2022年9月17日 当時の岸田内閣が「海外から高度人材の受け入れを増やすため制度を拡充する。」と表明致し、「既存の制度の改正に加え、新たな制度の創設を検討する。」という内容の報道がされておりました。さらなる優秀な外国人材の誘致拡大につなげ、日本の成長力の向上をめざすという当時としての目標を掲げた形になります。
2022年以前においても高度外国人材の受入れを促進するため,高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国在留管理上の優遇措置を講ずる制度を2012年5月7日より導入して運用してきましたが、更に対策を拡充する形で2023年4月から特別高度人材制度「J‐Skip」や、未来創造人材制度(J-Find)の導入も始まりました。
従来までの取り組みや新たな取り組みが実施された結果どのように推移したというと、2023年5月の読売新聞オンラインによれば、経済産業省は日本の企業で研究開発や海外営業などに従事する在留資格では「専門的・技術的分野」に該当する方を高度外国人材と位置づけ、この分野に該当する数は、2014年の14万7296人から2023年には3.1倍の45万7386人に増えたと報道されておりました。それ以前からもこの分野のテコ入れ対策は何らかの形で実施してはいたようですが、さらなる強化目標を掲げた2022年から2年が経過した今、国際社会においてはますますこの分野における人材獲得競争が激化しているといわれています。今日は、特別高度人材制度「J‐Skip」についてその概要を下記の通り、入出国在留管理庁のホームページより引用してご紹介しています。
要件に該当される可能性のある方は、この機会に取得を検討されてみるのはいかがでしょうか。
高度外国人材特別高度人材制度(J-Skip)の概要と要件
【制度の概要】
入管庁のホームページによれば、以下のように説明されています。
「2023年4月から特別高度人材制度(J-Skip)が導入され、これまでの高度人材ポイント制とは別途、学歴又は職歴と、年収が一定の水準以上であれば「高度専門職」の在留資格を付与し、“特別高度人材”として現行よりも拡充した優遇措置を認めることとなりました。
【要件】
〇 在留資格「高度専門職」の対象には、外国人本人が我が国で行う活動に応じて、以下の3つの類型があります。
(1)「高度学術研究活動」 : 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動(例 : 大学の教授や研究者等)
(2)「高度専門・技術活動」 : 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動(例 : 企業で新製品の開発等を行う者、国際弁護士等)
(3)「高度経営・管理活動」 : 本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動(例 : グローバルな事業展開を行う企業等の経営者等)
〇 特別高度人材”の要件は、上記の(1)~(3)の活動類型ごとに以下のとおりです。
((1)・(2)の活動類型の方)
以下のいずれかを満たす方であること。
・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上の方
・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上の方
((3)の活動類型の方)
・事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上かつ、年収4,000万円以上の方
出入国在留管理上の優遇措置の内容
〇特別高度人材の場合は、高度人材ポイント制による優遇措置よりも拡充された、以下の優遇措置を受けられます。
※特別高度人材として認められた場合、特別高度人材証明書が交付され、また、在留カード裏面欄外の余白に「特別高度人材」と記載されます。
・在留資格「高度専門職1号」の場合
1. 複合的な在留活動の許容
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 配偶者の就労
5. 一定の条件の下での親の帯同
6. 一定の条件の下での家事使用人の雇用
7. 大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用
8. 入国・在留手続の優先処理
・在留資格「高度専門職2号」の場合
※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」(特別高度人材)で1年以上活動を行っていた方が移行できる在留資格です。
1. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
2. 在留期間が無期限となる
3. 上記3から7までの優遇措置が受けられる
○また、永住許可までに要する在留期間は「1年」となります。
申請手続の流れ
〇 新たに高度専門職1号(特別高度人材)として入国を希望する場合
・「高度専門職1号」(イ・ロ・ハのいずれか)に係る在留資格認定証明書交付申請(※)を行ってください。
※ 入国予定の外国人の受入れ機関の方等が申請を行うことができます。
・行おうとする活動に係る要件を満たすことを立証する資料を提出し、特別高度外国人材の認定を申し出ます。
〇 この申請により取得した在留資格認定証明書は在外公館における査証申請の際に必要となります。なお、在留資格認定証明書なしに査証申請することはできません。
〇 この申請により在留資格認定証明書が交付された場合、あらかじめ在留資格に関する上陸条件の適合性の審査は終了しているため、日本の空海港における上陸審査時に本証明書及び査証を所持することにより、スムーズな査証発給、上陸審査手続が行われます。
・申請に必要な書類等については添付を御確認ください。
〇 高度専門職1号以外の在留資格で在留している方が高度専門職1号(特別高度人材)への在留資格変更を希望する場合
・「高度専門職1号(イ・ロ・ハのいずれか)に係る在留資格変更許可申請を行ってください。
・申請に必要な書類等については添付を御確認ください。
〇 なお、特別高度人材として5年在留し、続けて在留を希望する方は、在留期間更新申請を行ってください。申請に必要な書類等については、添付を御確認ください。
※ なお、高度人材ポイント制によって高度専門職1号の在留資格で在留している方が、特別高度人材としての優遇措置を希望する場合は以下の申請を行ってください。
1 高度専門職1号の在留期間の満了までの期間がおおむね3か月以内の場合
