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相続前に確認すべき不動産図面3分類と調査のポイント

相続前に確認すべき不動産図面3分類と調査のポイント

相続を進めるうえで、「この不動産はどこにあるのか?」「面積は?」「建築制限は?」「道路の幅は?」「周囲の都市計画は?」「部屋の間取りは?」といった情報を正確に把握する必要があります。これらを調べるための手がかりとなるのが各種の図面です。

この記事では、相続対象の土地や建物を調査する際に役立つ図面を目的別に3つに分類し、それぞれの概要と取得方法、注意点を解説します。


① 所有不動産の現況・面積・形状を把握するための図面

まず、個別の土地・建物がどこにあって、どれだけの面積があり、どんな形状なのかを確認する図面を紹介します。

  • 土地所在図
  • 地積測量図
  • 建物図面・各階平面図
  • 確定測量図
  • 現況測量図
  • 地番現況図・家屋現況図

代表的な図面の特徴

  • 地積測量図:登記申請時に提出される法務局保管の測量図で、面積・求積方法・隣接地との関係が記載されています。すべての土地にあるわけではありません。
  • 建物図面・各階平面図:表示登記の際に提出される図面で、建物の位置・形状・階層構成が示されます。
  • 確定測量図:土地家屋調査士が実測により作成。売買・分筆の際に多用され、登記簿の面積より正確です。
  • 現況測量図:土地所有者が自主的に測量して作成した図面で、法的効力はないものの実態把握に役立ちます。
  • 地番現況図・家屋現況図:地方税法に基づき市町村が作成。固定資産課税資料や評価計算に使われますが、証明力は限定的です。

これらの図面は、主に法務局や市町村で取得可能です。法務局の「登記情報提供サービス」や「かんたん証明書請求」も利用できます。


② 広域的に位置関係を把握するための図面

対象不動産と周辺地との位置関係や、どの場所にあるかを広く確認するには、以下の図面が有用です。

  • 公図(地図・地図に準ずる図面)
  • 地籍図
  • 地番図(土地地番図)
  • 固定資産地籍図

公図と関連図面のポイント

  • 公図:法務局に備え付けられている図面で、土地の筆・地番・隣接関係を確認できます。「地図」と「地図に準ずる図面」があり、後者は明治期作成の旧土地台帳付属図面で精度に注意が必要です。
  • 地籍図:地籍調査の成果物であり、筆界・地番・形状を示しますが、面積や距離の記載がない場合もあります。
  • 地番図・固定資産地籍図:市町村が固定資産税課税用に作成。参考図として有用ですが、法的な効力はありません。

注意:これら図面は「境界確定」の証明にはなりません。実測図・筆界確認書などを確認しましょう。


③ 都市計画・用途・評価額を確認するための図面

土地の評価額、今後の活用の可能性、建築制限などを把握するためには以下の図面が役立ちます。

  • 用途地域図
  • 都市計画図
  • 路線価図
  • 地価公示マップ

活用目的別の使い分け

  • 用途地域図:市町村が作成し、住居・商業・工業地域などの区分を表示。用途制限を確認できます。
  • 都市計画図:都市計画道路、地区計画なども含む広域図面。将来的なまちづくりに関する情報源です。
  • 路線価図:国税庁が公表。相続税・贈与税の計算の基準。毎年7月頃に更新されます。
  • 地価公示図:国土交通省が公表。土地取引の参考価格。取引の目安や土地の将来性を判断する際に有用です。

税務に関する事項は必ず税理士などの専門家にご相談ください。


まとめ:相続前の不動産調査は図面の活用が鍵

  • 相続対象不動産の調査では、「どこにあるか」「どのくらいの大きさか」「どんな制限があるか」「価値はいくらか」を把握する必要があります。
  • 図面は目的別に①現況・面積、②位置関係、③用途・価値の3分類で活用すると整理しやすくなります。
  • 図面には取得先(法務局・市町村)、正確性(公図 vs 実測図)、法的効力の違いがあるため、適切な選定が重要です。

相続が発生する前に、必要な図面を揃えて不動産の状況を把握しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な手続きにつなげることができます。

行政書士中川まさあき事務所のホームページ

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