行政書士業務における書式管理の課題とAI活用の可能性（ふくいの現場から）
行政書士の業務は多岐にわたりますが、その中でも特に手間がかかるのが「書式管理」です。申請書、委任状、契約書、報告書など、多種多様な書式を扱う必要があり、それぞれの様式に対応するためにファイル整理やテンプレート作成に多くの時間を取られている方も多いのではないでしょうか。
福井をはじめとする北陸地域の行政書士も、少人数の事務所体制が多いため、業務効率化は常に重要な課題です。そんな中、AI技術を使って書式管理を自動化・効率化する動きが広まりつつあります。今回は、特定行政書士の視点から、AIを活用して書式管理を効率化するための「3つのポイント」を解説します。
1. 書式の自動分類と検索性向上
AIが書式ファイルを自動で分類・タグ付け
事務所内に散在する書式ファイルの整理は、意外と時間がかかる作業です。従来はフォルダごとに手作業で分類・名前付けを行っていたため、「どこに保存したか分からない」「似たようなファイルが複数ある」などの課題が生じていました。
AIを活用すれば、ファイルの内容を読み取り、自動で分類やタグ付けが可能になります。たとえば「相続関連」「建設業許可」「在留資格」などのカテゴリごとに自動振り分けを行い、検索性を飛躍的に向上させることができます。これは日常業務における探す時間の短縮につながり、作業効率が大きく改善されます。
事務管理部門のAI書式整理術
実際の事務管理部門では、AI文書管理システムを導入し、WordファイルやPDFをAIが読み取り、内容に応じて自動でカテゴリを判別・整理する運用が始まっています。これにより、新人スタッフでも迷わずに必要書式を検索・利用できるようになり、業務の属人化を防ぐことにもつながっています。
2. テンプレートの自動生成とカスタマイズ
AIが申請内容に応じた書式を自動作成
最近では、ChatGPTなどの生成AIを活用して、申請内容を入力するだけで「必要書式」を自動で生成・編集できる仕組みも実用化が進んでいます。たとえば「○○許可の新規申請」「○○の申請」などと指示すれば、それに応じた必要書類一覧や文面案が提示され、修正・印刷まで一気に進めることが可能です。
これにより、書式の「ひな形」を探す作業が不要となり、案件ごとに一から作成する手間が軽減されます。
よく使う行政文書をAIで効率的に管理する方法
行政書士業務で頻出する文書—委任状、契約書、誓約書など—についても、事前にAIに「パターン」を学習させておくことで、必要項目の差し替えを自動化できます。たとえば、顧客名や住所、申請内容を入力するだけで、対応する書式に自動で反映される仕組みを構築しておくことで、再利用性が高まります。
福井の行政書士事務所でも、こうしたテンプレートAIの導入が始まっており、定型業務の時間削減に大きな効果を上げています。
3. 書式管理のルール化と業務フローの最適化
AIを業務ルールに組み込み、属人化を防ぐ
書式管理が属人的になると、担当者の不在時に業務が停滞するリスクが高まります。そこで、AIの仕組みを事務所全体の業務フローに組み込むことで、ルール化と標準化が可能になります。
たとえば、新規案件が発生した際に自動で必要書式リストを生成し、チェックリスト付きで担当者に通知する、といった運用も可能です。こうした仕組みによって、「誰がやっても同じ成果が出る」体制を構築することができます。
特定行政書士の視点で見る、AI導入の実務的注意点
一方で、AI導入にあたっては注意点もあります。まず、AIが生成する文書が必ずしも正確・適法であるとは限らないこと。特定行政書士としては、あくまで法令に基づいた記載内容を最終的に確認・修正する責任があります。
また、顧客情報などの機密情報をAIに入力する場合は、外部に情報が漏洩しないよう、セキュリティ対策を徹底する必要があります。可能であれば、ローカル環境で動作するAIシステムや、法人契約によるセキュアなサービスを選ぶことが推奨されます。
まとめと結論：北陸・福井で進むAIによる行政書士業務の効率化
書式管理は、行政書士にとって避けて通れない重要業務の一つです。しかし、AIをうまく活用することで、分類・作成・共有・検索といった一連のプロセスを劇的に効率化することが可能です。
福井をはじめとする北陸地域でも、少人数の事務所運営を効率化するためにAI導入を検討する事例が増えており、地域全体としても業務のIT化が進んでいます。
特定行政書士として、法的な正確性を保ちつつ、デジタルツールを活用した柔軟な働き方を取り入れることが、今後の業務運営の鍵となるでしょう。
事務管理部門のAI導入を支援しています
当事務所では、福井県内の事務管理部門の方向けに、AI導入や書式管理改善に関するご相談を承っています。各部門の規模や業務内容に応じた最適な導入方法をご提案いたしますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
行政書士中川まさあき事務所（福井県越前市）