・在留期間更新許可申請において、特別高度人材に該当する旨の申し出を行ってください。
・申請に必要な書類等については添付を御確認ください。
2 高度専門職1号の在留期間の満了までの期間が上記以上の場合 ・就労資格証明書交付申請を行っていただき、当該申請に際して特別高度人材であることの認定をします。(手続についてはこちらを御確認ください。)
3 上記1・2にかかわらず、配偶者や家事使用人が特別高度人材の優遇措置(特定活動告示第2号の4及び第33号の2)に係る在留諸申請を行った場合に、同申請において本体者が特別高度人材であることの認定をします。
申請書類等について
〇 各申請書類等は以下を御覧下さい。
1 特別高度人材(「高度専門職1号」関係)
在留資格認定証明書交付申請
在留資格変更許可申請
在留期間更新許可申請
2 特別高度人材(「高度専門職2号」関係)
在留資格変更許可申請
3 特別高度人材の就労する配偶者
在留資格認定証明書交付申請
在留資格変更許可申請
在留期間更新許可申請
4 高度外国人材の家事使用人
在留資格認定証明書交付申請
在留資格変更許可申請
在留期間更新許可申請
5 高度外国人材若しくはその配偶者の7歳未満の子の養育又は妊娠中の高度外国人材の配偶者若しくは妊娠中の高度外国人材の介助等の必要な支援を行おうとする高度外国人材又はその配偶者の親
在留資格認定証明書交付申請
在留資格変更許可申請
在留期間更新許可申請
参考掲載【高度人材ポイント制とは?⇒ 2012年5月7日より運用】J-Skipとの違いは?
1 制度の概要・目的
高度外国人材の受入れを促進するため,高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国在留管理上の優遇措置を講ずる制度を2012年5月7日より導入しています。
高度外国人材の活動内容を,「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」の3つに分類し,それぞれの特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に,出入国在留管理上の優遇措置を与えることにより,高度外国人材の我が国への受入れ促進を図ることを目的としています。
※2023年4月21日より導入した「特別高度人材制度(J-Skip)」はこちらのページを御参照ください。
2 「高度外国人材」のイメージ
我が国が積極的に受け入れるべき高度外国人材とは・・・
「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」であり,「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とされています。(平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書)
【高度外国人材が行う3つの活動類型】
〇高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動
〇高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
〇高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」
本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
3 出入国在留管理上の優遇措置の内容
「高度専門職1号」の場合
- 1. 複合的な在留活動の許容
- 2. 在留期間「5年」の付与
- 3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
- 4. 配偶者の就労
- 5. 一定の条件の下での親の帯同
- 6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
- 7. 入国・在留手続の優先処理
- 「高度専門職2号」の場合
- a. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
- b. 在留期間が無期限となる
- c. 上記3から6までの優遇措置が受けられる
- ※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていた方が対象になります。
- 4 法令上の位置付け
ポイント制における評価項目と配点は,法務省令で規定しています。
就労の在留資格に関する要件(在留資格該当性・上陸許可基準適合性)を満たす者の中から高度外国人材を認定する仕組みとし,在留資格「高度専門職」が付与されます。
ポイント評価の仕組み
高度外国人材の活動内容を
1. 高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」
2. 高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」
3. 高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」
の3つに分類し、それぞれの活動の特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」、「研究実績」などの項目ごとにポイントを設定し、申請人ご本人の希望する活動に対応する類型について、ポイント計算による評価を実施します。
その他、詳細は出入国在留管理庁のホームページにてご確認下さい。
なお、ポイント計算表参考書式(エクセル)もダウンロードできるようになっていますので便利です。
この仕組みを端的に言えば、ポイント「70」点以上あれば出入国管理上の優遇措置が受けられますよ。ということです。
まとめ
高度人材を確保優遇するというこの「高度外国人材特別高度人材制度」「(J-Skip)」の活用を、現在出入国管理庁当局をはじめ国を挙げて積極的に推進しています。2012年から運用されている高度専門職認定の際のポイント制について、点数不足などの事由により高度専門職の在留資格を得ることができなかったため高度専門職以外の在留資格をお持ちの方、あるいは、ポイント数は達しているにもかかわらず高度専門職以外の在留資格で在留している方(教授~報道、経営管理~技能)、さらには、これから新規に在留資格を得ようとお考えの方は、ポイント制によらず学歴又は職歴と年収により、高度専門職に認定される可能性が広がりましたので、要件に該当する可能性のある方はこの機会にご確認されることをお勧めします。もちろん、J-SKIP対象外の場合は従来通り現時点のポイント点数を再確認してみる価値はあります。