BCP(事業継続計画)とは?

 福井地方においては、今夜から大雪による道路交通のマヒや大きな災害に警戒が必要ということで、高速道路や国道において計画的な通行止めも予想され、また、公共交通機関も安全最優先で計画運休となることも心配されています。

思い起こせば、今から4年前の2021年1月10日 日本海側を中心に降った大雪の影響で、10日午前7時までに、福井県の北陸自動車道金津インターチェンジ(IC、あわら市)―福井IC(福井市)間の上下線で計約1090台の車両が立ち往生するという事態が発生し、県は同日午前4時、陸上自衛隊に災害派遣を要請するという史上まれにみる災害となりました。(福井市では 102センチの積雪を観測)

更に遡ると、2018年には、2月6日頃から大雪の影響で国道8号線が長時間の大渋滞に見舞われ、約1500台の車両が収束まで60時間以上立ち往生に巻き込まれ、渋滞に遭遇した方の多くは命の危険に長時間さらされました。この災害においては、6日から8日までの間に北陸3県(富山、石川、福井)で転倒するなどして100人超が重軽傷を負い、大雪による死者は酷陸で計9人という大変大きな災害となってしまいました。

さて、今回のような大雪による警戒下においては、過去の教訓を生かし、予防的に通行止めを予め予告して実施するという傾向が最近主流になりつつあります。

このような状況下においては、様々な事業所や企業、店舗における営業がそもそもできるのかどうかという根本的な問題に直面することになります。

そこで、今日の本題である「BCPとは?」の話しになるのですが、緊急事態に備えるための計画を「BCP」(事業継続計画)と称して策定をするよう各方面から求められることになります。以下、BCPの意味を具体的に示します。

BCP(Business Continuity Plan)事業計画

 BCP(Business Continuity Plan)事業計画の意味は、企業が災害や緊急事態に直面した際に、事業の継続を確保するための計画です。企業の重要な事業活動を中断することなく、迅速に復旧させるためのガイドラインとなるものです。これにより、企業はリスクを最小限に抑え、迅速に通常の業務を再開することができるとされています。

①リスク分析:  どのような災害や緊急事態が発生する可能性があるかを評価します。

②対策計画:   発生した場合に備えて、どう対応するかの具体的な手順を定めます。

③訓練とテスト: 計画が有効であることを確認し、従業員が適切に対応できるよう定期的に訓練を行います。

④資源の確保:  必要な資源や設備が確保されているか確認します。

⑤コミュニケーション計画: 災害時に従業員や取引先とどのように連絡を取るかを決めます。

この計画は、公共性が高い機関や企業ほど策定義務がより強化され、厳格化されることになります。なぜなら、国民や住民の生命と財産を守るという崇高な使命があるからに他ならないからです。この他、各種許認可業務を行う企業等も監督庁などから策定を求められる傾向にあります。

ただ、このBCP計画、当然のことながら必要なものですが、私の経験では担当者は相当無理を強いられることになるため、心的ストレスが過大になり最悪の場合逃げ場をなくすということも懸念されます。災害担当者の誰もが三陸沖地震の際の映像が頭に焼き付いています。建物内部がすべて押し流された地域の核となる防災センター。限界を超えた災害にはBCPは無意味なもので虚しささえ感じてしまうのです。

かといって、策定しなければならないという責任感しかなく、担当者は策定を求める側と保護すべき客体の狭間で押しつぶされそうになってしまうことが起こりえるということです。それが、国などの機関で必要な人材が十分に確保され、補充がきき、代替も用意でき、資金も十分にあるという場合は別として、そうでない場合の多くが、その職責を一部の人員で賄う必要性が生じることが避けて通れないというのが現実なのです。

たとえていうなら、家族3人とバイト2人で切り盛りする食堂を、ひとりになっても回せるように計画をたてよ。とされた場合、普段はレジと洗い場担当のおかみさんが、どんぶりを作り、水を出し、レジをうつという計画を立てそれを書面にするという作業が現実として求められることになります。食堂を前提としていますが、これが、公共性の高い機関で一人でも回すべき重大な責任がある。となったらどうでしょう。一人でも回さなければならないのです。このようなケースは、医療関係者、気象、防災関係者、防衛関係者、工事現場責任者、報道その他様々な業界においてもあてはまるのではないでしょうか。

BCP計画、それはとても大切な計画であり、無いよりはあったほうがいいのは誰もが分かっています。しかし、よくよく突き詰めいていくと、とてもナーバスな側面があるという点を多くの方が理解していただくと、より実践に即した対応ができると考えます。そして、誰もが感謝の心を常に忘れることなく、ともに明るい社会の実現を目指して前へ進む喜びを分かち合えるようにしたいと思います。

行政書士中川まさあき事務所