
永住許可の「我が国への貢献」に関する基準について、出入国在留管理庁が可能な範囲で示したガイドライン(平成29年4月26日改定)が公表されています。その概要は以下の通りです。
「我が国への貢献」に関するガイドライン
次のいずれかに該当し、かつ、5年以上日本において社会生活上問題を生ぜしめることなく滞在してきたこと。
各分野に共通
●国際機関若しくは外国政府又はこれらに準ずる機関から、国際社会において権威がるものとして評価されている賞を受けた者 例:ノーベル賞、フィールズ賞、プリッカー賞、レジオンドヌール勲章
●日本政府から次のような賞を受けた者
国民栄誉賞、勲章、文化勲章又は褒章(紺綬褒章及び遺族追賞を除く)、日本国際賞
●日本政府又は地方公共団体から委員等として任命、委嘱等されて公共の利益を目的とする活動をおおむね3年以上行った者
●医療、教育その他職業活動を通じて、日本社会又は地域活動の維持、発展に多大な貢献のあった者
外交分野
●外交使節団又は領事機関の構成員として我が国で勤務し、日本とその者の派遣団との友好又は文化交流の増進に功績があった者
●日本の加盟する国際機関の事務局長、事務局次長又はこれらと同等以上の役職として勤務した経歴を有する者
経済・産業分野
●日本の上場企業又はこれと同程度の規模を有する日本国内の企業の経営におおむね3年以上従事している者又はかつてこれらの企業の経営におおむね3年以上従事したことがある者で、その間の活動により我が国の経済又は産業の発展に貢献のあった者
●日本国内の企業の経営におおむね3年以上従事したことがある者で、その間に継続して1億円以上の投資を行うことにより我が国の経済又は産業の発展に貢献のあった者
●日本の上場企業又はこれと同程度の規模を有する日本国内の企業の管理職又はこれに準ずる職務におおむね5年以上従事している者で、その間の活動により我が国の経済又は産業の発展に貢献のあった者
●我が国の産業の発展に貢献し、全国規模の選抜の結果として賞を受けた者 例;グッドデザイン賞(財団法人日本産業デザイン振興会主催)の大賞又は特別賞
●先端技術者、高度技術者等としての活動により、我が国の農林水産業、工業、商業その他の産業の発展に多大な貢献があった者
●IoT又は再生医療等の「成長分野」の発展に寄与するものとして事業所管省庁が関与するプロジェクトにおおむね5年以上従事している者で、その間の活動により我が国の経済又は産業の発展に貢献があった者
文化・芸術分野
●文学、美術、映画、音楽、演劇、演芸その他の文化・芸術分野における権威あるものとして一般的評価を受けている賞を受けた者
例:ベネチア・ビエンナーレ金獅子賞、高松宮殿下記念世界文化賞、アカデミー賞各賞、カンヌ映画祭各賞、ベネチア映画祭各賞、ベルリン映画祭各賞
●文学、美術、映画、音楽、演劇、演芸その他の文化・芸術分野で指導者又は指導的地位にある者として、おおむね3年以上日本で活動し、日本の文化の向上に貢献のあった者
教育分野
●学校教育法に定める日本の大学又はこれに準ずる機関の常勤又はこれと同等の勤務の実体を有する教授、准教授又は講師として、日本でおおむね3年以上教育活動に従事している者又はかつて日本でおおむね3年以上これらの職務に従事したことのある者で、日本の高等教育の水準の向上に貢献のあった者
研究分野
●研究活動により顕著な成果を挙げたと認められる次の者
- 研究活動の成果としての論文等が学術雑誌等に掲載され、その論文が他の研究者の論文等に複数引用されている者
- 公平な審査過程を経て掲載が決定される学術雑誌等へ研究活動の成果としての論文等が複数掲載されたことがある者
- 権威ある学術雑誌等に研究活動の成果としての論文等が多数掲載されている者
- 権威あるものとして一般的に評価されている学会において、高い評価を受けて講演等をしたことがある者
スポーツの分野
●オリンピック大会、世界選手権等の世界選手権等の世界規模で行われる著名なスポーツ競技会その他の大会の上位入賞者又はその監督、指導者等としてその入賞に多大な貢献があった者で、日本における当該スポーツ等の指導又は振興に係る活動を行っている者
●国際的規模で開催されるスポーツ競技会その他の大会の上位入賞者又はその監督、指導者等としてその入賞に多大な貢献があった者で、おおむね3年以上日本においてスポーツ等の指導又は振興に係る活動を行っている者
●我が国におけるスポーツ等の振興に多大な貢献のあった者
その他の分野
●社会・福祉分野において、日本社会の発展に貢献し、全国規模の選抜の結果として賞を受けた者 例:ワンモアライフ勤労者ボランティア賞、社会貢献者表彰の各賞
●日本における公益的活動を通じて、我が国の社会、福祉に多大な貢献があった者
まとめ
永住許可に関する法律上の要件は以下の3つですが、この3つ目の要件の内容となっている原則10年(内、5年を就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること)の在留年数に関する規定が、例外的に緩和される下記の8項目ほどある中の一つ「外交・社会・経済・文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で5年以上本邦に在留していること」の基準を示したものが、前記載のガイドラインということになります。
(永住許可の法律上の要件)
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
(原則10年在留に関する特例)
- 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合で一定の条件にあてはまる場合
- 定住者の在留資格の場合で一定の条件にあてはまる場合
- 難民の認定や補完的保護対象者の場合で一定の条件にあてはまる場合
- 我が国への貢献があると認められ場合で一定の条件にあてはまる場合
- 地域再生法に基づき同計画の区域内に所在する公私の機関において特活36号又は37号のいずれかの活動により我が国への貢献が認められるなど一定の条件にあてはまる場合
- 高度専門職省令に規定するポイントの合計が70点以上の者で一定の条件にあてはまる場合
- 〃 80点以上の者で一定の条件にあてはまる場合
- 特別高度人材に該当する者で一定の条件にああてはまる場合