令和5年の在留外国人統計と永住者の要件|日本の入管制度と今後の課題
出入国在留管理庁が公表したデータによると、令和5年末時点の在留外国人総数は341万992人。そのうち、中長期在留者は約312万人に達しており、日本社会における外国人の存在感は一段と大きくなっています。
特に、就労制限のない「身分系の在留資格」を持つ外国人の数は以下のとおりです。
- 永住者:89万1,569人(26.1%)
- 特別永住者:28万1,218人(8.2%)
- 日本人の配偶者等:14万8,477人(4.4%)
- 定住者:21万6,868人(6.4%)
永住者の配偶者等(詳細データ無し)を除いても、約153万人が就労制限なく日本で働ける状況にあり、全体の約45%を占めています。
また、外国人労働者数は204万8,675人。特にベトナム国籍の労働者の増加が顕著で、今後の動向が注目されます。
永住者になるには?|入管法が定める永住許可申請の要件
外国人が「永住者」の在留資格を取得するためには、入管法第22条に基づく永住許可申請が必要です。法務大臣が許可する条件は次の3つです。
●1号:素行善良要件
日常生活で法令違反がなく、社会的に問題のない生活態度であること。
●2号:独立生計要件
安定した所得があり、生活保護に頼らず自立して生活できること。
●3号:国益要件
納税状況、在留期間、社会的な信頼性など、日本の利益に合致すると判断されること。
※日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子の場合は、1号・2号が免除されます。
永住許可申請の必要書類は、在留資格や身分・地位によって変わり、提出区分は【就労資格】【就労資格以外】に分類されています。
「特別永住者」は別制度|一般の在留資格とは異なる枠組み
「特別永住者」は、入管法によるものではなく、入管特例法で定められた特別な在留資格です。通常の在留カードではなく、
特別永住者証明書(入管特例法第7条)が交付される点が特徴です。
外国人の長期在留ニーズと日本社会が抱える課題
日本で留学する外国人、または就労系の在留資格で働く人の多くは、より安定した長期の在留資格を望んでいます。将来的に永住権の取得を希望する外国人も少なくありません。
しかし、日本では少子高齢化と労働力不足が深刻化しており、外国人材の受入れは避けて通れないテーマです。入管行政はもはや「出入国管理」だけにとどまらず、日本の将来を左右する国家的課題へと発展しています。
先般行われた入管法改正も、外国人受け入れの複雑さや時代背景を象徴するものと言えるでしょう。
■まとめ
令和5年末の統計からも、外国人材が日本社会を支える重要な存在であることは明らかです。永住者・特別永住者・定住者など、身分系の在留資格をめぐる理解は、今後ますます欠かせないテーマになるでしょう。
外国人が安心して暮らし働ける環境を整えることは、日本の未来のために不可欠です。入管制度は、日本社会の一部として共に生きるための“架け橋”であり、その在り方が今まさに問われています。
