宅建業免許更新で注意すべき実務ポイント
― 経歴書・従事者名簿の“つまずきやすい部分”を行政書士が解説 ―
宅地建物取引業の免許更新は、「更新」とはいっても、実務の手間はほとんど新規申請と変わりません。 特に事業実績の記載と従事者名簿の整備は多くの業者様が苦労するポイントです。
1.免許申請書「様式第二号(宅地建物取引業経歴書)」の難所
● もっとも大変な項目:2.事業の実績
経歴書の中でも負担が大きいのが次の項目です。
- イ)代理・媒介の実績
- ロ)売買・交換の実績
これをさらに、 宅地・建物・宅地建物 に区分し、 件数・価額・手数料 を過去5年分記載する必要があります。
記帳会計を自計化していない事業者では、 契約書や元帳を一つずつ確認しながら手作業で集計するため、 非常に手間と時間がかかる難関です。
●「取引台帳」と「会計帳簿」の整合性が必須
宅建業法第49条では、宅建業者は事務所ごとに取引台帳(業務帳簿)を備え、 所定の事項を正確に記載しておく義務があります。
そのため、
取引台帳 → 取引の一覧
会計元帳 → 売上計上の根拠
この二つの数字が合致していることが大切です。
日頃から取引台帳を正しく作成し、 「どの数字をどこから転記するのか」を明確にしておくことで、 更新時の事務負担を大幅に減らすことができます。
● 外部委託する場合も数字の“根拠”が重要
行政書士などに更新申請を委託する場合でも、
- 契約日・決済日
- 契約書の内容
- 元帳の売上科目
- 資産台帳の区分
これらを照合しながら慎重に区分していく必要があります。 元となる数字が曖昧な場合、委託先も正確に記載できません。
2.添付書類(8)「従事者名簿」の注意点
免許更新で見落としがちなのが、 宅地建物取引業に従事する者の名簿 の整備です。
ここでは、次のような点に注意が必要です。
- 従業員数・宅建士数の正確な把握
- 異動・退職・採用の反映漏れ
- 出向者・アルバイト・グループ会社応援の扱い
- 使用人兼務役員の記載要否
- 協会提出名簿との整合性
● 宅建士であっても専任でない場合は要注意
異動で他部門に移ったり、実質的に従事していない場合、 専任性の問題から“名義貸し”と受け取られるおそれがあります。 従事内容を明確にしておくことが大切です。
● 「従事者」に該当する範囲(ガイドラインより)
■ 専業の宅建業者の場合
- 代表者
- 非常勤を除く役員
- すべての従業員
- 受付・秘書・運転手等も含む
ただし、宅地建物の取引に直接関係が薄い業務を臨時的に行う者は除外されます。
■ 他業種兼業の宅建業者の場合
- 代表者
- 宅建業を担当する役員
- 宅建業に実際に従事する者
- 必要に応じて一般管理部門の職員も含めることが可能
● 従業員証明書の発行について
消費者保護の観点から、 来店者が「どなたですか?」とならないよう、
臨時であっても従業員証明書を発行する方が望ましい
と考えられます。
3.まとめ|免許更新は「日頃の帳簿・人員管理」がすべて
宅建業の免許更新は、提出書類自体は決して難解ではありませんが、 過去5年分の実績整理や名簿整備など、 日頃の管理状況によって作業量が大きく変わるのが特徴です。
特に、
- 取引台帳と会計帳簿の整合性
- 従事者名簿の正確な管理
- 宅建士の専任性の確認
これらを日頃から整えておくことで、 更新手続きが格段にスムーズになります。
更新手続きについて不安がある場合は、 行政書士に早めに相談することをお勧めします。 事前準備をしっかり行い、安心して免許更新を迎えましょう。
