とともに成長できるビジネスを作れます。
ご相談を希望される方があれば、いつでもお手伝いしますので、お気軽にお問い合わせください。
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)