【2026年最新版】特定技能「介護」分野の受入れガイド徹底解説
【はじめにご確認ください】本記事のテーマについて
外国人材の受入れ制度には複数の種類があり、混同されやすいため、まずは以下の3つの違いを明確にしておきましょう。
- 「育成就労(介護分野)」:原則3年間の就労を通じて、特定技能水準に達するまでの「技能の修得・育成」を目的とした制度です。
- 「在留資格『介護』」:介護福祉士養成施設での修学や、実務経験を経て国家資格である「介護福祉士」を取得した外国人に与えられる、より高度な専門性を有する在留資格です。
- 「特定技能(介護分野)」:一定の専門性・技能を有し、「即戦力」として介護現場で業務に従事するための制度です。
本記事では、このうち「特定技能」に関する制度や仕組みに特化して解説します。
令和8年(2026年)1月23日の閣議決定により、介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用方針が新たに定められました[7]。高齢化が急速に進む日本において、介護サービス需要に対応するための外国人材の受入れは必要不可欠となっています[8]。本記事では、特定技能(介護分野)の制度概要から、対象となる外国人の要件、従事できる業務、そして新たに可能となった訪問介護への対
1. なぜ「特定技能(介護)」の受入れが必要なのか?
深刻化する人材不足と受入れ見込数
日本の介護分野における有効求人倍率は非常に高く、令和6年度(2024年度)においては4.08倍となっており、全国の全地域で2.00倍を超える深刻な人材不足に直面しています。
厚生労働省の推計によれば、令和10年度(2028年度)には介護分野で約235万7,300人の就業者数が必要となるとされています。介護ロボットやICTの活用による生産性向上(約4万7,100人分の緩和)、および処遇改善や多様な人材の確保といった国内での取り組み(約5万1,500人分の緩和)を行っても、なお約16万700人の人材が不足すると見込まれています。
このため、専門性と技能を生かした「即戦力」として外国人を受け入れ、社会基盤の持続可能性を維持することが急務です[1]。特定技能1号の外国人については、令和6年度から令和10年度末までの5年間で「12万6,900人」を受入れの上限として運用されることが決定しています。
2. 特定技能1号(介護)を取得するための要件と試験内容
介護分野で特定技能1号の在留資格を取得するためには、原則として「技能水準」と「日本語能力水準」の双方の試験に合格する必要があります。
① 技能水準の評価:「介護特定技能評価試験(技能)」
この試験は、利用者の心身の状況に応じた身体介護等を自ら一定程度実践できるレベル(即戦力)であるかを判定します。
- 試験形式:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施され、現地語で受験可能です。
- 試験内容:合計45問(試験時間60分)。学科試験が40問(介護の基本10問、こころとからだのしくみ6問、コミュニケーション技術4問、生活支援技術20問)、実技試験(判断等試験等の形式)が5問出題されます。
- 合格基準:問題の総得点の60%以上(令和8年4月1日より適用)。
- 受験料:2,000円程度。
② 日本語能力水準の評価
日本語能力については、日常会話レベルの基礎的な日本語力と、介護現場で必要な専門的な日本語力の両方が求められます。
- 基礎的な日本語力:「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」に合格すること。
- 専門的な日本語力:「介護特定技能評価試験(日本語)」に合格すること[12, 20]。試験時間は30分、全15問(介護のことば5問、介護の会話・声かけ5問、介護の文書5問)が出題され、総得点の73%以上で合格となります。
【重要】試験が免除される対象者
すでに日本の介護現場での経験や、一定の教育を受けている以下の対象者は、試験が免除され、スムーズに特定技能1号へ移行することが可能です。
- 第2号技能実習(介護職種)を良好に修了した者:技能試験と介護日本語試験、および基礎日本語試験のすべてが免除されます。
- 介護福祉士養成施設を修了した者:修学期間中に十分な実習と日本語教育を受けているとみなされ、すべての試験が免除されます。
- EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として4年間満了した者:適切な施設で4年間の就労・研修に従事した実績が評価され、すべての試験が免除されます。
※なお、職種を問わず第2号技能実習を良好に修了した者は、日本での生活経験から「基礎的な日本語試験」のみが免除されます。
