一時帰国の際の注意点

留学の在留資格を所持している外国人の方が、母国へ一時帰国したいときの注意点について記述したいと思います。これは、一時帰国を希望する方のちょっとした不注意から再入国できず、新たに留学の在留資格の認定を受けて入国することになるなど、とても複雑な手続きが必要となるケースが実際に起こりえるというお話しになります。

まず、一般的に再入国は「再入国許可」、「みなし再入国許可」、「短期滞在に係るみなし再入国許可」の3つに分けて考えることができます。では、「再入国許可」(法第26条)と「みなし再入国許可」(法第26条の2)と「短期滞在に係るみなし再入国許可」(法第26条の3)のそれぞれの違いを説明します。根拠条文は以下に記載の通りです。「再入国許可」(法第26条)と「みなし再入国許可」(法第26条の2)の違いは、簡単にいうと出国の期間が1年を超えるか超えないかの違いになります。1年を超える場合は、「再入国許可」により正式な再入国の許可を受ける必要があり、出国の日から1年(在留期間の満了の日が出国の日から1年を経過する日前に到来する場合には、在留期間の満了までの期間)の場合は、「みなし再入国許可」という簡易な出国手続きにより再入国が可能ということになります。もちろん、留学の在留期限が残り6か月なのに、それを超えて9か月後に再入国することはできない点は注意する必要がありますが。次に、同じみなし再入国許可でも、短期在留している方が再入国を希望する場合には、「短期滞在に係るみなし再入国許可」(法第26条の3)が適用され、条文にあるように1年という基準が15日に置き換わります。

では、留学で滞在している場合の再入国に関する話しに戻しますと、留学の在留資格をもって滞在している外国人の方が、一時帰国したい場合は、通常「みなし再入国許可」を受けて出国することになり、1か月~2か月以内に再入国するという形をとられることが多いようです。では、その際何が大切かというと、
入出国カード(EDカード)の再入国希望欄にチエックを入れて、出国の際再入国する意思を明確に表明する必要があるという点につきます。
これをせずに、普通に出国してしまうケースが稀にあるようです。面倒なことにならないよう、何らかの事情で一時帰国される方はお忘れないようご注意ください。

(出典:入出国在留管理庁のホームページより)

(再入国の許可)
第26条 出入国在留管理庁長官は、本邦に在留する外国人(仮上陸の許可を受けている者及び第14条から第18条までに規定する上陸の許可を受けている者を除く。)がその在留期間(在留期間の定めのない者にあつては、本邦に在留し得る期間)の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、その者の申請に基づき、相当と認めるときは、当該許可を数次再入国の許可とすることができる。
2 出入国在留管理庁長官は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人が旅券を所持しているときは旅券に再入国の許可の証印をさせ、旅券を所持していない場合で国籍を有しないことその他の事由で旅券を取得することができないときは、法務省令で定めるところにより、再入国許可書を交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該証印又は再入国許可書に記載された日からその効力を生ずる。
3 出入国在留管理庁長官は、再入国の許可を与える場合には、当該許可が効力を生ずるものとされた日から5年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
4 出入国在留管理庁長官は、再入国の許可を受けている外国人から、法務大臣に対する第20条第2項又は第21条第2項の規定による申請があつた場合において、相当と認めるときは、当該外国人が第20条第6項の規定により在留できる期間の終了の時まで、当該許可の有効期間を延長することができる。
5 出入国在留管理庁長官は、再入国の許可を受けて出国した者について、当該許可の有効期間内に再入国することができない相当の理由があると認めるときは、その者の申請に基づき、1年を超えず、かつ、当該許可が効力を生じた日から6年を超えない範囲内で、当該許可の有効期間の延長の許可をすることができる。
6 前項の許可は、旅券又は再入国許可書にその旨を記載して行うものとし、その事務は、日本国領事官等に委任するものとする。
7 出入国在留管理庁長官は、再入国の許可を受けている外国人に対し、引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には、その者が本邦にある間において、当該許可を取り消すことができる。
8 第2項の規定により交付される再入国許可書は、当該再入国許可書に係る再入国の許可に基づき本邦に入国する場合に限り、旅券とみなす。

出入国在留管理及び難民認定法 より抜粋

(みなし再入国許可)
第26条の2 本邦に在留資格をもつて在留する外国人(第19条の3第1号及び第2号に掲げる者を除く。)で有効な旅券(第61条の2の12第1項に規定する難民旅行証明書を除く。)を所持するもの(中長期在留者にあつては、在留カードを所持するものに限る。)が、法務省令で定めるところにより、入国審査官に対し、再び入国する意図を表明して出国するときは、前条第1項の規定にかかわらず、同項の再入国の許可を受けたものとみなす。ただし、出入国の公正な管理のため再入国の許可を要する者として法務省令で定めるものに該当する者については、この限りでない。
2 前項の規定により外国人が受けたものとみなされる再入国の許可の有効期間は、前条第3項の規定にかかわらず、出国の日から1年(在留期間の満了の日が出国の日から1年を経過する日前に到来する場合には、在留期間の満了までの期間)とする。
3 第1項の規定により外国人が受けたものとみなされる再入国の許可については、前条第5項の規定は、適用しない。

出入国在留管理及び難民認定法 より抜粋

(短期滞在に係るみなし再入国許可)
第26条の3 本邦に短期滞在の在留資格をもつて在留する外国人で有効な旅券を所持するものが、法務省令で定めるところにより、入国審査官に対し、指定旅客船で再び入国する意図を表明して当該指定旅客船で出国するときは、第26条第1項の規定にかかわらず、同項の再入国の許可を受けたものとみなす。ただし、出入国の公正な管理のため再入国の許可を要する者として法務省令で定めるものに該当する者については、この限りでない。
2 前条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により外国人が受けたものとみなされる再入国の許可について準用する。この場合において、同条第2項中「1年」とあるのは、「15日」と読み替えるものとする。

出入国在留管理及び難民認定法 より抜粋

行政書士中川まさあき事務所