12月6日付にて、国土交通省のホームページにおいて、下記の内容の案内がされていました。人出不足を背景とした技術者等の確保に関して新たに緩和措置がとられることとなったようです。令和2年10月、令和5年7月に続いての追加措置ともいえます。
価格転嫁対策や現場管理効率化などのため、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」の一部の改正規定について、令和6年12月13日から施行することとします。 1. 概要
国土交通省のホームページより引用
第213回国会(常会)において成立した「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」による一部の改正規定※について、その公布の日から6ヶ月以内の政令で定める日から施行することとされていることから、本日、その施行期日を令和6年12月13日と定めるとともに、これらの改正規定のうち監理技術者等の専任義務の合理化について、金額と兼務可能な現場数を定める政令を閣議決定しました。
※契約書の法定記載事項の追加、価格転嫁協議の円滑化の促進、監理技術者等の専任義務の合理化、営業所技術者等の職務の合理化、処遇確保の努力義務の新設、情報通信技術の活用に関する努力義務の新設、公共工事における施工体制台帳の提出義務の合理化
2. 政令の主な内容
○ 監理技術者等の専任義務に係る合理化
(建設業法第26条第3項、建設業法施行令第28条)
工事現場に専任しなければならないこととされている監理技術者等について、情報通信技術などにより工事現場の状況の確認等ができる場合には、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事については2現場まで兼務できるようになります。
なお、営業所技術者等は、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事について1現場まで兼務できるようになります。
※ 「監理技術者等の専任義務に係る合理化」について、省令で定められる要件は13日までに追ってお知らせいたします。
※ 上記以外の規定のうち、省令で定められる要件があるもの(価格転嫁協議の円滑化など)についても、13日までに追ってお知らせいたします。
上記を理解するためには、技術者等に関して整理する必要がありますので、以下をご一読ください。
専任技術者
【専任技術者】 建設業を営む事業者が、各営業所で受ける許可ごとに配置しなければならない一定の要件を満たす技術者のことをいいます。(常駐性が求められます。)
どのような方が専任技術者になれるのか?
- 許可を受けようとする建設業又は許可を受けている建設業に係る建設工事に関し、高校の所定学科等(旧実業高校を含む。)卒業後5年以上、又は、大学の所定学科(高等専門学校・旧専門学校を含む。)を卒業後3年以上の実務経験を有する者
- 許可を受けようとする建設業又は許可を受けている建設業に係る建設工事に関し、10年以上の実務経験を有する者(電気工事及び商法設備工事については、それぞれ電気工事士法、消防法当により電気工事士免状及び消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ一定の工事に直接従事できないこととされています。
- 上記2つの条件と同等又はそれ以上の知識・技術・技能を有すると認められる者 1)指定学科に関し、旧実業学校卒業程度検定に合格後5年以上・旧専門学校卒業程度検定に合格後3年以上の実務 経験を有する者 2)資格区分に該当する者(国家資格者等) 3)その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者
配置技術者(主任技術者と監理技術者)
【配置技術者】 工事の適正な施工を確保するために、施工現場に配置して技術上の管理を行う一定の資格・経験を有する技術者。配置技術者には、「主任技術者」と「監理技術者」が該当します。公共性のある施設若しくは多数の者が利用する工作物に関する重要な建設工事(工事1件の請負代金の額が4000万円以上(建築一式工事の場合は8000万円以上)の工事については、現場に配置する技術者(主任技術者又は監理技術者)は工事現場ごとに「専任」の者でなければなりません。
●「主任技術者」
工事現場の技術上の管理をつかさどる技術者で、主任技術者の要件は、一般建設業の許可を受けるための専任技術者の要件と同じです。
●「監理技術者」
発注者から直接請け負った建設工事のうち、下請けに出す施工金額の合計が4500万円以上(建築一式工事の場合は7000万円以上)となる工事現場に配置しなければならない技術者で、監理技術者の要件は、特定建設業の許可の基準を満たす技術者の要件と同じです。監理技術者として選任された者は、原則として同一の工期に他の現場の配置技術者を兼務することはできないこととされています。
(特例監理技術者) 令和2年10月より 施工管理技士補(一次合格者)⇒ 監理技術者をサポートできるように
監理技術者は前述の通り、原則として1か所の現場に常駐する必要がありますが、例外的に、それぞれの現場に施行監理技士補(一次合格者)の方を常駐させることにより複数の現場を管理することができます。これは、令和2年10月より監理技術者の現場専任性と配置技術者の現場専任性について一部要件が緩和されたことによります。人材不足の緩和のための措置といえます。
技士補技士 ⇒ 令和5年7月 緩和措置により専任技術者資格に該当
技術士1級1次検定合格者(対応種目) = 合格後3年の実務経験
技術士2級1次検定合格者(対応種目) = 合格後5年の実務経験
指定学科の卒業者以外でも、下記の指定学科を卒業したものとみなすことができます。
技術検定種目 | 同等のとみなす指定学科 |
土木施工管理、造園施工管理 | 土木工学 |
建築施工管理 | 建築学 |
電気工事施工管理 | 電気工学 |
管工事施工管理 | 機械工学 |
これは、令和5年7月1日より、専任技術者の一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和がなされました。
令和6年12月13日から施行される 要件緩和の内容
工事現場に専任しなければならないこととされている監理技術者等について、情報通信技術などにより工事現場の状況の確認等ができる場合には、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事については2現場まで兼務できるようになります。
なお、営業所技術者等は、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事について1現場まで兼務できるようになります。
従来までは、下請けに出す施工金額の合計が4500万円以上(建築一式工事の場合は7000万円以上)となる工事現場には管理技術者を配置しなければならないこととされていましたが、12/13からは、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事については2現場まで兼務できるようになるということになります。
また、専任技術者は原則として営業所での常駐性が求められていましたが、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事について1現場まで兼務できるようになります。
緩和措置を繰り返しても現場はまだまだ技術者不足が深刻で、その打開策の一つとして今回の改正施行となったようです。国の経済発展の牽引役がこけてはどうにもなりませんので、このようなあの手この手でということになったように感じます。ここまでくると、青田買いではないですが、技術系高校、職業訓練校などに対する画期的な支援制度や優遇制度、魅力的な将来像を描ける施策までさかのぼらってやらないと間に合わないかもしれません。ひよっとしてそこまでやるかもしれません。期待して待ちましょう。