3. 従事できる業務内容と「訪問介護」への対応
基本となる業務内容
特定技能外国人が従事できる業務区分は「介護」であり、具体的には「身体介護等(利用者の心身の状態に応じた入浴、食事、排せつの介助等)」となります。また、これらに付随する関連業務(お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充など、日本人が通常従事する業務)を行うことも差し支えありません。雇用形態は必ず「直接雇用」に限られます。
【最新動向】訪問系サービスへの従事が可能に
令和7年(2025年)4月21日の告示等改正により、要件を満たせば、特定技能外国人が「訪問系サービス(訪問介護等)」に従事することが可能となりました。対人サービスであり単独での訪問となるため、以下の厳格な要件や遵守事項が定められています。
訪問系サービスに従事するための要件と遵守事項
- 従事者の要件:介護職員初任者研修課程等を修了しており、原則として介護事業所等での「1年以上の実務経験」を有すること。
- 適合確認書の取得:受入機関は、訪問系サービスに従事させるにあたっての必要書類を提出し、協議会から「適合確認書」の発行を受ける必要があります。
- 研修と同行訓練:訪問介護の基本事項に関する研修を行い、従事開始時は一定期間、責任者等が同行して必要な訓練を行うこと。
- 環境整備:現場で不測の事態が発生した場合に適切な対応ができるよう、ICT(情報通信技術)を活用した環境整備を行うこと。
- キャリアアップとハラスメント防止:丁寧に業務内容を説明し本人の意向を確認した上で「キャリアアップ計画」を作成すること(定期報告が必要)。また、ハラスメント防止のための相談窓口を設置すること。
4. 受入事業所(施設)に求められる要件と「特定技能協議会」
特定技能外国人を受け入れる介護事業所には、適切な指導体制の確保とケアの質を担保するため、いくつかの条件が課されています。
受入れ人数の上限
事業所単位で受け入れることができる1号特定技能外国人の数は、「日本人等の常勤介護職員の総数」を上限とすることが定められています。これにより、十分なサポート体制を維持しながら受入れを行うことが求められます。
「介護分野における特定技能協議会」への加入必須化
特定技能外国人を適正に受け入れ、外国人材の保護や有用な情報共有を図るため、厚生労働省は「介護分野における特定技能協議会」を組織しています。
特に重要な点として、令和6年(2024年)6月15日以降、地方出入国在留管理局への在留諸申請を行う「前」に、本協議会の構成員となり、入会証明書の発行を受けることが必須となっています。
- 加入手続き:協議会申請システムにおいて入会申請を行い(入会費・年会費は無料[35])、通常2週間程度で入会証明書が発行されます。
- 外国人情報の登録:外国人を受け入れた日から4か月以内に、同システム上で外国人情報の登録を行う義務があります。
- 協力義務:特定技能所属機関(受入事業所)は、協議会において協議が調った措置を講じ、厚労省等の調査や指導に対して必要な協力を行わなければなりません。法令違反や改善が見られない場合は、強制脱退のうえ公表される措置も規定されています。
5. 夜勤や安全衛生に対する配慮
介護現場での負担軽減や安全衛生対策として、国内人材と同様に特定技能外国人に対しても配慮が必要です。厚労省は、介護テクノロジー(介護ロボットやICT)の導入補助を行っており、令和6年度の介護報酬改定ではこれらを活用した業務改善の取組を評価する加算が創設されました。これにより、昼夜の業務負担の軽減(見守りセンサー等の活用)が進められています。
6. まとめ
介護分野における「特定技能」は、育成を前提とした「育成就労」とは異なり、評価試験に合格した、あるいは技能実習や養成施設修了等の実績を持つ「即戦力人材」を受け入れるための制度です。深刻な人材不足を補うだけでなく、日本の介護現場で中核的な役割を担う存在として期待されています。
受入事業所においては、「介護分野における特定技能協議会」への事前加入が必須化されるなど、適正な受入れとコンプライアンス遵守がより厳格に求められるようになっています。さらに、要件を満たせば「訪問系サービス」への従事も可能となるなど、活躍の場は広がり続けています。今後、介護事業者が外国人と共生し、利用者に安全で質の高いサービスを提供し続けるためには、本制度の正しい理解と、外国人材が安心して働ける環境整備・キャリア支援が不可欠です。
※本記事は令和8年(2026年)1月23日閣議決定「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」および厚生労働省の公開資料に基づき作成しています。制度の最新情報については、必ず出入国在留管理庁および厚生労働省の公式ウェブサイトをご確認ください。
