入管庁が公表している令和6年6月末における在留外国人の総数は、358万8956人となっています。その内、技能実習の在留資格を以って在留する方の数は、42万5714人となっており、在留外国人に占める割合は、11.86%になります。この技能実習に関連する法律の改正が、令和6年6月14日の国会で成立しました。
入管庁のホームページでは、以下のように公表されています。
令和6年6月14日、第213回通常国会において「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号)※1」及び「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)※2」が成立し、同月21日に公布されました。
(改正の概要)
技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況に鑑み、就労を通じた人材育成及び人材確保を目的とする新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設し、育成就労計画の認定及び監理支援を行おうとする者の許可の制度並びにこれらに関する事務を行う外国人育成就労機構を設けるほか、1号特定技能外国人支援に係る委託の制限、永住許可の要件の明確化等の措置を講ずる。(公布の日から原則3年以内に施行(注1))
(注1)準備行為に係る規定は公布即施行「技能実習法」から「育成就労法」への抜本改正
①育成就労制度の目的・基本方針
○ 法律名を「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に改める。
○ 育成就労制度は、育成就労産業分野において、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とする。
○ 政府は基本方針及び分野別運用方針を定めるものとし、分野別運用方針において、各分野の受入れ見込数を設定するものとする。②育成就労計画の認定制度
○ 育成就労計画の認定に当たって、育成就労の期間が3年以内(注3)であること、業務、技能、日本語能力その他の目標や内容、受入れ機関の体制、外国人が送出機関に支払った費用額等が基準(注4)に適合していることといった要件を設ける。
○ 転籍の際には、転籍先において新たな育成就労計画の認定を受けるものとし、当該認定は、①やむを得ない事情がある場合や、②同一業務区分内であること、就労期間(1~2年の範囲で業務の内容等を勘案して主務省令で規定)
・技能等の水準・転籍先の適正性に係る一定の要件(注5)を満たす場合(本人意向の転籍)に行う。③関係機関の在り方
○ 監理団体に代わる「監理支援機関」については、外部監査人の設置を許可要件とする。監理支援機関は、受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する業務に関わらせてはならないものとする。
○ 外国人技能実習機構に代わる「外国人育成就労機構」を設立。育成就労外国人の転籍支援や、1号特定技能外国人に対する相談援助業務を追加。(注3)主務省令で定める相当の理由(試験不合格)がある場合は、最大で1年の延長可。
入出国在留管理庁のホームページより引用
(注4)詳細な要件は、主務省令で定める。
(注5)詳細な要件は、主務省令で定める。具体的には、
・ 同一機関での就労期間については分野ごとに1年から2年の範囲で設定すること
・ 技能等の水準については、技能検定試験基礎級等及び分野ごとに設定するA1~A2相当の日本語能力に係る試験への合格
・ 転籍先が、育成就労を適正に実施する基準を満たしていることを要件とすることを予定している。
日本国内において、少子高齢化や人材不足への対応を急がなければならいという事情を反映したものといえますが、もっとわかりやすくいえば、かつては、先進国としての日本が、海外の発展途上国などから実習生を受け入れて技術を習得して頂くことで、学んだ実習生が本国へ帰り、母国の経済発展に寄与することを支援していくという従来の立場から、経済的にも弱ってきた日本国においては、少子高齢化や慢性的な人材不足から、もはや自国の事で精一杯で、海外への貢献という方向も維持しつつ、日本国内のために、外国人労働者枠の拡大と在留期間の緩和をすすめざるを得ない、という事情が見え隠れすることも現実といえるのではないでしょうか。では、現在受け入れている技能実習生はどうなるの、とか、いつから、どのように変わるのといった疑問があるともいますが、具体的には、来年度から本格化していくようです。受け入れ支援機関等から徐々に詳細が明らかになっていくものと考えられます。
ちなみに、注5 技能検定試験基礎級等及び分野ごとに設定するA1~A2相当の日本語能力とは、以下のように分類区分されています。