ずっと好きな日本で暮らしたい。 

 一度日本に訪れた外国の方や、夢をもって日本を目指す外国の方の中には、「ずっと好きな日本で暮らしたい。」という思いを持つ方も多いようです。そもそも、「定住・永住・帰化」などのように「ずっと日本で暮らす。」というためには、そのスタートラインとしてはどのようなパターンがあったのでしょうか。出会いの数、チャンスの数、人の数だけあるといっても過言ではないほど、様々な人々の人生模様に応じたパターンがあったに違いありません。

今日は、「定住・永住・帰化」に至るまでに考えられる例を示してみたいと思います。尚、「永住許可に関するガイドライン」にも規定されているように、在留中などに日本人や永住者等と知り合い結婚したような場合には、永住許可のハードルは下がりますので、在留期間中の留意点とともに参照ください。

手に職をつけて挑む、または経営者として挑む外国人の方のパターン例

●技能実習 ⇒ 特定技能1号 ⇒ 特定技能2号 ⇒ 10年以上在留(2号で5年以上を含む)  ⇒  永住

●海外支店に事務職で就職 ⇒ 企業内転勤⇒ 10年以上在留(企業内転勤で5年を含む) ⇒ 永住

●日本や母国で指定されたエンジニアなどの資格を取得 ⇒ IT企業などに就職 ⇒ 技人国

         ⇒ 10年以上(技人国で5年以上を含む)  ⇒ 永住

●指定された特殊技能について10年の実務経験を得る ⇒ 技能 

         ⇒ 10年以上(技能で5年以上を含む)  ⇒ 永住

●留学 ⇒ 専門学校(専門士) ⇒ アニメ・ファッション・デザイン・食の専門の職業につく 

         ⇒ 技人国認定を受ける ⇒10年以上(技人国で5年以上を含む)  ⇒ 永住

●留学 ⇒ 調理師・製菓衛生士免許取得 ⇒ 日本の食文化海外普及人材育成事業対象 

         ⇒ 特定活動認定を受ける ⇒  10年以上(就労系在留資格で5年以上を含む)  ⇒ 永住

●母国で経営 ⇒ 日本法人設立 ⇒ 経営・管理 ⇒ 10年以上(経営・管理で5年以上を含む)  ⇒ 永住

大学などを出て挑む外国人の方のパターン例

●母国の大学を卒業し学士学位を得る ⇒日本語学校等 留学 ⇒  企業の総務部などに入社 ⇒ 技人国

         ⇒ 10年以上在留(技人国で5年以上を含む) ⇒ 永住

●母国の大学を卒業し学士学位を得る(文系) ⇒ 企業の総務部などに入社 ⇒ 技人国 

         ⇒ 10年以上在留(技人国で5年以上を含む) ⇒ 永住

●母国の大学を卒業し学士学位を得る(理系) ⇒ IT企業などに入社 ⇒ 技人国 

         ⇒ 10年以上在留(技人国で5年以上を含む) ⇒ 永住

●日本の大学入学へ留学 ⇒ 就職活動をへて 技人国へ変更 

         ⇒ 10年以上在留(技人国で5年以上を含む) ⇒ 永住

在留期間中の留意点

 在留期間中の留意点といっても、これらは在留外国人だけにあてはまるものではなく、日本人にも当然同様に求められるものばかりですが、在留外国人の方にとっては在留そのものに影響が出るということがあり、自分を守るという意味で特に留意していただきたいと思うのです。

●外国人の方の母国での生活習慣や文化の違いなどから、日本国内の近隣住民とのトラブルも考えられます。やはり、日本で安定して住み続けるには、日本の生活習慣に従うよりほかありません。些細なことでトラブルから事件などに発展するようなことは避けなければなりません。在留資格の維持そのものに影響がでる可能性が高まります。

●日常生活を維持するために、安定した収入を確保する必要があります。在留資格を維持するためには、この安定した収入を適法に確保し、納税の義務を果たし税の滞納などが生じないよう生活していくことが重要です。住民税、社会保険料などの納付を怠ると、この場合も在留資格の維持に悪い影響がでる可能性が高まります。

●届出などを忘れないようにすることも大切です。在留カードの更新申請もさることながら、転勤、転居、婚姻、出産その他様々なシーンでそれぞれの届出を怠らないように注意することが必要です。

●法令違反をしないようにする。運転免許を所持されている方はどの運転者も注意していることですが安全運転に心がけることも忘れないようにする必要があります。飲酒運転や危険運転など大きな反則をして、多額の罰金を科せられるばかりか、免許停止や免許取り消しなどの行政処分を受けてしまうと、これも在留に影響が出る可能性が高まります。このほかにも、様々な法令を遵守した生活を送るように努めることが大切です。

永住許可に関するガイドライン

【法律上の要件】

1)素行が善良であること

2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

3)その他の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア)原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。但し、この期間のうち就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ)罰金刑や懲罰系などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。

ウ)現に有している在留資格について出入国管理及び難民認定法施行規則別表2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

エ)公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

 ※但し、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、1、及び2に適合することを要しない。また、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者の場合には、2に適合することを要しない。

【原則10年在留に関する特例】

1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に在留していること。

2)定住者の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。

3)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること。

永住許可に関するガイドライン(令和5年12月1日改定)より抜粋

行政書士中川まさあき事務所