技能実習から育成就労へ──制度転換期に、現場と人に寄り添う行政書士であるために
技能実習から育成就労へ──制度転換期に、現場と人に寄り添う行政書士であるために
日本の産業は今、大きな節目を迎えています。
人口減少、少子高齢化、地域産業の担い手不足。こうした構造的な課題の中で、 外国人労働者の存在は、すでに「補助」ではなく「前提」となっています。
令和6年末時点で、在留資格「技能実習」による在留者数は456,595人。 この数字は、日本の現場がどれほど外国人材に支えられてきたかを、如実に物語っています。
職種別人数データが示す、日本の産業の現実
技能実習生の職種別人数を見ていくと、日本社会の「本音」が浮かび上がってきます。
最も多いのは建設関係で、約10万6千人。 とび、型枠施工、鉄筋施工、左官、配管など、インフラと住環境を支える根幹部分です。 地方に行けば行くほど、技能実習生がいなければ現場が回らないという状況は、決して珍しくありません。
次いで多いのが食品製造関係、約9万2千人。 そう菜製造、パン製造、食鳥処理加工、水産加工など、私たちの生活に直結する分野です。 毎日何気なく口にしている食品の背景には、黙々と働く多くの外国人技能実習生の姿があります。
さらに、機械・金属関係が約6万人、繊維・衣服関係が約2万6千人。 日本の「ものづくり」を支えてきた分野でも、外国人材はすでに欠かせない存在です。
「人手不足」だけでは説明できない現場の重み
技能実習制度は、しばしば「人手不足対策」と一言で語られます。 しかし、実際の現場は、そんな単純な言葉では片づけられません。
技能実習生は、言葉や文化、生活習慣の違いに戸惑いながら、日本の現場で懸命に働いています。 一方、受入企業側も、制度理解、書類管理、監理団体対応、生活支援、トラブル対応と、 本業以外の負担を数多く抱えています。
制度は年々複雑化し、コンプライアンスも厳しくなっています。 「悪気はなかった」「忙しくて後回しにしてしまった」が、重大なリスクにつながる時代です。
技能実習制度は、育成就労制度へと移行する
こうした課題を背景に、国は技能実習制度から、「育成就労制度」へ移行する方針を示しました。 これは単なる名称変更ではなく、制度の考え方そのものを転換する大きな改革です。
技能実習制度が「国際貢献」を建前としていたのに対し、 育成就労制度は人材育成と労働力確保を正面から認めた制度となります。
転籍の柔軟化、日本語能力の向上支援、キャリア形成の明確化など、 外国人本人の「働く人生」を意識した設計がなされる一方で、 受入企業側には、これまで以上に人材を育てる責任が求められます。
つまり、制度が変わることで、
「とりあえず受け入れればよい」という時代は、完全に終わるということです。
制度転換期だからこそ、行政書士の役割は重くなる
育成就労制度への移行期は、現場にとって不安と混乱が生じやすい時期でもあります。
・何が変わるのか、正確に理解できていない
・今の技能実習生はどうなるのか
・書類や手続きは、どこまで対応が必要なのか
こうした疑問や不安を抱えながらも、日々の業務に追われ、 じっくり考える余裕がない経営者の方も多いのではないでしょうか。
ここにこそ、行政書士が果たすべき本来の役割があります。
それは単なる「手続き代行」ではありません。 制度と現場、法律と人の気持ち、その間に立って支える存在であることです。
数字を読み、人の声を聴く
私はこれまで、金融、会計、経営企画、不動産業の現場に携わってきました。 数字の重みも、経営者の孤独も、決して他人事ではありません。
職種別人数データは、将来を読むための重要な材料です。 しかし、数字だけでは見えない「迷い」や「不安」が、必ず現場には存在します。
制度がどう変わろうとも、最後に問われるのは、 「この人と、この会社を、どう支えるか」という一点です。
制度の先にある「人」を見失わないために
技能実習から育成就労へ。 これは、日本社会が外国人労働者とどう向き合うのかを問われている転換点でもあります。
制度を正しく理解し、無理のない形で運用し、 そして何より、人として誠実に向き合う。
行政書士は、そのための「伴走者」でありたい。 私は、そうあり続けたいと考えています。
制度のことで悩んだとき、先が見えなくなったとき。 一人で抱え込まず、どうぞご相談ください。
答えは、必ず一緒に見つけていけると、私は信じています。
行政書士中川まさあき事務所(福井県越前市)
