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本人確認制度はなぜ強くなったのか?昭和生まれの事業者にも知ってほしい制度変遷

本人確認制度はなぜ強くなったのか?昭和生まれの事業者にも知ってほしい制度変遷

本人確認制度はなぜ強くなったのか?昭和生まれの事業者にも知ってほしい制度変遷

「また本人確認か…」「書類が増えて面倒だな」--昭和生まれで長く事業を営んできた方から、こういった声を伺うことがあります。しかし、制度の背景を知ると、「なぜ今、こうした確認が求められているか」がクリアになります。行政書士・財務コンサルタントとして、私も多くの事業者さまとこのテーマに向き合ってきました。今日は、特に昭和世代の方に向けて、本人確認制度の歩みを整理します。

1.制度強化の背景:テロ・マネー・詐欺

2001年9月1日午前(米国時間では9月11日)の同時多発テロを契機に、国際社会では「テロ資金をどう止めるか」が急務となりました。日本でも、マネー・ローンダリング(資金洗浄)や名義貸し、口座の不正利用などが社会問題化し、制度整備の波が来ました。

このような背景から、「ただお金を預ける・契約をする」だけの時代から、「誰が、何のために、どこへ、どういう意図で」という確認が、制度として義務付けられる流れになってきたのです。

2.本人確認制度の主な歩み

  • 2003年1月6日:金融機関等向けに「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」が施行。口座開設・契約時の本人特定事項の確認、記録・保存が義務に。
  • 2008年3月1日:より広範囲の事業者を対象とする「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」が全面施行。金融機関以外も対象に。
  • 2013年・2016年:本人確認の内容が拡充。取引目的・職業・実質支配者確認などが追加、罰則強化。
  • 2018年11月:オンライン本人確認(eKYC)や、顔写真なし身分証を使う際の補強手続きが制度化。
  • 2024-2025年:暗号資産・グローバル資金移動への対応など、制度がさらに強化・拡張されています。

3.昭和生まれの事業者が知っておきたい「今日の制度のポイント」

安定・丁寧・信頼を重んじる経営姿勢をお持ちの方には、特に次の点を押さえておくと安心です。

  • 対象者が拡大している:以前は“銀行だけ”の話だった本人確認制度ですが、現在は不動産業・宝石取引・士業(行政書士・税理士等)も「特定事業者」として義務があります。
  • 確認すべき取引・内容が増えている:単に「この人本人か?」だけではなく、「何のためにこの取引をするか」「その人の職業・収入・支配構造(法人なら誰が実質支配者か)」「この取引は“マネー・ローンダリング/テロ資金利用のおそれ”がないか」などまで確認対象に含まれています。
  • 記録と保存が義務:本人確認した内容は記録を作成・保存(例えば7年間)しなければなりません。怠ると是正命令や罰則の対象となることも。
  • 技術・手続きも変化している:以前は「対面で書類見せて印鑑押して終わり」だった流れが、オンラインでの本人確認(eKYC)が制度として認められるようになりました。昭和世代には新しいかもしれませんが、実務上は対応必須になっています。

4.行政書士事務所・財務コンサルタントとしての実務チェックポイント

行政書士の立場から顧問先・相談者の方へお伝えする際には、以下の実務チェックリストを持っておくようにしています。

  • 取引相手が「誰か(氏名・住所・生年月日/法人名・所在地)」を確認しているか
  • その取引の「目的」「職業・事業内容」「実質支配者」の確認をしているか(必要な場合)
  • 確認時の書類・記録を保存しているか(例えば本人確認書類の写し・記録に添付、保存期間の把握)
  • 「疑わしい取引」と感じる取引について、所定の届出義務があるか/その判断基準を説明しているか
  • オンラインで取引・契約を行う際に、eKYC・転送不要郵便等の制度改正を把握しているか

「人の孤独や苦しみに寄り添う」「腹を割った対話が得意」という考えから、たとえ書類整理・制度説明が“めんどう”に感じられる相手でも、「なぜこの制度があるか」「どんなリスクを防いでいるか」を丁寧に説明することで、信頼関係をさらに深められると確信します。

5.まとめ:制度は“目的”を知ることで抵抗感が和らぐ

本人確認制度は、行政が「健全な経済活動」「テロ・犯罪資金の流れの遮断」「事業者・国民の安心」を守るために整えてきたものです。昭和生まれの事業者の方にとって、「なぜ今こんなに確認するのか」「昔は無かったのに」という感覚があるのは自然なことです。ですが、その背景を理解すると、手続きを“負担”としてではなく、「備えとして」「信頼を守るためのもの」と捉えやすくなります。

当事務所では、中小・個人事業主の方々に対して、この制度を“負担から安心”に変える支援をしていきたいと思います。今後も、制度を活かしつつ、お客様の信頼を深めていくための体制整備・説明支援をぜひご一緒に進めてるべく努力してまいります。

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