建設業と宅建業

 建設業許可事業者が、兼業として営むケースとして多いのが、宅地建物取引業であるといわれていますが、日本経済の牽引役と言っても過言ではない、このふたつの業種の特徴を数値で比較していきたいと思います。

建設業

国交省の「建設業許可者数調査の結果について」(建設業許可業者の現況令和6年3月末現在)によれば、建設業許可業者数は、479,383業者(内、一般建設業許可業者454,163業者:全体の95%が一般許可、また、個人事業者の割合は14.1%)と前年比4,435業者(0.9%増)の増加となりました。また、建設業許可業者数の最も多かった平成12年3月末時点の数(600,980業者)と比較した業者数の減少は、▲121,597業者(▲20.2%の減少)となりました。業者数の減少が顕著であったのは、平成12年から平成14年にかけての3か年(鳥取西部大地震、有珠山と三宅島噴火、米テロ)、平成17年から19年にかけての3か年(耐震偽装、郵政民営化、年金記録問題)、平成22年から平成24年にかけての3か年(経営破綻、大震災)とみられ、それぞれの年度において、年間15,000~20,000業者が廃業等により減少したことを表しています。

宅建業

一般財団法人不動産適正取引機構が、令和5年度末時点の数値として公表している統計資料「宅建業者と宅地建物取引士の統計について」によれば、令和6年3月末時点における宅建業者の数は、130,583業者(内、法人117,781業者、個人12,802業者)となっており、平成17年度においては131,251業者であったものが、それ以降徐々に減少傾向にありましたが、平成25年以降は、122,127業者から毎年増え続けているのが現状と言えます。宅建業に従事する従業員数は615,240人(従業員5名未満の事業者数は、109,019業者84.2%)、専任取引士数は、230,114人、宅地建物取引士登録者数は、1,183,307人(内、令和5年度新規登録者数 29,734人:令和4年度とほぼ横並び:統計データがないため、あくまでも予測ですが、実際に取引士証の交付を受けた者の数は登録者総数の3~4割程度にとどまるのではないでしょうか。)といった現状となっています。

業界の今後

このふたつの業種は、過去のいい時、悪い時と、現在の状況を比べるとどうなのか?

思えば、このふたつの業種は、過去において、世間から様々なたたかれ方をしてきた経緯があります。建設業でいえば、耐震偽装の問題や、談合の問題もありました。また、宅建業でいえば、バブルの頃の地上げの問題や、土地ころがしなどの問題もありました。このように、必ずしも世間の評価はいいものばかりではなかったといえるかもしれません。では、将来この先は明るいのか?それとも、暗いのか。建設業界においては、人材不足、材料高騰などの問題を抱え、宅建業界においては、後継者問題、事業継承問題などを抱えています。この先のことは、正直、誰にも分るものではありませんが、このふたつの業種は日本経済をささえる主要な経済の柱と言っても過言ではありませんので、今後の業界全体の益々の発展を願いたいものです。