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【最新統計から読み解く】日本企業の現状と、これから起業する人が知っておくべきポイント

【最新統計から読み解く】日本企業の現状と、これから起業する人が知っておくべきポイント

 【最新統計から読み解く】日本企業の現状と、これから起業する人が知っておくべきポイント

日本国内には多くの統計データが存在しますが、「企業数」や「法人数」は調査主体や目的によって大きく異なります。 たとえば、総務省・経済産業省による経済センサスでは法人企業約178万社とされる一方、国税庁の統計では284万社という結果が示されています。

このように、同じ「企業数」でも前提条件によって数値は一致しないため、まずはデータの性質を正しく理解することが重要です。本稿では、創業・倒産・新設法人などの動向を把握するために、次の2つの信頼性の高い統計を中心に分析を行います。

  • 帝国データバンク:企業信用調査に基づく分析
  • 東京商工リサーチ:倒産・新設法人動向の統計

① 帝国データバンクの分析:創業・倒産から見る企業の寿命

帝国データバンクの最新分析によれば、次の特徴が見られます。

  • 過去10年で創業した企業:20万社
  • 過去10年で倒産した企業:10万社
  • 創業100年超の企業は全体のわずか2%

このデータは、日本の企業寿命が意外に短いことを示しています。 同時に、経営者にとって取引先の信用状況を正しく把握する必要性の高さも浮き彫りになります。

なお、統計に個人事業主がどこまで含まれるかは明確でない点も踏まえる必要があります。


② 東京商工リサーチの分析:2023年の新設法人・休廃業・倒産の実態

2023年に新設された法人は次のとおりです。

  • 新設法人:153,405社(前年比7.8%増)
  • 休廃業・解散:49,788社
  • 倒産:8,690社(前年比35.1%増)

法人格別の割合は以下のとおり。

  • 株式会社:101,413社(全体の66.1%)
  • 合同会社:40,655社(9.6%増)
  • 一般社団法人:6,055社
  • 医療法人:1,256社(減少)
  • NPO法人:1,209社(減少)

このデータから分かるのは、創業=法人設立とは限らないという事実です。 年間15万社の新設法人がある一方、過去10年間で創業した企業が20万社ということは、 法人設立の中には「事業拡大」「許認可取得」「法人化による次のステージ」などの目的による設立も多いということです。


③ 建設業・宅建業から見る業界別の特徴と影響力

建設業と宅建業は、日本の法人全体に占める存在感が非常に大きい業界です。

建設業の現況

  • 許可業者数:479,383業者(2024年3月末)
  • 一般許可が95%を占める
  • 個人事業者比率:14.1%
  • 平成12年比:12万社減(▲20.2%)

過去の大震災、耐震偽装、社会不安などの事象が、業者数の大幅な減少につながった時期もありました。

宅建業の現況

  • 宅建業者数:130,583業者(うち法人117,781社)
  • 従業員数:615,240人
  • 取引士登録者数:1,183,307人

平成25年以降は増加傾向にあり、インバウンド需要や不動産取引の活発化が背景にあると考えられます。

建設業と宅建業は合わせて58.5万業者。 国税庁の284万社と比較すると約2割を占める巨大産業であり、日本経済を支える柱と言えるでしょう。


④ 株式会社か合同会社か ― 法人形態の選び方

新設法人の7割が「株式会社」ですが、近年は合同会社の伸びが顕著です。理由としては、

  • 手続きが簡便でスピーディー
  • 設立コストが低い
  • インバウンド需要による店舗・サービス業の増加

ただし、合同会社には注意点があります。 出資者=役員(業務執行社員)が原則であり、出資だけして経営は任せたい、という形は取りづらい点です。

そのため、

  • 外部の店長に運営を任せたい
  • 組織運営を明確に分けたい

といったケースでは株式会社を選ぶ方が適切になります。


⑤ 統計データをどう活かすか ― 創業・法人設立の判断材料として

統計データは、それぞれ条件・抽出方法・目的が異なるため、数字だけを単純に比較することはできません。 しかし、ポイントを押さえて読み解けば、

  • 企業の存続率
  • 業界ごとの成長性
  • 法人格選択の傾向
  • 将来のリスクとチャンス

といった重要な示唆を得ることができます。

起業や法人設立は、単に「会社を作る」だけでなく、これからの生き方そのものを形にする決断です。 だからこそ、正確な現状把握と、将来を見据えた計画が欠かせません。

⑥ 専門家としてのメッセージ

近年はオンラインで簡易に法人設立ができる時代になりました。 しかし、「手段が簡単になったこと」と「事業が成功すること」は別問題です。

むしろ今の時代だからこそ、

  • 数字に基づいた現状分析
  • 中長期の経営計画
  • 許認可や税務面での正確な判断
  • 経営者の心の不安に寄り添う伴走支援

といった総合的なサポートの重要性は増しています。

私は、行政書士として、これから企業を立ち上げる方の未来を力強く後押しできるよう、今後も誠実に、丁寧に、そして熱意をもって支援を続けてまいります。

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