どんな図面を調べたらいいの?


相続を念頭に置いた場合、該当の不動産の所在地や現況がどのようになっているかを知りたいというのは、皆さん同じことです。この土地の面積?、価値は?、建築制限の有無は?、道の幅は?、近隣の都市計画は?、部屋の間取りは?・・・・こうなったときに、それらを調べるための手がかりとなる図面があるはずです。ここでは、これらの図面を3つに分類して説明していきたいと思います。なお、この分け方に限らず、相互に関連しあう場合や、両方かね合わせるという場合もありえますので、あくまでも目安と考えてください。

①所有不動産の場所や大きさなど具体的かつ個別に調べていくとき


●土地所在図、●地籍測量図、●建物所在図・建物図面・各階平面図、●確定測量図、●現況測量図、●地番現況図・家屋現況図


「土地所在図」は、1筆毎の位置や境界を示し、地番を表示しています。「地籍測量図」は、以下の横浜市のホームページの引用文を参考にしてください。一般的に、「土地所在図」「地籍測量図」が一緒になっている場合が多いようです。いずれも、後述する、公図の取り方に準じた方法で取得できます。

【「地籍図」と「地積測量図」は、名称が似ているために混同される場合がありますが、異なる種類のものです。・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

地積測量図とは、登記申請を行う際に土地所有者が法務局に提出する図面であり、一筆(または数筆)の土地についての測量の結果(面積・求積方法など)が記載されています。当該土地の所在地を管轄する法務局が保管していますが、地積測量図がない土地も多くあります。詳細は、所管の法務局にお問い合わせください。】

横浜市のホームページ

次に、●建物所在図・建物図面・各階平面図、●確定測量図、●現況測量図、●地番現況図・家屋現況図をまとめて説明します。


「建物所在図・建物平面図・各階平面図」は、登記をする際添付される図面で、建物の位置や形状、面積などが表示されます。この図面も、後述する、「公図」の取り方に準じた方法で取得できます。

「確定測量図」とは、例えば土地売買契約の際、登記簿の面積ではなく、実際に境界を正確に実測した図面から得た面積で、売買契約の締結を希望する場合、土地家屋調査士に依頼して作成する図面です。法務局にこれをもとに登記され保存されていれば、「登記情報提供サービス」を利用して取得できるようです。

「現況測量図」は、土地所有者などが土地を測量して図面化したもので、一般的には、所有者などが所持する図面といえます。ですから、法務局で取得する性格の図面ではありません。一方、「地番現況図・家屋現況図」の違いについては下記を参照ください。


「地番現況図は地方税法第 381 条において土地課税台帳または土地補充課税台帳に登 録することとされた事項に関する情報を、正確かつ確実に取得するとともに、固定資 産評価基準の定める画地計算の実施または、宅地の比準割合に関する必要な情報等を 取得し、正確かつ公平な評価を実現することを目的にしています。 家屋現況図は賦課期日現在の家屋に関する正確かつ確実な情報を取得し、併せて、 家屋の新増築・滅失等に関する情報を断続的に反映させることを目的にしています。 なお、この記述方法は、地理情報標準に規定されている様式に基づいて記載しており、地理情報標準を踏まえて作成するものであることから、他の行政部局での利用が 可能となり、地理情報の一元化が推進されます。」

財団法人資産評価システム研究センター マニュアルより

②所有不動産との隣接関係を知りたいときや、大・中規模で範囲を広げて位置を確認したいとき


●公図、●地籍図、●地番図(土地地番図)、●固定資産地籍図などがあります。


まず、法務局で取得する「公図」は、単に「地図」とよばれるものと、「地図に準ずる図面」とよばれるものの2種類あります。「地図に準ずる図面」の多くは「旧土地台帳付属図面」とよばれることがあります。前者の「地図」は、不動産登記法に基づく正確な書面で、土地の境界を明確に表示しており、一般的に精度が高いと言われています。一方、「地図に準ずる図面」(旧土地台帳付属図面)は、広い意味で「公図」とも呼ばれ,主に明治時代に租税徴収の目的で作成され,不動産登記法上の要件を備えた地図が備え付けられるまでの間,これに 代わるものとして法務局に保存されている図面です。「地図に準ずる図面」は,正確性が低く,土地の形状や概略を記載した図面とされています。


