相続で必要な戸籍謄本の取り方と注意点|広域交付制度対応【行政書士が解説】
相続で必要な戸籍謄本の取り方と注意点
— 広域交付制度で効率的に取得する方法 —
相続手続きを進める際、「戸籍謄本」という言葉を耳にすることが多いと思います。しかし、実際にどのような書類なのか見たことがないという方も少なくありません。今回は、東京都北区のホームページで公開されている戸籍謄本の見本を引用しながら、行政書士の立場からわかりやすく解説いたします。
戸籍謄本とは?
戸籍謄本とは、戸籍に記載されているすべての事項を証明する書類で、正式には「戸籍全部事項証明書」といいます。戸籍には、氏名・生年月日・親子関係・婚姻・離婚・死亡などの身分関係に関する情報が記載されています。
相続が発生すると、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までのすべての戸籍を集めることが求められます。これは、相続人を確定するための重要な資料となるためです。
除籍謄本・戸籍の附票も必要
- 除籍謄本:亡くなった方が死亡により戸籍から除かれたことを証明する書類
- 戸籍の附票:被相続人がどの住所に住んでいたかを確認するための住所履歴の記録
これらを揃えることで、相続関係説明図などを正確に作成できるようになります。
戸籍謄本の見本(東京都北区より引用)

上記の例は、現在の新様式による「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)」です。
相続の際には、この現在の戸籍だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍を含むすべての戸籍を集める必要があります。
古い戸籍の読みづらさに注意
古い戸籍(改製原戸籍)は、手書きや旧字体で記載されており、初めて見る方には大変読みづらいものです。行政書士など専門家のサポートを受けながら、現行様式にあてはめて整理・解読する工夫が必要です。
令和6年3月から「戸籍謄本の広域交付制度」がスタート
これまで、戸籍のある各市区町村役場へ個別に申請しなければなりませんでしたが、令和6年3月1日より「戸籍謄本の広域交付制度」が始まりました。
この制度により、全国どこの市区町村役場でも、本人や直系親族であれば一括で戸籍謄本を取得できるようになりました。これにより、相続時の手間と時間が大幅に軽減されます。
ただし注意!
東京都北区の例では、次のような注意喚起がなされています。
「広域交付については本籍地へ電話確認を行うため、交付までに時間を要します。過去にさかのぼる戸籍など複数の請求の場合は、当日渡しができず後日交付となる場合があります。」
このように、申請は時間に余裕をもって行うことが大切です。郵送申請や事前確認も検討しましょう。
戸籍の附票とは?
戸籍の附票は、被相続人の住所履歴を確認できる書類で、法務省のホームページでも見本が掲載されています。これにより、どの住所地で生活していたか、どの自治体で相続に関連する手続きが必要かを判断できます。
戸籍収集後の流れ
これらの戸籍書類をすべて収集することで、ようやく次のような相続関係説明図を作成できるようになります。つまり、正確な相続人を確定するためには戸籍収集が不可欠ということです。
※本記事は法務省および東京都北区の公式情報をもとに作成しています。
相続に関する戸籍収集や書類作成のご相談は、身近な行政書士にお問い合わせください。
【出典:東京都北区のホームページより】【謄本見本例】


上記の戸籍謄本の例は、現在の戸籍謄本(全部事項証明)の例ということになります。しかし、相続発生の際には、見本のように現在の戸籍謄本のみではなく、生まれてから死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍を含む)を収集することになります。また、現在の例は新様式のものですので比較的見やすいですが、過去の古い様式の謄本はこれとは全く違い、初見の方にとっては大変読みづらいものになります。従って、古い様式の謄本は現在の様式にあてはめて解読する工夫が必要となります。
なお、申請の際、東京都北区の例では、以下のような注意喚起がホームページでなされていますので、問い合わせなどにより時間に余裕をもって対応するか、郵送による申請も検討する方がいい場合もあるようですので参考にして下さい。申請の際は、申請先の市町村のホームページなどで予めよく調べた上で対応することが大切といえます。
※広域交付については、本籍地へ電話確認を行うため、交付するまでに多くの時間を要しております。また過去にさかのぼる戸籍など、複数の戸籍の請求の場合は長時間お待ちいただきます。特に家系図作成のための戸籍など、複数人の過去にさかのぼる戸籍の請求の場合は当日のお渡しができず、後日交付となります。戸籍の種類が多い場合は、さらに複数回に分けてのお渡しとなることがあります。あらかじめご了承ください。
東京都北区のホームページより引用

【出典:法務省のホームページより 】
【戸籍の附票見本】

(これはあくまでも説明のための見本です)
これらの書類を収集してようやく以下のような相続関係の図が完成することになります。つまり、これら相続人を確定するために戸籍を収集する必要があるという訳です。

(出典:法務省のホームページより)
