NPO法人の設立ガイド|概要・手順・注意点を行政書士がわかりやすく解説
NPO法人(特定非営利活動法人)は、営利を目的としない社会貢献活動を行う団体です。 「公益性が高い」という点で、公益社団法人・公益財団法人と混同されがちですが、NPO法人は特定非営利活動促進法に基づく全く別の制度です。
1. NPO法人とは(法的根拠)
特定非営利活動促進法 第1条には、次のように記されています。
特定非営利活動を行う団体に法人格を付与し、市民による自由な社会貢献活動の健全な発展を促進し、公益の増進に寄与すること (特定非営利活動促進法 第1条)
つまりNPO法人は、市民による自主的な社会貢献活動を支援するために生まれた「市民主体の公益法人」といえます。
2. NPO法人の概要(必要人数・期間・税制等)
■ 設立に必要な人数
- 社員(会員):10名以上
- 理事:3名以上
- 監事:1名以上
■ 役員の任期
- 理事:2年
- 監事:4年
■ 役員の親族制限
- 各役員において、配偶者・3親等以内の親族は1名まで
- 役員全体の1/3を超えて親族が含まれないこと
■ 設立までの期間
おおむね 4〜5か月
■ 税制上のポイント
- 法人税:収益事業のみ課税
- 法人住民税:要件を満たすと免除あり
■ 設立費用
法定費用は不要。ただし、士業に依頼する場合は手数料が必要。
3. NPO法人の設立手順
① 要件確認・書類作成
- 設立趣旨書
- 定款
- 役員名簿
- 事業計画書(2期分)
- 活動予算書(2期分)
② 所轄庁との事前相談・説明会参加
③ 設立総会の開催
④ 所轄庁へ設立認証申請
- 認証申請書
- 定款
- 役員名簿(報酬受給者の記載含む)
- 社員10名以上の名簿
- 議事録 など
⑤ 公表・縦覧(2週間)
⑥ 所轄庁の審査 → 認証
⑦ 法務局で設立登記
⑧ 設立登記完了届の提出
⑨ その後は通常の法人と同様の事務手続きへ
4. NPO法人設立時のチェックポイント(重要)
■ 定款に関する確認
- 名称に問題はないか(類似・誤認等)
- 不特定多数の利益に資する目的か
- 特定の個人・団体の利益になっていないか
- 会員条件が不当でないか
- 役員任期が法令に沿っているか
- 残余財産の帰属先が法定要件を満たしているか
- 解散・公告方法等が法律通りか
■ 役員に関する確認
- 理事3名以上、監事1名以上
- 親族割合の制限を満たしているか
- 報酬を受ける役員が1/3以下か
■ 社員(会員)名簿
- 10名以上いるか
■ 事業計画・予算(2期分)
- NPO事業の事業費 > 収益事業の事業費
- 事業費 ≧ 管理費
- 収益事業が赤字になっていないか
- 収益事業の利益はNPO事業へ全額繰り入れているか
まとめ|NPO設立は丁寧な準備が最重要
NPO法人設立は、手順こそ明確ですが「書類の正確性」「目的の公益性」「法令に沿った運営体制」が強く求められます。 特に定款・役員・事業計画の3点は、審査で最も確認されるポイントです。
社会の役に立ちたいという想いを形にするために、早い段階で専門家に相談しながら進めることでスムーズな設立が可能になります。
