海外で現地子会社を設立する場合の実務的な流れ(韓国の場合)
日本企業が海外に現地法人を設立する際には、その国の法令に基づく専門的な手続きが必要となります。
以下では、韓国での株式会社設立を例に、その手続きの流れと留意点をまとめています。
Ⅰ. 設立の可否確認
出資者や役員が欠格事由に該当しないか、出資額が法令要件を満たすかなど、基本条件を確認します。
韓国では、外国人投資促進法により、外国人1人あたりの最低出資額は1億ウォンと規定されています。
■ 外国人の定義(韓国法)
- 外国籍を有する個人
- 外国法に基づき設立された法人
Ⅱ. 外国人直接投資(FDI)の申告
KOTRAや新韓銀行等で「外国人投資申告」を行います。
申告後、「外国人投資申告受理書」が発行されます。
■ 提出書類(例)
- 外国人投資申告書(様式)
- 代理人への委任状
- 日本法人の履歴事項全部証明書等
- 印鑑証明書
Ⅲ. 投資資金の送金
日本からの出資金は、必ず円建てで韓国指定銀行の仮想口座へ送金します。
ウォン建てでの送金は認められていません。
為替レートにより最低出資額を下回らないよう、通常は多少多めに送金します。
Ⅳ. 株式払込金の納入
銀行にて払込金保管証明書を発行してもらい、設立登記の証憑とします。
Ⅴ. 会社設立(商法手続き)
定款(韓国語原本)を作成し、必要な場合は公証を受けます。
発起人総会や創立総会の決議を経て、設立総会終了日から2週間以内に登記申請を行います。
■ 定款に記載する主な事項
- 商号(韓国語または英語)
- 役員構成(取締役・監査役)
- 事業目的
- 資本金・授権資本金
- 公告方法(新聞名など)
- 本店所在地
- 決算期
■ 主な必要書類
- 会社設立申請書
- 定款(必要に応じて公証済)
- 株式引受書
- 創立総会議事録
- 払込金保管証明書
- 外国人投資申告受理書
- 役員の就任承諾書・印鑑証明書
■ 設立費用
- 登録税(資本金の0.4%/首都圏は1.2%)
- 教育税(登録税の20%)
- 公証・法務士手数料
Ⅵ. 法人設立申告・事業者登録(税務)
法人税法・付加価値税法に基づき、以下の登録が必要です。
- 法人設立申告:設立登記から1か月以内
- 事業者登録:事業開始日から20日以内
■ 必要書類
- 法人登記簿謄本
- 定款
- 株主名簿
- 賃貸借契約書
- 許認可証(必要な事業のみ)
Ⅶ. 外国人投資企業登録申請
FDI申告後、書類を提出して「外国人投資企業登録証」を取得します。
通常2〜3日で発行されます。
■ 必要書類
- 投資企業登録申請書
- 外国為替買入証明書等
- 事業者登録証
- 株主名簿
- 法人登記簿謄本
Ⅷ. 企業結合申告
独占規制及び公正取引に関する法律に基づき、一定規模以上の場合に必要となります。
■ まとめ
韓国での子会社設立は、FDI申告・出資金送金・登記・税務申告など多段階の手続きが必要であり、現地専門家との連携が欠かせません。
設立費用は、登記・手数料等で300〜700万ウォン、 通訳・翻訳、日本側の専門家費用などを含め約1,000万ウォンほどが必要と見込まれます。
また、設立後はオフィス費用、人件費、社会保険、税務顧問料などのランニングコストが発生します。
日本から役員を派遣する場合は、現地の在留資格や保険の取扱いにも注意が必要です。