この「公図」は、どこで手に入れるかというと、➀法務局へ申請(窓口・郵送)する方法②法務省のかんたん証明請求を利用し、ネットで申込み、郵送や法務局窓口で受け取る方法。③証明はないものの、登記情報提供サービスを利用し、ネットで閲覧やプリントアウトする方法などがあります。公図の他にも、法務局に保存されている 「土地所在図」「建物所在図・建物図面・各階平面図」などもこれに準じた方法で取得できます。


ここで、ややこしいのが、もう一つの「公図」、市町村町が所有管理している「公図」もある点です。市町村町においては、固定資産税の課税のための資料として、地方税法第381条に基づき資料を作成するようですが、その過程で、市町村町独自に作成しているようで、「法務局の公図」とは微妙に異なることもあるようです。市町村町が作成する「地番図(土地地番図)」「固定資産地籍図」「地番現況図」「家屋現況図」などを根拠としているようです。

次に、これら一般的な「公図」「地籍図」はどのような違いがあるのでしょうか。
よく言われていることは、「目的」と「内容」の違いです。
「公図」は、都市計画や土地利用のために情報提供するための図面とされ、「地籍図」は、土地の所有権や境界を明確にするための図面とされております。
また、「公図」は、大まかな位置関係や形状が描かれており、「地籍図」には、隣接する土地との境界、地籍などが記載されており、信用のおける図面とされています。


【「地籍図」と「地積測量図」は、名称が似ているために混同される場合がありますが、異なる種類のものです。
地籍図とは、地籍調査の成果として作成される地図であり、地籍調査後に法務局に送付されて法務局備付地図(公図)となるもので、土地の面積や距離等は記載されていません。横浜市が作成した地籍図は、みどり環境局地籍調査課で閲覧することができます。
一方、地積測量図とは、登記申請を行う際に土地所有者が法務局に提出する図面であり、一筆(または数筆)の土地についての測量の結果(面積・求積方法など)が記載されています。当該土地の所在地を管轄する法務局が保管していますが、地積測量図がない土地も多くあります。詳細は、所管の法務局にお問い合わせください。】

横浜市のホームページから引用

「地番図」とは、市町村が作成するもので、「公図」とは違い、やや広範囲で一連の図となっているため見やすいものとなっています。したがって、「公図」では把握できない場合に取得するケースが多いです。「地番図」に公的な証明力はありませんが、田畑、山林の情報を知りたいときは有益といえます。
次に、「固定資産地籍図」とは、地町村が地籍図や測量結果などから作成するものです。自治体毎に取得方法が違いますが、大阪市の例では、地図サイトから「固定資産地籍図」を閲覧できるようです。

③おおよそどの様な街づくり計画になっている所に位置づけされるか、などについて知りたいときや、土地価額の参考にしたいとき


●用途地域図、●都市計画図、●路線価図、地価公示


「用途地域図」とは、全国の市町村ごとに住居地域、商業地域、工業地域など都市計画により指定された地域を図面にしたもので、「用途地域マップ」のサイトから手に入れることができます。また、各市町村の都市計画担当課などから取得することもできます。所有する土地がどの用途地域にあたるかについては、相続の際留意するべき点のひとつともいえます。

「都市計画図」とは、各市町村の都市計画を示した図で、道路計画が記載されていることもありますので、参考のために取得することも有益といえます。

「路線価図」は、毎年、全国の民有地について、土地の評価額の基準となる路線価を定めて公表する図面で、国税局のホームページで閲覧できます。
税に関する事項は、必ず、税理士にご相談されることをおすすめします。

この他に、国交省が毎年行う「地価公示」に基づき、公表される地価公示制度がありますが、図面という視点では、公示価格の変動率を全国レベルで図面化したものがある程度です。

「地価公示は、国土交通省土地鑑定委員会が毎年1回標準地の正常な価格を公示し、一般の土地の取引価格に対して指標 を与えるとともに、公共事業用地の取得価格算定の規準とされ、また、国土利用計画法に基づく土地取引の規制における 土地価格算定の規準とされる等により、適正な地価の形成に寄与することを目的としている。」
とされています。

国交省のホームページより引用

行政書士中川まさあき事務所のホームページ